
2006-1213-yis043
戸を開けていくら待っても来ないのね
とうとう冬の夜も明けたわ 悠山人
○和泉式部集、詠む。
○詞書、「たのめて来ぬ人に、つとめて」。「約束したのに来なかった男に、翌朝。」(新潮版) いつもは早めに戸締りをするのだけれど、約束したあの方がお出でになるはずだからと、立ちつ座りつして迷っている間に、長いと思っていた冬の夜が、今夜にかぎって、いつのまにか明けてしまったわ。とうとう来なかったのね・・・。
¶やす(休)らひに=見出し語は「やすらふ」で、「ためらう。ちゅうちょする。」(下略、古語辞典) 同旨の赤染衛門の作品は、百人一首に採歌されていて、お馴染みである。「やすらはで寝なましものを」。
¶あけつる=空の「明け」、戸の「開け」の掛詞。色の「赤」も同系の技法に使われる。「さ(鎖)す」も「戸」の縁語。
¶さ(鎖)さざらめ=終止形「さ(鎖)す」は、「施錠する。to lock」。閂を掛けるということはないでしょうに。「真木」は、何回か既出で、ふつうは桧。だから戸と錠は桧セット。(槙は真木に由来)
□和043:やすらひに まきのとをこそ ささざらめ
いかにあけつる ふゆのよならん
□悠043:とをあけて いくらまっても こないのね
とうとうふゆの よるもあけたわ