Feelin' Groovy 11

I have MY books.

ホントの感動か??

2004-10-17 | 
私は本を読みながらよく泣く。

それは登場人物が誤解を受けていたり、死んだりするような
同情を誘う場面に限っていたと思う。

それが、この本では歩いているだけの場面で涙が出てきた。

『19分25秒』 引間徹著 集英社

世界記録が出せる実力を持ちながら、
オリンピックになんか出て誰かのために歩くのが嫌だ、と言う片足のない男。
彼に惹かれて就職の内定を取り消し、競歩を始める主人公。

私が泣けてきたのは、下記の段落。


<四十キロを通過した辺りの一段落>

   もし何かの理由で立ち止まったら、僕を含めた全員が二度と歩き
   だせないだろう。時間内にゴールへたどり着く、ただそれだけの
   目標がこのあたりの集団を支えている。
   (中略)
   五十キロを七時間で歩ききる、その勲章は結局のところ自分で
   自分の首にかけるしかないからだ。


自分だけのために歩く彼らの姿が頭だけでなく心から理解できた瞬間だった。

もちろんこの部分だけ読んでも理解できないはず。
全部読んでみてね。

何回も読んで味が出てくるという本ではないが、
臨場感のある文章が並んでいるこの本は一気に読めるので、
普段本を読まない人にもオススメなのじゃ。