けさ、病院の待合室にいたら、アメリカの大学で、イスラエル政府が一方的にガザ住民を殺したり虐待するのに抗議して、テントを構内に張って座り込みを続ける学生たちを、州政府が警官を動員して逮捕や強制排除するさまを、NHKがテレビで流していた。50年以上前のアメリカでのベトナム戦争反対の学生の抗議活動を私は思い出した。
新聞を見ると、反ユダヤ主義活動であるから、大学側が警官出動を要請したのだと言う。イスラエル政府に抗議する学生たちの活動が、どうして反ユダヤ主義で、どうして学生たちを強制排除するのか、私には納得がいかない。大学側は、座り込みを続ける学生を退学処分にしたから、座り込みを続ける学生は構内にいる資格がない、不法侵入を続けているので強制排除を要請した、と言う。
反ユダヤ主義とは、ハンナ・アーレントによれば、単なるユダヤ人に対する偏見や嫌悪や差別ではなく、民族主義や帝国主義と関連したユダヤ民族排除あるいはせん滅の政治イデオロギーである。ガザでのイスラエル政府の残虐行為への抗議活動を、反ユダヤ主義と決めつけることは、論理の飛躍で、アメリカの支配層がイスラエル政府に肩入れしていることになる。
昨年の10月7日にイスラエルがハマスから奇襲攻撃を受け、すぐさま、イスラエル首相のベンヤミン・ネタニヤフが「私は予備役の大規模な動員と、敵がかつて経験したこともないような威力と規模の報復戦争を命令した」と言って、「ハマス壊滅」を戦争の目標に置いた。
ヘブライ語聖書(旧約聖書)の創世記4章24節に「カインのための復讐が七倍なら/レメクのためには七十七倍」とある。レメクの子孫の国イスラエルは報復は77倍の報復となる。ハマスの奇襲攻撃で約1,400人のイスラエル人が死んだとされるから、ガザの住民を107,800人殺すことになる。
じっさい、「ハマス壊滅」となると、ハマスとガザ住民との区別がつかないから、10万人ではすまなくなり、ガザの住民全員(約238万人)を殺すことになるだろう。イスラエル政府が非難するナチス・ドイツと同じ道をイスラエル政府が歩んでいることになる。
イスラエル政府の誤りは、ネタニヤフ政権に始まったことではない。ポーランドやウクライナのユダヤ人たちが中東のパレスチナの地に、「神の約束した地」として、19世紀末から移住を始め、1948年に武力でイスラエルを建国したことに発端がある。それ以降、アメリカ・イギリスの中東政策にも協力する形で、周囲の国に戦争を仕掛け、占領地を広げてきた。
これはユダヤ人にとって新たな不幸な歴史の誤りの始まりである。イスラエルを建国したシオニストの誤りは、世界には秩序がない、自分たち以外はすべて敵である、力こそが正義である、という信念にある。これはナチスと同じイデオロギーではないだろうか。
昨年の12月以降、イスラエル政府の方針に反対するユダヤ系アメリカ人が出てきて、私はホッとしていたのだが、今回の大学での学生の強制排除と、反ユダヤ主義とのレッテル貼りは、事態の解決をむずかしくし、ユダヤ人に対する感情的な偏見や嫌悪をアメリカの地に根付かせる危険がある。とても残念なことだ。
ところで、2日前から続いてる血尿は、病院で診察を受けたが、処置があったわけではなく、いまも続いている。
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