変な夢を見る。スペースシャトルのようなずんぐりした飛行機が日本に墜落する夢。どういう深層心理からこんな夢を見るのかな。
さて、久しぶりの歌舞伎。いつもいい席をとってくれた方が亡くなり、自力でチケットを取るので、今回は2階席。視力が落ちているのか、夜の場面が多くて舞台がうす暗いのもあり、よく見えなかった。オペラグラスを忘れたのが返す返すも残念。
七月大歌舞伎 夜の部 平成29年7月3日~27日 大阪松竹座
<舌出三番叟>
鴈治郎さんと壱太郎さんの舞踊。壱太郎さんが可憐。
<盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)>
●佃沖新地鼻の場
三五郎の漕ぐ舟に乗るのは、芸者の小万。小万と三五郎は夫婦。勘当の身の三五郎は、父から旧主のために百両を用立ててほしいと頼まれ、小万は芸者勤めに出ていた。そこへ、小万に入れ込む源五兵衛が乗った舟が漕ぎよせ、小万に声をかける。
花道に水色の布が敷かれ、三五郎と小万の乗った舟が進む。花道に舟が進むのを、私は初めて見た。最後に源五兵衛、三五郎、小万が見得を切るところは、一幅の絵のように美しかった。
●深川大和町の場
源五兵衛の家。若党の六七八右衛門が家財道具を運び出そうとする道具屋ともめている。五兵衛は、道具屋の言う通りにしろと言う。塩治家の家臣であった五兵衛は、御用金を盗賊に盗まれた落ち度で浪人になった。主君は高野師直に刃傷に及び切腹、塩治家はお家断絶。亡き主君の仇討ちの一味に加わりたいと思う五兵衛。そこへ小万が仲間とやってきて、腕に「五大力」(男女の恋の誓いのしるし)を彫っているという。さらに伯父の富森助右衛門が仇討ちに加われるように百両を持ってくるが、五兵衛の放埓を諫める。八右衛門に追い返される小万たちだが、入れ替わりに三五郎がやってきて小万のところへ行くよう誘う。始めは自重する五兵衛も小万会いたさに出かけていく。
八右衛門の松也さんが、爽やかで主人を想う家来を熱演。以前見た時は、大げさな芝居が気になったが、今回はそんな気もせず、よかった。
●二軒茶屋の場
二軒茶屋の伊勢屋の座敷。伴右衛門の身請けを拒む小万のところへ、三五郎に連れられ、五兵衛が現れる。なす術のない五兵衛を見ると小万は自害を企てる。すると、五兵衛は伯父の助右衛門から受け取った百両を小万の身請けに差し出す。そして、五兵衛は三五郎と小万と夫婦であること、この場は五兵衛から金を巻き上げるための芝居と知る。恨みを残して五兵衛は立ち去る。
仁左衛門さん扮する五兵衛が怒りを抑えながら花道を去るところが圧巻。
●五人切の場
五兵衛から金を巻き上げた者たちが太鼓持ちの虎蔵の家に集まっている。三五郎は小万の腕の彫り物を「五大力」から「三五大切」と書き替える。一同寝静まったところへ、五兵衛が現れその場に居合わせたものを次々に切っていく。その物音に気付いた三五郎と小万はその場から逃げていく。
障子に影が映り、五兵衛登場。切って切りまくる仁左衛門さんが凄味のある美しさ。私は薄暗くてよく見えなかったが、一緒に行った子どもによると首や腕が転がる血まみれホラーだったとか。
●四谷鬼横町の場
四谷鬼横町の長屋。昨日引っ越してきた八右衛門は、幽霊が出たと引っ越そうとしている。大家の弥助は、お岩の幽霊が出ると言う。一日でも一月分の家賃を払えと八右衛門と弥助がもめているところへ、小万と三五郎がやってくる。挨拶をしていて、弥助は小万の兄とわかる。そこへ通りかかったのは了心。了心は三五郎の実父で不破数右衛門(源五兵衛)に仕えており、数右衛門が仇討ちに加わるための百両の工面に腐心していた。三五郎は了心に五兵衛から巻き上げた百両を渡す。数右衛門に金を渡すために帰った了心と入れ違いにやってきたのは、五兵衛。怯える三五郎たちに兄弟同然の付き合いをしてほしいと酒樽を渡す。そこへ役人が来て、五人切りの下手人として五兵衛を捕らえようとする。八右衛門は飛び出し自分が下手人だと申し立て、五兵衛の身代わりとなって縄を打たれて引き立てられる。五兵衛も小万のことは思い切ったと言い捨て去る。
