ElvisとBeatlesの狭間で~Johnny Tillotsonの時代
“ペパーミント”と「一期一会」
「Baby You Come Rollin' Across My Mind」
Glenn Yarbrough 1969 (from an album 「Somehow, Someway」)
明日(日曜日)、「チエチエのギリシャオンライン旅行」で、専門家の方を招いて、ハーブについての
講義を行うのだそうです。
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僕にも何か話せ、とのことですが、僕はハーブについて、何も知りません。全く何も知らない、ということでもないのですが、「一般的」な視点からでは、完璧に無知です。知っていることを話していくと、ちょと奥が深すぎて(アリストテレスみたいな観点)、聞いている人は呆れかえってしまうことになるでしょう。バカにするな!と怒り出す方も出てきそうな気がします(参加費500円返せ!とか)。
ごく一般的な意味での「ハーブ」と言えば、「ペパーミント」とかもそうですね。たぶん「ペパーミント」の話題とかをしていれば、そこまで顰蹙は買わないかも知れません。
「ミント」は、シソ科ハッカ属Menthaの総称です。植物体に含まれる精油の成分によって「ペパーミント」と「スペアミント」に分けられています(様々な定義がある)。約40種(種数のカウントは研究者ごとに異なる)が、ユーラシアの温帯域に分布し、日本にはハッカが在来分布しています。しかし、
属内種間で古くから交雑が繰り返され、「種」の区分や野生の特定が難しい、というのが現状です
(一般に「ペパーミント」と呼ばれる「セイヨウハッカ」は、ヨーロッパ自生する2つの種の交雑起源と考えられています)。日本に自生する集団(ハッカ)は、外観も地味で、香りもいわゆるハーブとしては弱いように思われます。
ちなみに、同じシソ科の「タイム」は、Thymus属の総称(種を特定する見解もある)で、やはりユーラシア大陸を中心に40種近くが分布するとされます。いわゆるハーブとしての利用は、地中海地方産の種(または集団)を起源としますが、やはり日本にも1種が分布していて、イブキジャコウソウ
と呼ばれています。高山帯を含む山地の岩礫地帯に生育し、非常に鮮やかで美しい花が咲きます。
「サルヴィア」は、シソ科の中でもメジャーな世界各地700種余を擁するサルヴィア属Salvia属
のハーブで、同属の種は日本にもキバナアサギリ、ミコウジュ、アキノタムラソウなど7~8種が、在来野生しています。
逆に、「シソ」は東アジアのマイナーなシソ属Perillaに属し、全ての集団をシソ一種に纏め、多くの亜種や変種に分ける見解や、幾つもの独立種が存在すると見做す見解があります。日本に自生する集団は、変種レモンエゴマとされます。
とまあ、今日、突然、「ペパーミント」という言葉が、頭に入ってきたわけです。全く別の(三つの)きっかけで、別経路を経て、ほぼ同時に。
一つは無論上記したような、三世からハーブの話題を振られて、少しは調べておかきゃ、という想いから。それについては明後日のオンラインで語ることにします(専門家の方が話してくださると思うので、僕は補足だけ)。
ここでは、あと2つの経路で関わりあった「アメリカン・ポップス」関係の「ペパーミント」について話して行くことにします。
クラヴィング・エクスプローラーの利用方法が一変し、以前と比べて、信じられないほど扱いが簡単
になりました。それで、この一年間ほど行なっていなかった、ユーチュブからの曲の収録を、少し前からやりまくっています(あんまりよい傾向ではない、笑)。
突然、ブライアン・ハイランドが歌う、「Baby You Come Rollin' Across My Mind」が聴きたくなりました。以前、ユーチュブで探したことがあるのだけれど、その時は見つかりませんでした。今回再チャレンジすれば見つけられるかも知れません。彼のレパートリーの中で、僕が最も好きな曲なのです。
1969年にリリースされたアルバムの収録曲。ジョニー・ティロットソンの自作デビュー曲「夢見る瞳」をシングルA面でカバー(全くヒットしなかったのは時代が時代だからしょうがないけれど、ジョニー本人歌唱盤より遥かに良い出来)し、その曲をフィチャーしたアルバムです。そこに取り上げられている一曲が「ベイビー・ユー・カム・ローリング・アクロス・マイ・マインド」。
余程のポップス・ファンでないと、知らない曲だと思います。「Peppermint Trolley Company」というロック(フォーク?)グループの、
