2007-0429-yis149
「かみさまを足に巻くとはけしからん」
「だってこちらはしもの社よ」 悠山人
○和泉式部集、詠む。
○和泉集もあと二首で終結。最後の二首は、「俳諧の連歌」と、頭注。この、「掛合い」形式は、洒落・諧謔問答とも言えるもので、全く初めての登場である。依拠本元歌には、上(五・七・五)と下(七・七)の間に、何れも「と申したりしを」が入る。悠山人詠ではこれを落とし、代わりに両者に鍵括弧を付けた。
まずは第149歌の詞書。「賀茂に参りたりしに、わらうづに足をくはれて、紙を巻きたりしを、なにちかやらん」。下賀茂神社へ参詣した折り、藁沓(高級草鞋)のせいで転び、(多少の出血を止めようと)足に紙を巻いた。それを見咎めた、通りがかりの「何親(近)」さま。
¶わらうづ(藁沓)=「わらで編んだくつ。」(『古語辞典』)。現代音[ワローズ]。
¶なに(何)ちか(親、近)=<『金葉集』によれば、「神主忠頼」。>(新潮版)
¶ちはやぶ(千早振)る=古来の「荒荒しい、猛猛しい」から、のちに「神」の枕詞。
¶かみ=「神」に「紙」。さらに、男の「かみ」を、女は「上(賀茂社)」にすり替える。「足」は「足下」で、「下(しも)」の縁語。
¶しも(下)のやしろ(社)=頭注にしたがい、下賀茂神社。このあたりの、「掛け」と「受け」は、関西風の「ぼけ」と「突っ込み」の、遠い元祖?
□和149:ちはやぶる かみをばあしに まくものか
これをぞしもの やしろとはいふ
□悠149:「かみさまを あしにまくとは けしからん」
「だってこちらは しものやしろよ」
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