2018年の春シーズン、テレビ朝日系列の木曜夜9時「木曜ドラマ」枠で全8話が放映されたミステリードラマ。麻見和史さんの小説『警視庁文書捜査官』シリーズを映像化した作品で、'19年春には2時間スペシャル、'20年夏にはseason2全7話も放映されてます。
当時、同じ局の同じ曜日に夜8時枠で放映されてた『警視庁捜査一課長』と世界観を共有しており、初回では内藤剛志さんがチラッと登場、波瑠さんもあちらにゲスト出演する相互コラボが実現しました。
捜査一課特命捜査対策室の新設部署=第6係(実質は資料庫の整理係)に配属された、猪突猛進型の熱血刑事=矢代 朋(波瑠)が「倉庫番の魔女」と呼ばれる変人刑事=鳴海理沙(鈴木京香)とコンビを組み、未解決事件を勝手に捜査し、解決に導きます。
ほか、二人の上司となる係長に高田純次、主任に遠藤憲一、特命捜査対策室の室長に沢村一樹、強行犯係の係長に光石研、刑事に工藤阿須加、初回ゲストに中山美穂、渡辺いっけい、風間俊介etc…と、実に豪華な顔ぶれ。season2では定年退職という形で降板した高田純次さんに代わり、谷原章介さんが新係長の役に就任されてます。
警視庁の窓際部署にいる二人の刑事、地下倉庫にある刑事部屋、長期未解決事件の再捜査、主人公らを煙たがる現場の刑事たち等々、すっかり使い古された設定の寄せ集めで、これまで刑事役を何回やられてるのか分かんない役者さん達のオンパレード。新しさがカケラもなく、普通なら退屈しそうなもんなのに、これが意外と面白い。
脚本がNHKの朝ドラ『あさが来た』を手掛けられた大森美香さんで、久々に弾けたキャラの波瑠さんを見せてくれて、これが実に魅力的。考えるよりも身体が先に動く真っ直ぐな熱血漢ぶりは『太陽にほえろ!』の新米刑事そのもので、ちょっと懐かしくもあって心地好い。
対する鈴木京香さんの「変人の切れ者デカ」設定も今や見飽きたもんだけど、人間よりも文字が好きという珍しい種類のマニアで、その文書解読スキルが捜査に役立つ描写もユニーク、かつ説得力があります。
そんな彼女らを煙たがるステレオタイプ刑事の代表格が沢村一樹さんっていうのは、なんだか贅沢というか勿体無い使い方に思えるけど、華のない役者さんが演じるよりはマシとも言えます。
とにかく主役が魅力的で、素晴らしい俳優さんたちが脇を固めてますから、よっぽど下手をこかない限りは楽しめる作品になりそうです。少なくとも初回は楽しめました。やっぱり熱血刑事は良いですよ! 画面が弾み、作品に活力が生まれます。
刑事ドラマを面白くするのは設定や筋じゃない、世界観とキャラクターなんだってことを、あらためて思い知りました。テレビ朝日さんがこれだけ次から次へと刑事物を生み出し、シリーズ化に持って行けるのは、その基本をよく解っておられるからだろうと思います。