恩師のご著書「講演集」より
講演集、 二
無償の行為とそれに伴う現象
そこで間違ってはならないことは、人さまの為に尽くさせていただいて、
一生懸命心底から尽くした時に、人から裏切られた場合です。
この時、私たちは自分の心を傷つけます。
「ほんとうになんという憎い人だ。あれだけしてやったのに、あの恩知らず。
ようあんな恩知らずの人があったものだ」と言って、
自分が尽くした人の裏切りによって、夜も寝ないで苦しんでいるのですね。
この苦しみが、せっかく良い行いをしながら自分を不幸におとしいれている
一つの大きな原因となっています。
「あの人は神か仏のような方で、あんないい人がなぜあんな不幸な一生を送ったのか、
あんないい方がなぜあんなえらい病気になったのだろうか」と思うような方がたくさんおられます。
それは全部、自分の心を苦しめたという原因が、
苦しみという不幸な結果として現れているのですが、案外このことに気が付いていません。
「裏切った人が悪い、私は一生懸命尽くしたのに、あの裏切り者が悪い」と言って、
人を恨みます。
しかし苦しんでいるのは自分の心です。
恩を忘れて裏切った人の心は苦しんでいません。
裏切られた人は夜も寝られないで腹を立てて怒っていますが、
裏切った当人は、そんなことには関係なくぐうぐう寝ています。
~ 感謝・合掌 ~