浄心庵・長尾弘先生「垂訓」

八正道と作善止悪

「講演集」より。

2014-09-18 06:16:38 | 浄心庵 長尾弘先生垂訓

            恩師のご著書「講演集」より


                  講演集、一


         「過去世に捉われると実生活を見失う」


今、私に縁ある人々の中で十数人の方が過去世を思い出して、
その当時、生活をしたそれぞれの国の言葉をもってお話をされます。
しかし私達はそんなことに捉われてはません。
人間の転生輪廻の証明の一つとして価値がありますが、今世の生活に何の関係もないことです。
過去の自分が誰であったとか、過去の自分が立派な人間であったとか、たとえ立派な人間であっても、
今生、今現在の自分がその為に道をはずれ、増長慢に捉われ、えらぶったり、
人を見下したり、人の悪口を言ってみたり、
過去世において自分より未熟だと思っていた人が今世で立派に生きている姿を見て嫉妬して、
非難攻撃しておれば、過去世など知らないほうがどれほど幸福かわかりません。
或る先生と呼ばれている方がありました。

その方を慕って全国からいろいろの人達が訪ねてこられます。
たまたま東北地方から過去世の言葉を語る男性が見えておりました。
その日、関東地方から別の男性が日帰りの予定で訪ねてこられましたが、
先生にお会いして、どうしても今晩一晩泊めていただいてお話を聞かせていただきたい、
このまま帰ることができなくなりました、と予定を変更して一泊することになりました。
先生は多忙極まりない人で、その晩も他の大事な用件を中止してそのお客様の為に時間を
つくられました。
夜、近所の奥様も見えて、
お客様の寝床を用意する為に先生の奥様と二人の男性のお客様も含めて四名で奥の部屋へ入って行きました。
先生はこちらの客間でもう出て来るか、もう出て来るかと待ち続けておりますが出てきません。
その間に先生がお客様の為にお風呂を沸かして待っていても、まだ出て来ないのです。
異様な大声や笑い声が時々伝わって来ます。

一時間半は過ぎたでしょう。
待ちかねて先生がお風呂が沸いていますから入って下さい、とその部屋へ行きますと、
何か異様な陶酔したような感じで、四人が膝をつき合わすようにして話をしております。
これは一体どういうことでしょう、この世の常識では考えられない出来事です。
寝床を用意する為に奥の部屋へ入ると突然、過去世の言葉が東北の男性の方から出て来ました。
先生の奥様にも異なる言葉が出て、二人で過去世の言葉で会話が始まったのです。
近所の奥様は感動して泣きだしたのです。
関東の男性の方も始めての現象を目のあたりに見て、びっくりと感激で呆然となっておられました。
このようにして時間が過ぎて行ったのです。

その夜、先生は奥様に対して、この世の常識を破ってはいけない、
主人が客のために大切な用件を断って待っていたのに、
主婦の立場で「先生が待っておられるので早くお話を聴かせてもらいなさい」と案内すべきが道である。
「一度自分の行為を反省しなさい」と注意されました。
ところが奥様にしてみると「お互いの守護霊が出て話し合うので仕方がなかった、
これはあくまで神のご意志です」と自分の正しさを主張します。
結果、その奥様は「実家に帰って反省して来ます」と言って早朝から実家のほうへ帰ってしまったのです。
大変、人の出入りの多い先生のお宅です。

お見えになった人々は、今日は奥さんはどうされましたか、と聞かれます。
先生は「急用ができて実家の方へ帰っております」と苦しい答えをされておりました。
さてこの一つの出来事を通して、霊道現象、過去世というものは一体どういう価値のあるものだったでしょう。
過去世が蘇り、それに捉われて実生活を見失った、先生と呼ばれる人々を余りにも多く見聞してきました。
私達はこの肉体の五蘊を通して魂の修行をする為に生まれてきた筈です。
霊道現象の最も危険なことは、自分ができた人間である、人よりも勝れた能力があると思いこむことです。
そして増長慢に捉われていきます。
その結果、人の言うことは耳に入らなくなっていきます。
もうこうなってしまいますと、完全に悪魔の支配下に入ってしまいます。


                ~ 感謝・合掌 ~




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