ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『百年泥』『おらおらでひとりいぐも』(『文藝春秋2018年3月号』)

2018-04-23 22:57:05 | 
 丸ちゃんがすばるくん脱退会見でメガネをかけていたのは、会見に出席できなかった安くんがメガネをよくかけているので、安くんと一緒という意味でというようなことをサタプラで言っていた。なんで?と思っていたが、そんな深い意味があったとは。

『百年泥』 石井遊佳
 私は、多重債務返済のため、南インドのチェンナイで日本語教師として働く女性。現地に暮らしてほどなく100年に一度の洪水が襲い、アダイヤール川が氾濫して川底にあった100年分の泥が流出する。橋の下に逆巻く川の流れの泥から百年の記憶が蘇る!流れゆくのは――あったかもしれない人生、群れみだれる人びと……  
 芥川賞受賞作。泥から出てくるものを見て、現在から過去の世界に飛ぶ。現在と過去の世界を自由自在に行き来し、物語を紡いでいく。と思いきや翼で空中を飛ぶ人が出てきて、ここは現在なのかと現実との境が曖昧になる。ごった煮のようであり、むうとした熱気を感じるような作品。

『おらおらでひとりいぐも』 若竹千佐子
 74歳、ひとり暮らしの桃子さん。40年来住み慣れた都市近郊の新興住宅で、ひとり茶をすすり、ねずみの音に耳をすませるうちに、桃子さんの内から外から、声がジャズのセッションのように湧きあがる。捨てた故郷、疎遠になった息子と娘、そして亡き夫への愛。震えるような悲しみの果てに、桃子さんが辿り着いたものとは――
 東北弁がとっても読みづらかったが、いい味を出している。桃子さんが、自分の内にひそんでいる声たちに耳を傾けるうちに、過去と向き合い、人生を考える。普通のおばあさんに見える桃子さんだが、情熱を持った、ユーモアのある人だ。私は、桃子さんのように自分の過去と真剣に向き合うことができるだろうか。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする