1970年代のツーリング車にはフジタのBELT革サドル(ヤグラ金具)、ロードレーサーにはフジタシームレススーパー(ヤグラ金具)を使用していました。ツーリング車のサドルはそのまま乗り続けましたが、ロードレーサーのサドルは、その後、ユニカのキルティングサドルにフジタ・ヒューペルライダーのシートピラーへと変えました。ランドナー車でブルックスB-17ナローサドルも乗りましたが、フジタ革サドルの良さを一層深めました。この時期の「サイクルスポーツ」という月刊誌に、自転車パーツをシリーズで取り上げ、その国産メーカーを取材するという企画がありました。藤田サドル工業を取材協力先として「サドル」を取り上げた記事より、写真と記事内容の一部を抜粋してみました。
「サドル本来の姿はなんといっても皮革(牛革)製のもので、皮革のもつシックリとした柔軟性は人間の肌とのなじみ具合もよく、その乗心地は最高と言えます。一頭の牛でもその部分によって皮の厚さや品質もすべて異なることは言うまでもなく、良質のサドルは牛の背中の皮からとるのです。おなじ背中でもお尻の部分が最高で、順に頭のほうに行くにしたがって品質も落ちることになります。スポーツ車用サドルの構造で、トップ(シート部分)をワイヤー・ベースや軽合金のベースに固定され、適当な張力を与えてトップの柔軟性そのものがクッションの働きをしておりますが、使用中にトップが伸びますと先端に付いた押しピンで調整することができます。サドルを固定する方法も、ヤグラ金具を使用するのがほとんどですが競技用等の高級な車には特殊なシートピラーを使用して直接ワイヤー・ベースに固定する方法がありますが、このシートピラーは外径が25.8ミリ、26.8ミリ、27ミリ、27.2ミリの四種類なのでシートチューブがこのサイズに合ったものでないと使用できません」
写真の中に「特殊ピラー」としてヒューペルライダーの分解構造写真があり、シームレスサドルが取り上げられていますので、この記事は1970年代のものと思われます。
(1970年代月刊誌「サイクルスポーツ」掲載の写真を編集)
カタログは1970年代のものです。高品質のサドルばかりでない、自転車関連用品としてシートピラー・レーサーシューズ・グローブなども世界製品として人気がありました。現在もビンテージの価値を留める創業1906年の革サドルメーカー「藤田サドル工業」は、2010年頃に生産活動を停止した模様です。
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