夜になるとお岩の幽霊が出るが、正体は弥助。幽霊に化けて店子を追い出し、家賃を稼いでいたのだ。そこへ、三五郎が以前この部屋に住んでいた高野家の出入りの大工が持っていた高野家の図面を見つける。弥助は図面を取り上げ酒をねだるので、五兵衛持参の酒を飲ませる。腕の彫り物から弥助が塩治家から御用金を盗んだ犯人とわかったところ、弥助が苦しみだす。五兵衛が持参した酒は毒酒だった。三五郎は弥助にとどめを刺し、図面を了心に渡すようと小万に頼んで、自害しようとする。そこへ現れた了心は、三五郎をなだめて、三五郎を四斗樽の中に隠し自分の家へと運んでいく。了心が去り、小万が兄を弔うところへ五兵衛が現れる。赤子の泣き声で三五郎と小万の子がいることを知り、小万の彫り物が「三五大切」になっていることに気付くと小万に切りかかる。我が子の命ごいをする小万の手を刀に添えて五兵衛は、赤子に突き立てる。さらに小万の首を打ち落として懐へ押し込み長屋を後にする五兵衛だった。
悪の美学というのだろうか。最後、雨の中立ち去る五兵衛は、凄惨な中に妖しい美が。刀を振り回す五兵衛に、会場は息をのんだように物音一つ立てずに魅入られた。
●愛染院門前の場
隠れ住む愛染院の庵室に戻った五兵衛は、小万の首を前に食事をする。そこへ、了心が図面を持って現れ、五兵衛は大星由良之助へ図面と百両を渡すように頼む。五兵衛が罪を打ち明け切腹しようとすると側の樽がばらばらと開き、出刃を腹に突き立てた三五郎が現れる。三五郎は、主君とも知らず金をだまし取った罪滅ぼしに五兵衛の罪をかぶるので、五兵衛にかたき討ちに加わるように願うのであった。
薄暗くてよく見えなかったのだが、子どもによると小万の首の口が開いて怖かったとか。
百両はただグルグル回っただけで、多くの人が命を落とすという、なんとも言えない話。しかし、夏にはピッタリの背筋が寒くなる怖い話。仁左衛門さんの凄味のある美しさと松也さんの一途さが印象的だった。
さて、久しぶりの歌舞伎。いつもいい席をとってくれた方が亡くなり、自力でチケットを取るので、今回は2階席。視力が落ちているのか、夜の場面が多くて舞台がうす暗いのもあり、よく見えなかった。オペラグラスを忘れたのが返す返すも残念。
七月大歌舞伎 夜の部 平成29年7月3日~27日 大阪松竹座
<舌出三番叟>
鴈治郎さんと壱太郎さんの舞踊。壱太郎さんが可憐。
<盟三五大切(かみかけてさんごたいせつ)>
●佃沖新地鼻の場
三五郎の漕ぐ舟に乗るのは、芸者の小万。小万と三五郎は夫婦。勘当の身の三五郎は、父から旧主のために百両を用立ててほしいと頼まれ、小万は芸者勤めに出ていた。そこへ、小万に入れ込む源五兵衛が乗った舟が漕ぎよせ、小万に声をかける。
花道に水色の布が敷かれ、三五郎と小万の乗った舟が進む。花道に舟が進むのを、私は初めて見た。最後に源五兵衛、三五郎、小万が見得を切るところは、一幅の絵のように美しかった。
●深川大和町の場
源五兵衛の家。若党の六七八右衛門が家財道具を運び出そうとする道具屋ともめている。五兵衛は、道具屋の言う通りにしろと言う。塩治家の家臣であった五兵衛は、御用金を盗賊に盗まれた落ち度で浪人になった。主君は高野師直に刃傷に及び切腹、塩治家はお家断絶。亡き主君の仇討ちの一味に加わりたいと思う五兵衛。そこへ小万が仲間とやってきて、腕に「五大力」(男女の恋の誓いのしるし)を彫っているという。さらに伯父の富森助右衛門が仇討ちに加われるように百両を持ってくるが、五兵衛の放埓を諫める。八右衛門に追い返される小万たちだが、入れ替わりに三五郎がやってきて小万のところへ行くよう誘う。始めは自重する五兵衛も小万会いたさに出かけていく。
八右衛門の松也さんが、爽やかで主人を想う家来を熱演。以前見た時は、大げさな芝居が気になったが、今回はそんな気もせず、よかった。
