
昨日までの大洗行きレポートの付記として、今回実施した大洗ガルパン缶バッジの調査成果を、依頼者K氏の了解を得て、ここに紹介します。現地では鉛筆で手書きで記入しましたが、帰宅後に改めてエクセルに落とし込んで作成し直して、それをK氏に送信しました。2014年9月16、17日時点における、大洗のガルパン缶バッジに関する調査メモ、という位置付けです。
項目は七つあります。「ボード」は缶バッジを並べて展示しているコルクボードの数で、大きさなどは問いません。「総数」はそのお店が持っている缶バッジの全ての数です。「公式」は大洗ガルパン公式缶バッジです。アニメイトなどが出している公式缶バッジも含めています。「同人」はファンによる非公式同人系の缶バッジです。「大洗発」は大洗の各店独自のデザインの缶バッジ、つまり大洗発オリジナル缶バッジを指します。「32ミリ」は32ミリサイズの缶バッジの総数です。「他」は32ミリ以外のサイズの缶バッジの総数です。
これまで大洗のガルパン缶バッジに関しては、それぞれのお店の保有数すら分からなかっただけに、きちんとカウントして調べたデータというのは、この調査メモが初めてだと思います。K氏はその内容について色々と面白がっていて、他のアニメの缶バッジとは全然違う動向を示していて興味深い、などと話していましたが、いずれ大学に提出するレポートに取り入れてまとめるそうなので、何がどう興味深いのかは、いずれK氏に話を伺う機会もあるでしょう。
ここでは、私なりに感じたこと、知り得たことを簡単にまとめてみます。
まず、大洗のガルパン缶バッジの総数がだいたい分かってきました。調査時点でガルパン公式缶バッジを最も多く揃えていたのは「丸五水産」で135個、大洗発オリジナル缶バッジが最も多かったのは「いそや旅館」の54個ですので、双方の合計は189個となります。「丸五水産」も「いそや旅館」も、初期段階からのバッジもほぼ揃えているようですので、大洗から出された缶バッジの全ての数は、189個よりも若干多い程度ではないかと推測出来ます。
大まかに言うと約200個、ということになりますが、10月に入ってから新規のバッジが次々に追加されていますので、それらを合わせれぱ、既に200個の線は突破しているとみて良いでしょう。
次に、缶バッジを沢山保有しているお店が、共通して公式缶バッジの数も多いことです。総数が100個以上のお店は9ヶ所ありますが、その8ヶ所までが公式缶バッジを全体の七割近く持っています。大洗発オリジナル缶バッジの方は商店街ごとにバラつきがあり、初期段階のものほど出回っていないため、店ごとにまちまちな数字になっています。これが公式缶バッジになると、商工会を通じてある程度の周知がなされるために、町内での認知度も高くて店同士での交換も多く、だいたいのお店に主な品がゆきわたっているという状態につながっているようです。
また、缶バッジの保有数の多さは、大洗ガルパン巡礼のファンが立ち寄る頻度も反映していると思います。どのお店でも、缶バッジコレクションの多くはファンからの寄贈品であるそうなので、総数の多いお店ほど、早くからファンに知られて人気スポットになっていることが分かります。総数が200個を超す4ヶ所のうち、「いそや旅館」と「ウスヤ精肉店」や「丸五水産」の3ヶ所は、ガルパンブームの初期段階から色々積極的に取り組んでいて、ガルパンコーナーの設置も抜きん出て早かったと聞いています。
なお、「鳥孝」の200個超えは、非公式同人系の総数が122個に達して暫定一位になっていることによるもので、例外的なケースと言えましょう。その122個のうちの90個ぐらいが私の寄贈した自作ガルパン缶バッジおよび過去に入手した同人系缶バッジでありますから、これが無かったら総数は120個ぐらいになり、100個超えの他のお店とほぼ共通する傾向になってきます。
ちなみに、「同人」の項の数値の横の( )内の数は、私の寄贈した自作ガルパン缶バッジです。7月頃から寄贈を始め、9月17日の時点までに、あわせて21ヶ所に寄贈させていただきましたが、上掲の調査メモにはそのうちの14ヶ所が入っています。
続いて10月の訪洗時にさらに6ヶ所に寄贈させていただきましたが、上掲の調査メモに挙がっているなかでは「加藤豆腐店」が含まれます。その「同人」が6個、「総数」が45個になるわけですが、他のお店でも似たり寄ったりの増加があると思いますので、9月17日時点と比べてそんなに大きな変化は無いと推測出来ます。
