妻の本棚で鈴木晶の『グリム童話メルヘンの深層』(講談社現代新書)を見つけた。薄い本だったのに、読むのに、2日もかかった。私も年老いたので、なかなか一気に読めない。
思い出してみると、私は小学校低学年のとき、童話を読むのが好きだった。
近くに児童会館があり、よく通って、一人でごろごろしていた。漫画はドン・キホーテの物語しかなく、しかたなく童話を読み始めたのだが、童話のもつ物語性に引き込まれ、つぎからつぎへと読むようになった。
今回、鈴木晶の本を読んで、自分がグリム童話をほとんど読んでいないことに気づいた。グリム兄弟が出版した第6版から200篇の物語を納めているという。私が読んだのは20篇に満たない。
鈴木晶は、グリム兄弟がドイツの昔ばなしを自分の足を使って集めたのではなく、出版物や知り合いの女たちから素材を得て、書き加えて、出版したと言う。そのせいで、フランスで出版されていた童話もグリム童話に入り込んでいると言う。また、グリム兄弟は、話が短いなどの当時の批判に答えて、版を重ねるごとに、どんどん書き換えたという。
鈴木晶の本を読んで、私は初版のグリム童話を読みたくなり、図書館に予約した。私は、童話に教訓を求めない。また、本当のドイツの昔ばなしでなくてもよい。
子どものときの私は、童話のなかで、話が次から次へと発展していくのが楽しかった。どうなるのだろうと、どきどきしながら、いつも、ページをめくっていた。
私は好奇心が強いのである。
私は、いま、放課後デイサービスで子どもたちに童話の本を読んであげている。物語の展開の面白さを伝えたいのだが、なかなか伝わらない。
子どもによって喜ぶ本が異なる。子どもによって、単純なストリー展開以外は受け付けない子もいる。同じことの繰り返しがある方を喜ぶ子がいる。図鑑のような本の方が好きな子もいる。それでいて、毎回、同じを話しすると、そっぽを向かれる。私は苦労しているのだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます