空白の２時間半

普段８時出勤の私は
仕事で気になることがあったので少し早めに家を出、
７時半頃会社へ着いた。

いつも通り会社の門を通過し、
いつも通りテストコースの上の歩道橋を渡り、
いつも通り勤務する部署のある建物へ入った。

その瞬間、異様な気配を感じた。
いつもと違う廊下・・・
いつもと違う人の動き・・・

なんだか暗かったのだ。

けれども普段同様、階段へ向かう。
階段はさらに暗かったが、ひるまず４Fまで昇りきり、
ドアを開けると・・・

自家発電の明かりだけが灯るフロアが広がっていた。

「停電!?」という声が聞こえる中、

　　ここ会社だよね。
　　会社会社。
　　今日雷とか鳴ってたかな？
　　鳴ってない、鳴ってない。

と心の中で自問自答し
しかしいつも通りロッカーへ入ると・・・
そこはさらに暗黒の世界が広がっていた。

この何も見えない中、
着替えをしていると思われる既に到着している人も
（失礼だが）少し不気味であるが、
携帯の明かりを頼りに、自分のロッカーを探す私も
不気味である。

私たちのフロアの（機密上の問題からか）
フィルムを張った窓からの光はまったく当てにならず、
結局原因不明のまま10時まで停電は続いた。
むろん、仕事はまったく出来なかった。

今日分かったこと。

停電すると・・・
トイレの水は流れ、溜まるが、
手を洗う自動水道は作動しない。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　以上