●二軒茶屋の場
二軒茶屋の伊勢屋の座敷。伴右衛門の身請けを拒む小万のところへ、三五郎に連れられ、五兵衛が現れる。なす術のない五兵衛を見ると小万は自害を企てる。すると、五兵衛は伯父の助右衛門から受け取った百両を小万の身請けに差し出す。そして、五兵衛は三五郎と小万と夫婦であること、この場は五兵衛から金を巻き上げるための芝居と知る。恨みを残して五兵衛は立ち去る。
仁左衛門さん扮する五兵衛が怒りを抑えながら花道を去るところが圧巻。
●五人切の場
五兵衛から金を巻き上げた者たちが太鼓持ちの虎蔵の家に集まっている。三五郎は小万の腕の彫り物を「五大力」から「三五大切」と書き替える。一同寝静まったところへ、五兵衛が現れその場に居合わせたものを次々に切っていく。その物音に気付いた三五郎と小万はその場から逃げていく。
障子に影が映り、五兵衛登場。切って切りまくる仁左衛門さんが凄味のある美しさ。私は薄暗くてよく見えなかったが、一緒に行った子どもによると首や腕が転がる血まみれホラーだったとか。
●四谷鬼横町の場
四谷鬼横町の長屋。昨日引っ越してきた八右衛門は、幽霊が出たと引っ越そうとしている。大家の弥助は、お岩の幽霊が出ると言う。一日でも一月分の家賃を払えと八右衛門と弥助がもめているところへ、小万と三五郎がやってくる。挨拶をしていて、弥助は小万の兄とわかる。そこへ通りかかったのは了心。了心は三五郎の実父で不破数右衛門(源五兵衛)に仕えており、数右衛門が仇討ちに加わるための百両の工面に腐心していた。三五郎は了心に五兵衛から巻き上げた百両を渡す。数右衛門に金を渡すために帰った了心と入れ違いにやってきたのは、五兵衛。怯える三五郎たちに兄弟同然の付き合いをしてほしいと酒樽を渡す。そこへ役人が来て、五人切りの下手人として五兵衛を捕らえようとする。八右衛門は飛び出し自分が下手人だと申し立て、五兵衛の身代わりとなって縄を打たれて引き立てられる。五兵衛も小万のことは思い切ったと言い捨て去る。
夜になるとお岩の幽霊が出るが、正体は弥助。幽霊に化けて店子を追い出し、家賃を稼いでいたのだ。そこへ、三五郎が以前この部屋に住んでいた高野家の出入りの大工が持っていた高野家の図面を見つける。弥助は図面を取り上げ酒をねだるので、五兵衛持参の酒を飲ませる。腕の彫り物から弥助が塩治家から御用金を盗んだ犯人とわかったところ、弥助が苦しみだす。五兵衛が持参した酒は毒酒だった。三五郎は弥助にとどめを刺し、図面を了心に渡すようと小万に頼んで、自害しようとする。そこへ現れた了心は、三五郎をなだめて、三五郎を四斗樽の中に隠し自分の家へと運んでいく。了心が去り、小万が兄を弔うところへ五兵衛が現れる。赤子の泣き声で三五郎と小万の子がいることを知り、小万の彫り物が「三五大切」になっていることに気付くと小万に切りかかる。我が子の命ごいをする小万の手を刀に添えて五兵衛は、赤子に突き立てる。さらに小万の首を打ち落として懐へ押し込み長屋を後にする五兵衛だった。
悪の美学というのだろうか。最後、雨の中立ち去る五兵衛は、凄惨な中に妖しい美が。刀を振り回す五兵衛に、会場は息をのんだように物音一つ立てずに魅入られた。
●愛染院門前の場
隠れ住む愛染院の庵室に戻った五兵衛は、小万の首を前に食事をする。そこへ、了心が図面を持って現れ、五兵衛は大星由良之助へ図面と百両を渡すように頼む。五兵衛が罪を打ち明け切腹しようとすると側の樽がばらばらと開き、出刃を腹に突き立てた三五郎が現れる。三五郎は、主君とも知らず金をだまし取った罪滅ぼしに五兵衛の罪をかぶるので、五兵衛にかたき討ちに加わるように願うのであった。
薄暗くてよく見えなかったのだが、子どもによると小万の首の口が開いて怖かったとか。
百両はただグルグル回っただけで、多くの人が命を落とすという、なんとも言えない話。しかし、夏にはピッタリの背筋が寒くなる怖い話。仁左衛門さんの凄味のある美しさと松也さんの一途さが印象的だった。