浄心庵・長尾弘先生「垂訓」

八正道と作善止悪

「講演集」より。

2014-09-01 00:52:32 | 浄心庵 長尾弘先生垂訓

      ~ 恩師のご著書「講演集」より ~


             講演集、 一


      「お墓のない村、その教え」


日本の中にはまだこういう所があるのかと
思うほど不思議な土地にご縁がありまして、
「何とかその土地を浄化して欲しい」と頼まれ、
この間寄せてもらいました。
それは地域的に非常に不調和な所です。
その村に行きますと、お墓が今も一つもないのです。
ただ一軒か二軒だけ別の場所に石碑がありましたが、
一般の人は石碑がないのですね。
戸数は約百六十戸、所有している田の総面積は二百八十町歩で、
これを百六十軒で持っておられます。

このたび農地の整備が行われて、とても広々とした平野ですが、
それでもご先祖様の墓地に提出するのが惜しいのだそうです。
二百八十町歩の財産を持っている村ですのに、
狭い共同墓地があるだけで、
墓地と言っても墓石は一つもありません。
二百坪足らずの誠に狭い場所に、
人が亡くなると穴を掘って埋めるのです。

次々に埋めていきますから、
面積が少しでも少なくて済むように、
お棺の大きさは四十五センチ、一尺五寸角の座棺で、
高さは少しある棺桶の中に、
死んだ人の骨をポキポキ折って詰め込み、
頭が入らない時はグッと押さえ込んで、
釘を打ちつけ、穴を掘って埋め込むのです。
埋めると、その周りに割り竹をぐるっと刺す、
その長さは三メートルぐらいで、
その竹の上をまとめて縄でしばってあり、それがお墓の印です。
雨曝しですから、二、三年もすれば縄は腐って竹はバラバラになります。
ところがこの竹を又新しく建てることは
村のしきたりによってできないのです。

バラバラになってなくなればそれでおしまいです。
お墓がなくなるのです。
それで、
今度別の人が亡くなればまたそこを掘り返して埋めるので
他人の墓やら自分の墓やら分かない状態になる。
しかも掘り返すと骨が出て来るならまだしも、
棺桶がそのまま出て来るというのです。
悪い事にそこは湿地帯で、墓穴を掘ると水がいっぱい湧き出て来る。
その水の中に棺桶を押さえつけて沈めて
上から土で埋めるのだそうです。
一尺五寸四方の穴を掘って棺を収めるのに、
四つも棺桶が出てきたそうです。

地下は棺桶でぎっしり満員になる程埋めてあるので、
ちょうど四つ埋めてある角を掘り当てると、
そういうことになります。
その棺桶を割って、そこへ埋めなければいけないのですね。
土地は一杯あるのに、お墓の為の地所は勿体ないと言って、
出す人がないのです。
こんな話を聞いていますと鬼気迫ります。


            ~ 感謝・合掌 ~






  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする