猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

円安によるインフレは悪いインフレ、円安による企業の最高益も限定的一時的

2022-05-13 23:39:35 | 経済と政治

けさのテレビ朝日『モーニングショー』で、コメンテーターの玉川徹がインフレは悪いことではないと言っていた。けさの朝日新聞の1面には『円安 企業に最高益』と出ていた。本当に日本の経済の未来は明るいのだろうか。

私にはそうでない気がする。無責任に明るい未来を語るのは政治家や経営者の質の劣化を招く。

私の兄の娘は離婚と新型コロナ禍を受け、非常に経済的困難に陥っている。元夫が経済的困難にあるので、慰謝料、養育費は出ない。飲食店で非正規で働いていたから、新型コロナで職を失った。区役所に相談にいったが、らちがあかない。私は、公明党や共産党が救いの手を差し伸べてくれるかと思っていたが、そうでもないようだ。

一番の問題は住居費である。契約者の元夫と離婚したので、集合住宅から出ていくように家主に言われているが、つぎに住む所が見つからない。定職がないと契約で断われる。私も何とかしたいと思ったが、定職がない老人の私は保証人になれない。

このような状況に直面すると、公的住宅が整備されているロシアやウクライナがうらやましい。

日本は「自由主義国家」というが、衣食住に苦しむ「自由」しかない。物価の上昇を計算するときに、生鮮食品を除外する。ようやく食べていける層にとっては、インフレは悪いことである。食べていけないことになる。

衣服を扱うリサイクルショップが活気ついていることは、「食」と「住」の高騰を「衣」の節約で補い始めたからではないか。所得があがらないかぎり、インフレにいいことはない。年金生活者には苦しい生活しか待っていない。

朝日新聞の『円安 企業に最高益』という見出しも罪である。円安で最高益が出る企業は限られている。しかも、ドル建てで、その企業の売り上げが増えたわけではない。企業の最高益は海外市場での競争力を意味してはいない。

企業の売り上げとコストをドルで考えてみよう。利益は売り上げからコストを引いたものである。コストのうち、人的コストと生産設備の償却費は円建てであるから、円安になると、ドル建てでは一時的に下がる。いっぽう、部品や材料のうち、海外からの輸入分はドル建てであるから、下がらない。いっぽう、売り上げのほうは、海外市場を相手にしている企業は、ドル建てでも下がらない。国内市場を相手にしている企業では、いままで通りの国内の売り上げでは、ドル建てにすると下がる。

したがって、海外への売り上げが多い企業以外は、ドル建てで考えると、経営が苦しくなる。「円安 企業に最高益」という「企業」は非常に限られる。したがって、国内市場がメーンの企業は、原材料や部品の高騰分を価格に上乗せするしかなくなる。すなわち、円安がインフレをを引き起こす。このインフレが、輸出企業の国内から部品の調達費や生産設備更新のコストを引き上げる。

賃金もあがらなければ、働く者には地獄である。暴動が起きるかもしれない。企業は賃金上げざるをえないだろう。しかし、年金や生活保護費などはあがるのだろうか。障害者にとってはインフレは地獄である。

玉川が良いインフレといった1970年代は、経済の規模が拡大して、労働者の需要が高まり、賃金が上がり、それが、消費需要を引き起こし、物価があがったのである。

しかし、この経済規模の拡大は、アメリカ市場を侵食することで成り立ったのであり、日米経済摩擦を引き起こし、1990年に日本はバブルの破綻という形でアメリカの軍門にくだったのである。1970年代の良いインフレはもう2度と来ない。

円安が進行し、物価があがるという現在のインフレは、経済規模の拡大を伴わないから、悪いインフレである。

政治家と経営者の質が問われる時代に突入したのである。