1968年夏の一発ヒットで、Billbpard Hot100の59位にランクされています。59位という位置ながら、10週間に亘りチャートされている
ので、なかなかのヒット曲であるともいえます(どこか限られた地域で大ヒットを続けたのかも知れません)。
残念ながら、やはりハイランド盤は見つけることが出来ませんでした。それでオリジナル・ヒット・バージョンのペパーミント・トロッレー・カンパニー盤「ベイビー・ユー・カム・ローリング・アクロス・マイ・マインド」を聴いてみることにしたのです。
アメリカン・ポップス黄金期における「ペパーミント」は、何と言っても「ペパーミント・ツイスト」が有名です(今回は紹介を割愛します)が、アーティスト名としての「ペパーミント」は(時代がやや後になりますが)、この「ペパーミント・トロッレー・カンパニー」。
Trolleyを辞書で引いたら、名詞で「トロッコなど(車両)」、形容詞で「気が狂った」となっていました。「変てこなペパーミント株式会社」というグループなのですね。
ハーブのことが頭にあったわけではなく、突然聴きたくなった曲が、「ペパーミント~」の曲だったという、偶然です。
「Baby You Come Rollin' Across (Cross) My Mind」
Peppremint Trolley Company 1968 Billboard Hot100 No.59
https://www.youtube.com/watch?v=c2ktopK1Nds
2つ紹介したのは同じ音源ですが、上はActaから、下はDotからのリリース、メジャー・レーベルの
ドット盤がヒットバージョンです。タイトルが僅かに違っていて、Acta盤は「クロス」、Dot盤は「アクロス」。最初に紹介したグレン・ヤーブロー盤も「アクロス」で、このあと紹介する各バージョンは「クロス」です。
もう一つ、異なる出発点から、偶然同じ曲に行き当たりました。「ベイビー・ユー・ローリング・アクロス・マイ・マインド」は、「ペパーミント・トロッレー・カンパニー」の一発ヒットであるとともに、ジョン・エドワード・べランドというアーティストの一発ヒットでもあります。もっとも、こちらはヒットと言っても、更にマイナー、Hot100以下のアンダーバブリング(最大135位まで)チャートに、ペパーミント~盤のー年後の69年暮れに、1週間だけ110位にランクされています。バブリング・アンダーとはいえども、一応記録に残るヒット曲には違いありません。
ジョン・べランドは、個人のヒット曲はその一曲だけですが、実は、バック・ミュージシャンとして、かなり有名なアーティストです。ギタリストで、歌も歌います。1970年代には、ジョニー・ティロットソンの バック・アップ・ミュージシャンとしてジョニーとともに行動し、マネージャーやプロデユーサー的な役割も兼ねていたようです。その間、エルヴィスに引き抜かれそうになった、という話題もあります。ジョニーがコロンビアから別レーベルに移籍した後の80年代には、リック・ネルソンのバック・アップを務めていました。
非常にハンサムで、声も素晴らしく、歌手としてもっと活躍しても良かったのではないか、と思っています。もっとも、最近のジョニーとの2ショットを見ると、でっぷり太って(もともとジョニーよりも遥かに大柄)、禿げ上がったオッサンになっていて、、、僕より1つ下、ジョニーの日本ファンクラブ会長の村田さんより3つ下、村田さんとは誕生日が一日違いゆえ、ジョニーから合同で誕生パーティして貰ってたらしいです。それにしても、昔は美青年だったのに、今の変わりようは、、、鏡を見ることが少ないので、自分もそうなのかな、と思いますが、月日の流れは残酷なものです(笑)。
そんなわけで、彼のバージョンも見つけました。他のアーティスト盤とは異なり、(冒頭に語りを交えての)思いっきりスローなテンポの、秀逸な佳作です。
「Baby You Come Rollin' Cross My Mind」
John Beland 1969 Billboard Bubbling-under No.110
実は、べランド盤のほうは、最初から「ベイビー~」を探していたのではなく、別の経緯から見つけ出したのです。
ジョニー・ティロットソンの全ての歌唱曲をユーチュブから収納しようと目論んでいるわけですが、まだ聞いたことがない曲が、僅かに残っています。その一つが、ジョン・べランドの曲にゲスト出演?をしている「ア・ソング・フォー・ハンク・ウイリアムス」。正確には、ずっと以前に、非常に録音状態の悪い音源がユーチュブ上にアップされていたことがあるのですが、すぐに消されてしまっていました。
