新型コロナの国内の新規感染数が、きょう、過去最多の2189人となった。東京都の新規感染数も493人で過去最多となった。
これは、新型コロナ対策に政府が失敗したことを意味するのではないだろうか。
新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が活動していた間は、感染爆発をどうにか抑えられていたように思える。しかし、政府は、6月24日に新型コロナウイルス対策専門家会議を廃止し、経済とコロナ対策を両立させようとした。
このことに、誤りがあったのではないか。
経済とコロナ対策の両立は、明らかにむずかしい課題である。だからこそ、コロナ感染の現況を正確に把握することと、感染の経路を疫学的に正確に推定することが必要である。専門家会議を廃止し、政治的判断をヨイショする分科会組織にすることによって、政府が、みずからの新型コロナ対策の力をそいでしまったのではないか、と思う。
6月15日以前は、新型コロナの感染の指標「実効再生産数」の値が、ほぼ、毎日のように報道されていた。ところが、専門家会議が廃止されてからは、いつの間にか、「実効再生産数」が報道されなくなった。
この「実効再生産数」とは、感染者数の増加数にモデル数式を適用し、ひとりの感染者が何人に感染させるか、という数字で、再生産数が1ということは、新規患者数が現状維持で、1より大きければ、患者数は爆発的に増える。
新型コロナの感染状況を、統計モデルを使って分析していれば、これまでない強力な第3波が来ることが予期でき、過去最多を招かずに抑え込めたかもしれない。
こうなったら、政府は恥をしのんで、あの西浦博教授の再登場をお願いするしかない。
政府の本音は経済を優先したいということだと思うが、経済活動にもいろいろな分野があり、一律に規制する必要がないだろうし、また、経済活動の形態に変化があっても良いはずだ。そのためには、感染経路の疫学的推定が必要になる。
現在、飲食店だけが特別視されているが、満員の通勤電車が感染経路になっていることはないだろうか。先日、TBSの『ひるおび!』で、北村義浩教授が、感染経路不明の感染の多くは通勤電車ではないか、と言っていた。現在、通勤電車の混雑は以前の状態に戻っている。通勤電車の感染は、誰と接触したかは不明だから、疫学的手法を使わざるを得ない。主な感染経路の1つと判定されれば、テレワークできる職種はテレワークをし、通勤電車の混雑を解消しなければならない。
また、日本医師会は「GoTo トラベル」や「GoTo イート」が原因ではないか、と疑っている。本当にそうなのか、本当なら、どのような行為が感染拡大に寄与しているのか、疫学的に調べなければいけない。その分析結果が出るまで、政府は「GoTo トラベル」や「GoTo イート」を推進するのを一時中止しなければならない。
感染経路となる業種や活動が特定できたなら、休業が必要なのか、それとも、活動形態の変更で対応できるのか判断しないといけない。休業を要請するなら、休業補償や代替職場の確保を政府が行うべきである。
繰り返しになるが、経済活動を一律に規制する必要がなく、また、経済活動の形態にも変化があって良い。そのためには、感染状況の正確な把握、感染経路の正確な疫学的推定を実施すべきで、もう一度、専門家会議を復活すべきである。
[補遺]
11月19日、東京都の新規感染者が534人となり、前日の過去最多を越えて、過去最多となった。「GoTo」キャンペーンは自粛すべきである。