猫じじいのブログ

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ふるさと納税をめぐる議論―羽鳥慎一モーニングショー

2020-12-22 23:11:10 | 政治時評

けさのテレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』で、たまたま、「ふるさと納税」に言及され、羽鳥慎一、青木理が否定的意見を言ったのに対し、玉川徹は肯定したので、「えっ」と思った。

「ふるさと納税」は、菅義偉が発案した制度で、総務省が担当している。「納税」というが、地方自治体に税を納めるのではなく、希望の自治体に寄付し、その寄付金額に応じて、自分の住む自治体の住民税から控除を受ける制度である。

寄付行為を嫌う日本人社会で、この「ふるさと納税」が普及したのは、返礼品があるからだ。税金をはらってもその見返りが見えないのに、「ふるさと納税」をすると、見える形で見返りがあるからだ。人間の「強欲」を利用する制度であり、「善意」にもとづく通常の寄付行為とは異なる。

玉川は、「ふるさと納税」が地方自治体に「返礼品」を含めて創意工夫を促すから、良いことだと言う。

玉川さん、ちょっと、待ってください。

「税」とは、国や地方自治体が行うサービスに対しての対価である。このとき、市場の取引とは異なり、所得の再分配が行われる。個人税、所得税においては、税が払えるものは、貧し者より、多く税を払う。

自分が住んでない自治体に、「返礼品」が目当てにお金を払い、自分に住んでいる自治体に、その分、税を払わないというのは変である。自分が住んでいるところに愛着がないということだ。自分が受けているサービスを認めていないのだ。

玉川は、地方自治体が中央政府の地方交付税を頼っていると、自由なお金の使い方ができない。そのために、「ふるさと納税」という、自由なお金の使い方のできる寄付金が必要だという。

地方自治体は生活保護金の支給など福祉を実施する。教育も地方自治体が行っている。道路や河川も地方自治体のほうが多く管理する。

しかし、住んでいる人から税をとるだけでは、貧しい人を多く抱える地方は、これらの公的サービスができなくなる。したがって、国がまとめて税を徴収し、地方交付税という形で再分配し、全国平等なサービスを保障してきた。こうするほうが、「ふるさと納税」より望ましいと私は思う。

本当の問題は、地方交付税の透明性である。

自治体はそれぞれプランを立て、それにもとづいて、予算請求を国に行ない、透明な形で予算が認可されるので良いのではないか。この透明性にいままで問題があり、国政選挙と絡んで、自民党の利権とされてきたと思う。地方の予算請求に対して、国は回答理由を公表しなければならない。

また、地方自治体のプランに、他者に対する説得性がないといけない。

昔、竹下政権が「ふるさと創生事業」ということで、使い道自由の1億円を市町村に一律に配った。ほとんどが、自治体によって無駄に使われてしまった。ほとんどの自治体の幹部は何にお金を使ってよいか見当がつかなかったのだ。

「創意工夫」とは、多くの人が参加し、議論し、真剣に考えることで、出てくる。自治体のサービスプランは一部の自治体の職員だけが思いつきでやることではない。豪華な市庁舎を建てることでもない。住民に幸せをもたらす持続可能なサービスするために、お金の使い道に創意工夫をするのだ。

自治体に「返礼品」の創意工夫をしてもらっても意味がない。「ふるさと納税」に関するサイトがネットにいっぱいあるのは、腐敗の温床になっているからだ。

民主主義が地域に根付くためには、「ふるさと納税」などという安易なことはしてはならない。