2006-1214-yis044
この雨はきっと止むのにこの袖は
いつまで濡れて乾かないのか 悠山人
○和泉式部集、詠む。
○詞書は、「雨のいたく降るに、なみだの雨の袖に、など言ひたる人に」。ひとたびは契り合った仲なのに、すっかり忘れられた私の涙が、時を経た今でもこの袖を濡らすの。空から降ってくる雨は、乾くと決まっているのにね。「なみだの雨の袖」は、『拾遺集』哀傷の「墨染の衣の袖は雲なれや 涙の雨のたえず降るらむ」(詠み人知らず)による、と新潮版。
¶み(見)し人=旺文版古語辞典によると、終止形「み(見)る」の第7義に「異性と関係を持つ。夫婦となる。妻とする。」
¶ふる=雨が「降る」、時が「経(ふ)る」。
¶身を知る雨=『古今集』恋四の「数々に思ひ思はず問ひ難(がた)み 身を知る雨は降りぞまされる」(在原業平)による、と新潮版。
□和044:みしひとに わすられてふる そでにこそ
みをしるあめは いつもをやまね
□悠044:このあめは きっとやむのに このそでは
いつまでぬれて かわかないのか
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