医療体制がパンクするから患者が医療機関に来ないようにと政府が言うのは、本末転倒である。自民党議員が政権を守ろうとして、この本末転倒の話を、信じてもいないのに、メディアに出て繰り返している。
冷静に考えれば、実態を調査して政策を立てることが、今、政府にできていない。安倍晋三の国民への呼びかけは、正直さにかけ、パフォーマンスだけで、より国民に不安を煽っている。市中からトイレットペッパーがなくなるのは、政府の発表が信頼されていないからだ。
大谷義夫医師はテレビでマスクが足りないと言っている。感染症の検体をとるには、医師の感染を防ぐために、特殊なマスクが必要だという。このマスクはどこに流れているのだろうか。政府は、強制的に感染症用マスクを供出させるのではなく、どこでどれだけの生産能力があって、現在の生産数はどれだけで、それはどこに売られているのか、なぜ、呼吸器系医療機関が、感染症用マスクが手にはいらないのか、具体的に調査する必要がある。調査結果を公表し、調査にもとづいて政策をたてるべきである。
市中からふつうのマスクがなくなっているが、それも、今、どれだけ生産されていて、どのような流通経路をへて、市場に出るか、どこで商品が消えているかを調査すべきである。安倍晋三は、政府が買い上げたマスクを北海道に回すと、テレビで言った。すると、政府が買い上げしたため、市場からふつうのマスクが消えたかのようにとれる。これを否定するためにも、ちゃんとした調査をしないといけない。
別に厚生労働省が調査しなくても、経済産業省や総務省でも調査できる。コンサルティング会社に依頼しても良い。
また、医師会からの要望を政府は吸い上げていないのではないか。医療用マスクやアルコール消毒薬が足りなくなっていることなど、医師会とコミュニケーションをとっていれば、わかることではないか。
PCR検査が、なぜ日本で増えないのか、ちゃんと調査していないのではないか。政権が実態にもとづかない希望で話すから、国民の不信感が増幅する。
PCR検査が増えないのは、保険診療の問題ではなく、検査というものに規制がかかっているからではないか。どのような規制がかかっているのか、政府は調査し、特例的に規制を緩和すべきである。
まず、一般の人がPCR検査を受けられるために、どのような道筋を通るかを書き抜き、各道筋でどれだけの件数を処理できるか、また、次のどの道筋に進むかの判断基準はどうなっているのか、プロセス図として書き抜き、公表すべきである。そして、ボトルネックはどこにあるかを分析し、そのステップを改善するか、あるいは、別の道筋を探すべきである。
これは、コンサルタントなら誰でもすることである。
発熱外来を設けることのできる医療機関はどれだけあって、どれだけの患者数をさばけるのか。そこで、どのような基準で、PCR検査が必要と判断するのか。そのときPCR検査が必要される患者の割合はどれだけか。PCR検査が必要と判断されたとき、検体を誰がとるのか。感染症防護用のマスクは足りているのか。アルコール消毒薬はたりているのか。
そして検体はどこに送られるのか。処理できるPCR検査の検体数が決まる要因はなにか。本当にPCR機器の数か。機器を操作する人の問題なのか。それとも、検査の試薬なのか。それとも、シーケンサー機器による確定検査が義務づけられているからなのか。
なぜ、この基本的なことを厚生労働省はせず、曖昧な答弁を大臣や首相にさせているのか。厚生労働省や国立感染症研究所の幹部に、過去のしがらみで、真実をおおやけにしたくない人がいるのだろう。
PCR検査といっても、別に、国立感染症研究所の試薬を使わなくてもいいわけだ。これが、ボットルネックになっているなら、これを改善すべきである。国立感染症研究所でなくても、理化学研究所でも大阪大学でも検査キットを開発している。外国製を買ってきてもよいわけだ。この規制を早急に解除しないといけない。
厚労省の話を聞く限り、いまだに権益を死守しており、保険診療になっても、PCR検査数が増える見込みがない。安倍晋三や加藤勝信は、厚労省の利権を保護する義理はないはずだ。事実を調査し公表すれば、世論はついてくる。
思うに、厚労省にこの問題を解決する能力はない。
国会で、新型コロナウイルス感染症流行の公聴会を開いて、厚労省幹部や国立感染症研究所幹部や呼吸器系感染症専門家、医師会メンバー、大学の研究者、民間の検査機関の現場の人を証人として呼び出し、公の場で質問、討論を行い、なぜ、PCR検査数が韓国の10分の1かを明らかにすべきである。秘密裏の専門家会議は有効性が期待できない。
実態を調査せず、新型コロナウイルス感染症特別措置法を作るというのは、傷口を大きくするだけだ。対策は事実にもとづいて行うべきである。
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