すでに万葉の時代から、一般民衆の生活はかなり苦しかったのだが、超エリートの貴族歌人は、これでもかというくらい、「憂し」(辛い)を詠んでいる。この作は、ご存じ百人一首84番。
ひらかなy154:あのころを こいしくおもう このごろが
いつかはあまい ひびになるのか
ひらかなs1843:ながらへば またこのごろや しのばれん
うしとみしよぞ いまはこひしき
【略注】○このごろやしのばれん=今という時代(の生き方)が(よかったなあ
と)思い起こされるのだろうか。
○藤原清輔=顕輔の子。俊成らの御子左家(みこひだりけ)歌学に抗
し、父から六条家歌学を受け継いだ。二条、六条、御子左などなど、こ
の時代の和歌の風(ふう)をめぐる争いは、貴族政治も巻き込んで、現
代のわれわれには想像できない、激しいものがあった。12首入集。
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