あと、今後は非公式同人系缶バッジの動向が注目されます。ファンの方から色んな手作りの缶バッジが寄贈されて各店のコレクションに彩りを添えていますが、公式缶バッジの新規登場ペースが次第に下降しているだけに、今後のコレクションにおいては非公式同人系缶バッジの占める割合が重要になってくるものと思います。
そのことは、私が「ウスヤ精肉店」と「鳥孝」の両方の店主さんに頼まれて、自作の大洗女子学園チームの全員とマークと搭乗戦車のセット総数51個などを寄贈したことによって、双方のお店のコレクションが劇的に増加したことによく示されます。とくに「鳥孝」では非公式同人系缶バッジの収集にも熱心に取り組まれているため、要望に応じて私が過去にイベント等で得た非公式ガルパン同人系缶バッジの全部も寄贈させていただきましたが、それによって総数が200個超えとなり、一気に暫定三位にあがっています。「鳥孝」へは10月以降にもさらに30個ほどの非公式ガルパン同人系缶バッジを追加寄贈することになっているため、大洗では未踏の250個超えに達して暫定一位になることが確実です。
私がこれまでにイベントや交流会などで得てきた非公式ガルパン同人系缶バッジは、全部で40個ほどありましたが、すべて関西地区でのものでした。関東地区とくに首都圏には、それ以上の非公式ガルパン同人系缶バッジが存在しているという噂もあり、一部は私も見たことがありますが、その数は200種類を下らないとも聞きました。これらの大部分が大洗に入っていないのが不思議ですが、ひとたび入れば、公式缶バッジの数をはるかに凌いでゆくと推測されます。
他のアニメの缶バッジでは、公式よりも非公式同人系の方が圧倒的に多いのが普通なので、ガルパン缶バッジでは公式の方が多いという点も特徴の一つと言えます。
サイズをみますと、大洗ガルパン缶バッジのサイズは、32ミリが主流であることが知られています。今回の調査メモにおいてもそのことが確認出来ました。大洗町商工会の缶バッジマシンが32ミリ専用であるためですが、40ミリがアニメ缶バッジの標準サイズとされることをふまえると、これも大洗ガルパン缶バッジの特徴として理解出来ましょう。
こうした、大洗ガルパン缶バッジに関する調査は、K氏の言葉を借りると「劇的な変化が無さそうなので一回やればだいたいの傾向が掴める」ということでした。私も同感です。新規に缶バッジが出されると、たいていのお店に行き渡っていくようなので、全体としてほとんどのお店の保有数が一様に上がってゆく、という程度にとどまると想像されるからです。
なので、9月16、17日の調査時点で把握出来た諸々の傾向が、10月以降に大きく変化するという状況はちょっと考えにくいですね・・・。
なお、依頼者のK氏は、艦これなどのアニメグッズにおける限定商品および期間限定商品等の販売効果、というようなテーマも研究していて、限定グッズにつきまとう「希少性の法則」に関心があると聞いています。手に取ることのできる期間や数量が限定されれば、商品の価値や評価が高くなる、という法則だそうです。その典型例がアニメの缶バッジだろう、と話していました。
これは、商品を買う自由が限られて手に入りにくくなるという危機に直面した場合、自分が買えなくなるという恐怖心または強制を嫌がって衝動的に購入に走ることでその購入の自由を保護し回復するよう動機づけられる、といういわゆる「心理的リアクタンス理論」の観点でも捉えられるそうです。
そうした実例の一つである缶バッジのなかでも、特に「希少性の法則」が強く作用しているのが大洗ガルパン缶バッジではないか、というのがK氏の見解なのですが、それは私にもよく理解出来ます。大洗ガルパン缶バッジの限定性は、期間や数量だけでなく地域も加わるため、余計に「希少性の法則」が強く作用すると思います。
商業においては「期間限定」の商品はは必ず売り切れという「喪失」を伴います。その「喪失」リスクを避けるために、人は「期間限定」の商品を購入してしまう衝動に駆られます。ただ、あまり「期間限定」を乱発すると、購入者に飽きられるリスクもあるので、バランス良く仕掛けてゆくためのセンスや長期的な視点が必須とされるそうです。
大洗ガルパン缶バッジにおいては、そのあたりがどのようになってるんだろうか、というのがK氏の問いかけの一つでした。今回の調査結果によって、何らかの仮説なり考察なりが導き出されると良いですね・・・。