猫じじいのブログ

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ロシア軍のウクライナ侵攻を受けて反核と反原発を

2022-05-21 23:56:31 | 原発を考える

(Чорнобильська原発)

毎日毎日、気持ちを暗くするニュースがメディアにあふれている。自然災害は人間の意思では防げない。2次被害を小さくするよう準備するしかない。しかし、人間が引き起こす戦争や事故は防がないといけない。

戦争を防ぐには、日本だけの努力でどこまでできるかわからない。国際的な連携を行うとともに、自然災害と同じく防げる2次被害を抑える準備も必要だろう。

NATOは軍事的同盟であり、「民主主義の価値」を守るというドグマをもち、敵国を想定して戦争をする準備に励んでいる。第1次世界も第2次世界大戦も国と国との軍事同盟があるがゆえに、世界的規模の戦争になった。国と国の戦争は防ぐのは軍事同盟だけではだめで、「反戦」という大衆の運動が必要である。日本人がウクライナに同情するのは理解できるが、「反戦」という視点が弱いのが、とても気になる。

さらにロシア軍のウクラナイな侵攻で明らかになったのは、核兵器は地上戦の抑止力にならないということだ。

それだけでなく、原発が攻撃の対象となる可能性が、今回浮かび上がった。

あらためて、反核と反原発の連携がだいじだと思う。

きのうの朝日新聞『〈耕論〉ターゲットになった原発』で、小林祐喜、山形浩史、小山堅の3人のインタビュー記事を載せている。小林、山形は、戦争で原発が武力攻撃の対象になる可能性を認めている。日本エネルギー経済研究所の小山だけが、原発が武力攻撃の対象となる可能性を検討せず、「日米同盟を強固にし、いかに抑止力を確保するかに帰着」と議論を逃げている。

笹川平和財団の小林は、主要国が集まって原発への攻撃や威嚇のリスクを禁ずるルールを整備すると主張する。しかし、主要国が集まってルールに合意できるか、また、合意できたとしてもルールを破る国がでてくるのではないか。ルールに従った戦争とは、どだい無理なのではないか。戦争が起きれば、勝つために、ルール違反が起きる可能性は高い、と思う。

山形浩史は、武力攻撃の前に原発を停止すれば被害の拡大が防げるから、停止する迅速な法的手順と、誤った予測で停止した場合の補償を、事前に決めていく必要があるという。

しかし、もっと簡単な方法は、原発を廃棄することではないか。日本社会は、福島第1原発事故をうけて、一度、すべての原発を止めている。止めてもやっていけるのだ。

原発廃棄の期限を法律で決めないと、いつまでも、再生エネルギーの発電が普及しない。

13年前、大学の工学部での講義のために太陽光発電技術の現状を調べた。そのとき、最先端の技術では太陽光のエネルギーの44パーセントが電力に変換できた。植物を使った場合、すなわち、バイオ発電の場合、太陽光エネルギーの12パーセントが電力に変換されると言われている。したがって、20%ていどの変換率で安い太陽光発電パネルを大量生産すれば、太陽光発電は充分実用化できるということがわかった。

残念ながら、安い太陽光発電パネルを大量生産したのは、福島第1原発事故を起こした日本ではなく、中国であった。通産省は、どうして、こうも誤った産業政策をとるのか、理解しがたい。日本はビジネスチャンスを失った。

風力発電でさえ、ヨーロッパの技術に追いつける見込みが今のところない。

さらに、電力会社は政府に逆らわなければ地域独占が保障されるから、太陽光発電や風力発電などを使った場合の電力の需要供給バランスの制御技術の確立をさぼっている。電力は供給と需要のバランスを秒単位で守らないといけない。

法律で原発廃棄の目標を決めないといつまでたっても、電力を再生エネルギーに転換できない。

二酸化炭素削減のために、原発に頼るというのはトンデモナイ選択である。二酸化炭素二酸化炭素は植物の生長のために必要である。温室栽培では、成長を速めるために、わざわざ、二酸化炭素を発生させている。火力発電から発生する二酸化炭素の有効利用を、今後、考えていくことができる。

それに対し、原発で生じる放射性物質を有効に利用するサイクルがない。小規模原発を作ろうが、高速炉を開発しようが、原発は核分裂連鎖反応を利用している。重い核ほど中性子の割合が多いので、核が分裂すると放射性物質が生産されることは、避けることができない。このことを無視して原発を稼働し続けるのは、放射性物質の保管で土地が占有され続けることになる。

原発を稼働しつづけるのは、合理的でも現実的でもない。