恩師のご著書「真理を求める愚か者の独り言」より
第五章 心の曇りをとるための反省
父母の恩を知り孝養を尽くすべき
先の続き・・・
不浄を厭う色もなく、洗うも日に日に幾度かや。
己は寒さに凍えても、着たるを脱ぎて子を包み、
甘きは吐きて子に与え、苦きは自ら食らうなり。
幼な子乳を含むこと、百八十石を越すとかや。
まことに父母の恵みこそ、天の極まり無きが如し。
父母は吾が子のためならば、悪行作り、罪重ね、
よしや地獄に落ちるとも、少しの悔いも無きぞかし。
もし、子遠くに行くあらば、帰りてその面見るまでは、
入りても出ても子を想い、寝ても醒めても子を想う。
髪くしけずり、顔ぬぐい、衣を求め帯を買う。
美しきは皆子に与え、父母は古きを選ぶなり。
己れ生あるそのうちは、子の身に変わらんこと思い、
己れ死に行くそのあとは、子の身を守らんこと思う。
寄る年波の重なりて、いつしか頭の霜白く、
衰えませる父・母を、仰げば落つる涙かな。
ああ、有り難き父の恩。子はいかにして報ゆべき。
ああ、有り難き母の恩。子はいかにして報ずべし。