もしかしたら、改めてアップされてるかも知れないと想って、トライしてみました。苦労して見つけました。写真はジョニー・ティロットソンで、歌も「ジョニー・ティロットソン、そのほか」となっていました。いくらなんでも、それはないでしょう(あとで、ごく最近アップされた、「ジョン・べランド」名の同じものも見つけました)。
曲の冒頭に、30秒ほど、ジョニー・ティロットソンが、ハンク・ウイリアムスの「ラブシック・ブルース」の断片を唄っています。それがラジオから聞こえてくる、というシュチュエーションらしいです。それにしても、ジョニーの歌は下手くそですね。対照的に、ジョン・ベランドは声も良いし上手いしハンサムだし(当時は)。
「A Songs for Hank Williams」
John Beland (with Johnny Tillotson) 1973 non-chart
https://www.youtube.com/watch?v=Knyx37s-wqg
ジョン・べランドは、他にもジョニーと一緒に何曲か作成しているようです。1975年にリリースされたノン・ヒット・シングル「ビッグ・オレ・ジェーン」もその一つ。この時代のジョニーの曲としては、最も出来が良い曲だと思います。C&Wのスター名前を並べて、競馬?に例えたようなコミカルな曲です。最後に入ってる掛け声は、ジョン・ベランドでしょうね。メル・ティリスのところでトチって、ティロ、、、、ットソンとか、かなり凝った構成です。ちなみにC&W女性歌手で“ジェーン”といえば、ジェーン・シェパード、あるいはノーマ・ジェーン。2人の先輩歌手ともに、「涙ながらに」をカバーしてくれています。
「Big Ole Jean」
Johnny Tillotson (with John Beland) 1975 non-chart
「Baby You Come Rollin' Cross My Mind」に戻りましょう。チャート・ヒット2バージョンのほかにも、何人かの歌手のバージョンがあります。
Bob Youngs (イギリスの歌手 1945~) 1967
最初に紹介したグレン・ヤーブロー(1930~2016)は、シングル・チャートでは、1965年の、ほぼ一発大ヒットの「Baby The Rain Must Fall」(Billboard Hot100No.12/Adult No.2)で知られています(65年にもう一曲Hot100で54位/Adultで9位、70年にAdult35位、および61年にフォーク・ソング・トリオThe Limelitersとして60位の曲あり)。それとは別に、60年代にはトップ200位入りのアルバムを10枚持つという大物です。
ヤーブローの「Baby You Come Rollin' Across My Mind」は、1969年にリリースされたアルバム「Somehow, Someway~Yarbrough Country」の収録曲です。ジャケットの写真に、
白人とアジア人と黒人の子供、、、、。
「Baby, You Come Rollin' Across My Mind」、、、、一応、失恋歌の想定だと思いますが、
タイトル・フレーズを何度も何度も繰り返す限りなくシンプルな歌詞の解釈は、どのようにでもできます。僕の好きな言葉「一期一会」とも重なりますね。そういえば、ヤーブロー盤のアルバム・タイトルの「Somehow, Someway」(どういうわけか、とにかく)も、ある意味「一期一会」です。明日からスタートする予定の、「中国オンライン・トリップ」のコンセプトも、「一期一会」です。
最後に、オリジナル(作詞作曲者)バージョンを紹介しておきます。
「Baby You Come Rollin' Cross My Mind」
Jesse Lee Kincaid (1934~) 1969
シングルでリリースされていますが、ヒット・チャートには登場していません。キャピトルP5906ということは、ビートルズやビーチ・ボーイズのキャピトル後期と同じ頃ですね(ちなみにビーチ・ボーイズは途中から2000番台)。
もう一曲、彼の自作のノン・ヒット・シングルに、素敵な曲がありました。
「She Sang Hymns Out Of Tune」 “彼女は調子っぱずれの讃美歌を唄った”
Jesse Lee Kincaid 1967
https://www.youtube.com/watch?v=G_rgK4UdCQM
映像(もちろん後付け)が素敵です。シンプルを通り越して“雑”とも言えそうですけれど、部屋の中の笑顔の女の子、ドブのような池のほとり、、、、なぜか、心に染みます。