ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『Gメン'82』1982~1983

2018-12-10 00:05:12 | 刑事ドラマ HISTORY









 
『太陽にほえろ!』の強力なライバルだったTBS系列の刑事ドラマ『Gメン’75』も’80年代に入ると勢いを失い、’82年の春に一旦終了。その半年後に『Gメン’82』として仕切り直す事になりました。制作はTBSと近藤照男プロダクション。

前作からのメンバー・丹波哲郎、若林 豪、范 文雀、江波杏子に、新メンバーとして篠田三郎、清水健太郎、三浦浩一が加わり、放映枠が土曜夜9時から日曜夜8時へと移動しました。

しかし当時の日曜夜8時と言えば、裏番組にNHK大河ドラマがあるばかりか、絶好調だった『西部警察 PART II』まで敵に回す激戦区。よっぽど面白くなければ太刀打ち出来ません。

当時、私も第1話を観てみましたが、ドキュメンタリーかよ?って言いたくなるような淡々とした作劇で、ちっとも面白いと感じられず即座にリタイアしちゃいました。

今にして思えば、大河ドラマの豪華さや『西部~』の派手さに対して『Gメン~』は原点である「ハードボイルド」で真っ向勝負を挑んだ、その結果なのかも知れません。

創り手の姿勢としては決して間違ってないけど、例によっていくつもの不幸が重なり連鎖していく『Gメン~』独特の作劇、その暗さやケレン味は明るく軽い'80年代の空気と明らかにズレてました。

時代の変化にうまく対応した『太陽にほえろ!』がさらに5年近く延命したのとは対照的に、あくまでもシリアスを貫いた『Gメン'82』は平均視聴率5.1%と数字的に低迷し、わずか17話で幕引きとなりました。

でも、今回の記事を書くためにDVDをレンタルし、あらためて第1話から第3話までを観直しましたが、決してつまらなくはないんですよね。

警視庁捜査一課の刑事である早坂警部補(篠田三郎)の妹が轢き逃げで殺され、その犯人(峰岸 徹)が警察の上司で婚約者(岡まゆみ)の兄だった!というw、相変わらずのGメン節に加えて白バイアクション、沖縄ロケと『Gメン~』のエッセンスが目一杯詰まった第1話。もちろん岡さんも峰岸さんも殺されちゃいます。

で、早坂と、捜査に参加した彼の後輩・島刑事(三浦浩一)、そして沖縄県警の沢田刑事(清水健太郎)がGメンに新加入するワケだけど、早坂が黒幕を追い詰めて背後から3発の銃弾をぶち込むラストシーンで、唐突に丹波ボスの「Gメンは心強い3人の仲間を得て新たなスタートを切った」っていうナレーションが入る。なぜ彼らがGメンに異動したのか、説明いっさい無しw(個人的恨みで犯人を射殺した早坂と、それを止めなかった2人がクビになってGメンに拾われた、と脳内補完出来なくはないけど)

第2話は『アイドル歌手トリック殺人』っていうサブタイトルなんだけど、人気アイドル(倉田まり子)が車で誤って人を轢いてしまい、マネージャーを務める母親(水野久美)の指示で事故を隠蔽しちゃうというストーリーで、全然「トリック殺人」じゃないんですよねw 名と実のギャップが凄すぎるw

そして第3話は幼稚園内で起きた殺人事件の謎を、現場に居合わせた賀川刑事(范文雀)が解いていく密室殺人ミステリーと、まぁ実にバラエティー豊か。そして相変わらずの強引極まりない作劇。

当時はそういうのが古臭くて「ダサい」と感じたのに、どれもこれも似たり寄ったりで無難な作りの刑事物しか見られない現在、あらめて観直すと新鮮で面白かったりするワケです。

『太陽~』や『西部~』の若手メンバーたちに比べると地味に思えた篠田さん、清水さん、三浦さんのトリオも、昨今の無味無臭なイケメン俳優たちよりよっぽど魅力的だし、丹波ボス&若林豪さんの渋味と貫禄も今や絶滅危惧種です。

女性刑事2人体制も当時は画期的でした。ただ、江波杏子さんと范文雀さんはイメージがよく似てて、キャラが被ってるように見えちゃうのは惜しいところ。1人がクールビューティーなら、もう1人は可愛い系でキャスティングしても良かったんじゃ?なんて思うけど、そういう面でもあくまで「ハードボイルド」にこだわるのが『Gメン~』の良さなのかも知れません。

シリーズ後半にはあの「香港カラテ」シリーズも復活し、同じく『~'75』の名物だった蟹江敬三さんの「黒谷町シリーズ」も完結編が創られたんだとか。

時代が進んで見せ方も洗練されてますから、この『~'82』は『~'75』をより見易く、短いスパンでリメイクした決定版と言えるかも?

少なくとも、後にビデオ撮影で制作される復活スペシャルよりは、よっぽど見応えがあるだろうと私は思います。
 
コメント (7)
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