ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ツバキ文具店/鎌倉代書屋物語』#04~#06

2018-12-28 12:00:25 | 多部未華子







 
予告通りw、第6話における高橋克典さんのエピソードに号泣しました。認知症の母とか、父の死とか、今の自分にとって最も感情移入しやすいテーマです。

高橋さんのお母さん(草村礼子)が徘徊を繰り返すのは、海外を飛び回る夫からの手紙を、ずっと待ってるから。その夫はもう他界してるもんで、息子の高橋さんが鳩子(多部未華子)に代書を依頼し、その手紙によって徘徊が収まるっていう展開は、まぁ容易に予想出来るし、それ以外の展開はまず考えられません。

にも関わらず泣いちゃう。観る前から、想像しただけで泣いちゃうんだから、そりゃ実際に観たら号泣するに決まってますw しかし、よもや第6話まで引っ張られるとは!w

これがTBS「日曜劇場」あたりのドラマだと、押しつけがましい泣かせ演出で逆に冷めちゃうんだけど、本作がそうでないことは既に分かってますから、身構えること無く安心して泣けるってもんです。

我々視聴者だってバカじゃないですから、そのストーリーが最初から「泣かせ」ありきで組み立てられたものか、ただ純粋に伝えたいことを真摯に伝えてるだけ(泣くのはあくまで、その結果)なのかぐらい、本能的に嗅ぎ分けます。

これはもう、ドラマの創り手と我々視聴者、送り手と受け手との信頼関係です。例え視聴者を泣かせたい意図が両作品とも同じだったとしても、そこに視聴者との信頼関係が築かれてるか否かで、結果は大きく違って来ます。

こんなこと、いくら書いたところで、日曜劇場で毎週気持ち良く泣いてらっしゃる方には意味不明ですよねw 別に日曜劇場で泣くのが悪いとは言わないけど……

それはともかく、鳩子が一体どんな手紙を書いて事態を収束させるのか、今回も興味深く観させて頂きました。

「いつも見てる」っていうセンテンスに、お母さんは安心した様子です。たぶん、夫がもうこの世にいないっていう事実を、頭ではちゃんと理解してたんですね。

それでお母さんの徘徊が治まったのか否か、結果をあえて語らないのも良かったと思います。わざわざ言わなくても分かることです。

代書屋の仕事はやっぱり、小説や脚本を書く仕事とよく似てます。言わば他人になりすまして嘘をつくワケだけど、心にも無いことを書くとその嘘はバレてしまう。そう、日曜劇場みたいにw

作者がちゃんと登場人物の気持ちを理解し、自分自身の気持ちとリンクさせて書かないと、読者や視聴者には伝わらない。第1話で鳩子が初めて手紙の代書をした時、全然ハートがこもってないって、クライアントに叱られましたよね? それが(私から見れば)日曜劇場の脚本ですよ!w

ドラマの脚本を書く作業は、視聴者に向けて手紙を書くのと同じなんです。ただ小手先で視聴者やスポンサーの機嫌を取ろうとしたって、我々はまるっとお見通しだ!ってワケです。スポンサーのお偉いさん達は騙せても、視聴者は騙せません。

……って思いたいけど、日曜劇場が高視聴率を稼いでる現実を見ると、やっぱ破滅と言わざるを得ませんね。破滅です。決して日曜劇場だけが悪いワケじゃないんだけど、あれが今一番分かりやすい、小手先「泣かせ」ドラマの典型です。

その対極にあるのが、この『ツバキ文具店/鎌倉代書屋物語』。もちろん、技術も凄い! けど、それ以前に、ちゃんと心がこもってます。嘘だと思うなら観てみるでござる。
 
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『デカワンコ』#08

2018-12-28 00:00:24 | 多部未華子









 
☆FILE.8『コレって最終回!?』

(2011.3.5.OA/脚本=伴 一彦/演出=中島 悟)

第1話で最初に花森一子=ワンコ(多部未華子)の特殊能力を信じてくれた人なのに、暴力団「銀星会」との癒着および殺人容疑で逮捕されちゃった、五十嵐警部補=ガラさん(佐野史郎)。そして前回、ガラさんの供述に「嘘の匂い」を嗅ぎ付けたワンコ。果たしてガラさんは、本当に殺人を犯したのか?

その真相が明かされる本エピソードは、サブタイトル通りまるで最終回みたいな内容でした。ちゃんとした刑事ドラマなら確実に最終回ですw 何しろ実際の『デカワンコ』最終回は、刑事たちの慰安旅行記に1時間を費やしてしまうw

それはともかく、ガラさんが逮捕された事で癒着は無くなった筈なのに、なおも捜査情報が銀星会に流れてる=もう一人スパイが警視庁に潜んでると睨んだガラさんは、仮病で入院していた病院を脱走し、銀星会に乗り込んでスパイの正体を探ります。

より刑が重くなっちゃう事を覚悟の上で、命懸けで正義を貫き、自らの罪を償おうとする姿を見て、13係の刑事たちはガラさんへの敬意を取り戻します。

お陰でもう一人のスパイは逮捕出来たし、ガラさんの殺人も不可抗力だった事が判明するんだけど、罪は罪。再び拘留されていくガラさんを見送る13係刑事たちの眼差しは、第1話の時とは明らかに違ってました。

スパイ特定の決め手になったのは、やっぱりワンコの特殊な嗅覚。第1話の時はガラさんしか信じてなかったのに、今回は刑事たち全員がすんなり信じちゃう。そんな様子を見て、ただでさえ細い眼をいっそう細めて、ガラさんが言うんですよね。

「花森。お前、みんなからワンコって呼ばれてるんだな」

13係で浮いた存在だったワンコが、しばらく見ない間にすっかり受け入れられ、信頼されてる。その嬉しさと、自分だけ蚊帳の外にいる寂しさが同時に伝わって来る、さりげなくも味わい深いセリフです。

ところでスパイの正体は、マルボーこと組織犯罪対策部のベテラン刑事でした。演じたのは、日本一ヤクザ役が似合う小沢仁志さんw マルボーの刑事がヤクザより強面なのはリアルかも知れないけど、ファッションまでヤクザの幹部そのものなのは笑いましたw

また、ガラさんを追って独りで銀星会に乗り込んだワンコの窮地を救ったのが、下宿先のお爺ちゃん(上田耕一)。その正体が、ヤクザもひれ伏す大人物「山田彦左衛門」である事も今回明かされましたw

明かされたと言っても、なぜヤクザたちが山田彦左衛門に頭が上がらないのか、その理由の説明は一切無しw 彼がそんな大人物だとは、演じる上田耕一さんも今回の台本を貰うまで知らなかった事でしょうw

ワンコが銀星会に乗り込む際のセリフ「すみません、そのスジの方ですか?」も爆笑もんだしw、ほんと何をやってもスベらない、これは奇跡のドラマです。

PS. 第8話が第1話と対になってるのはガラさんの件だけじゃありません。ワンコはじめ13係の刑事たちが拳銃を握ったのって、この2回だけなんですよね。

「デコるなよ」

常時携帯を命じられ、ほくそ笑むワンコに先輩たちが釘を刺しましたw

それでもちゃっかり、拳銃のシリンダーにピーポくんステッカーを貼り、ランヤード替わりに派手なストラップを繋げてデコりまくるワンコw

で、いざ拳銃所持の犯人と対峙したら、そのストラップがホルスターに引っ掛かって銃が抜けないというポンコツぶりw

ワンコ刑事、ほんと最高ですw
 
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