ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『i』『レッドドラゴン』

2017-09-10 20:13:49 | 
昨日は重陽の節句。着せ綿をいただく。

着せ綿、ふのやき

金曜日の朝日新聞の朝刊に関ジャニ∞の全面広告が載っていたらしい。すごいなあ。

『i』 西加奈子 ポプラ社
「この世界にアイは存在しません。」入学式の翌日、数学教師は言った。ひとりだけ、え、と声を出した。ワイルド曽田アイ。彼女は、シリア生まれでアメリカ人の父と日本人の母の養子となり、何不自由なく育てられる。その言葉は、アイに衝撃を与え、彼女の胸に居座り続けることになる。
 一番初めの文が効いている。アイとは、虚数のiであり、養子のアイであり、一人称のIであり、愛であるのだ。
 悲劇に巻き込まれた人を見ると「どうして?」と思い、被害にあわず、何もできない自分を恥じることがあるだろう。その一つの答えを提示するような気がする。「渦中にいなくても、その人たちのことを思って苦しんでいいと思う。その苦しみが広がって、知らなかった誰かが想像する余地になるんだと思う(中略)想像するってことは心を、想いを寄せることだと思う」できれば、行動をおこせばいいのだが、なかなかできない。せめて祈りの力を信じたい。
 

『レッドドラゴン』トマス・ハリス ハヤカワ文庫
 満月の夜に連続して起きた一家惨殺事件は全米を震撼させた。次の満月までに犯人を逮捕すべく、元FBIアカデミー教官のグレアムは捜査を開始する。彼は犯人像の手がかりを得ようと、以前連続殺人事件で逮捕した精神科医のレクター博士を、収容先の異常犯罪者専用の医療施設に訪ねた。犯人は次の殺害計画を練る一方でこうした動きを新聞で知り、グレアムをつけ狙い始める。
 ウィリアム・ブレイクの絵がキーポイントになると聞いて読む。おもしろかった。犯人の幼少期の体験は痛ましいし、レバは魅力的な女性なのだが、犯人と触れ合ったことで、彼女のその後がどうなったのか気になる。ラストは驚き、最後の部分は人間の深淵を見るようで深い味わいになる。「自然には慈悲というものはない・・・われわれが慈悲をつくる・・・(中略)殺人というものもない・・・われわれが殺人をつくる」「取り憑かれているのは人間なんだ」
コメント
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