2019年春シーズン、フジテレビ系列の木曜夜10時「木曜劇場」枠で全11話が放映されたミステリードラマ。
原作は誉田哲也さんの警察小説『ストロベリーナイト』を起点とする「姫川玲子シリーズ」で、2010年に同じフジテレビ&共同テレビの制作で竹内結子主演のSPドラマ&連ドラ全11話が放映され、'13年には劇場版も公開されてます。
警視庁捜査一課・殺人犯捜査第十係の「主任」である姫川玲子警部補に今回扮するのは、なんと二階堂ふみさん!
いくらなんでも若すぎるやろ!とは誰もが思うことで、わざわざ書くのも無粋なんだけど、にしてもホント若すぎます。そんな若すぎる二階堂さんが、警視庁捜査一課のエリート主任をムリして演じてる健気な姿こそが、本作の肝なのかも知れません。悪く言えば、それくらいしか見所がない。
私は竹内結子さんバージョンを観てなかったんだけど、つい最近、CATVで一番最初の2時間スペシャルが放映されてたのを、予習のつもりで観たばっかりなんですね。
で、それを踏まえて本作(初回2時間スペシャル)を観て、私は本当に驚きました。そのまんまやん!って。ストーリーはおろか、1つ1つの台詞や撮り方、カット割りまで竹内結子バージョンそっくりでした。
てっきり、同じキャラクターを主人公にした新しいストーリーが語られるものとばかり、私は思ってました。なにせ竹内さんのが放映されてからまだ9年しか経ってませんから。
もちろん細かい違いはあるんだけど、別にそんなとこ変えても意味ないやん、って思うような些末な変更ばかりで、それならいっそ100%完コピした方が面白かったかも知れません。
人気作をリメイクする場合、オリジナルに敬意を払いつつも如何に新しい要素を盛り込むか、如何に大胆なアレンジを施すかが腕の見せどころであり、そこが創り手にとって一番のモチベーションになると私は思うんだけど……
多くの創り手がそれで失敗し、ファンからバッシングを受けて来たこれまでの歴史があるから、あえて何も変えないでおこうと決めたんでしょうか?
オリジナルを尊重するって意味じゃ究極に正しい選択なのかも知れないけど、そんな単なる焼き直しだけの作業をやってるスタッフ&キャストの皆さんに、果たしてやり甲斐はあるんだろうか?って、余計なお世話ながら私は気になって仕方ありません。もし私が当事者だったら、それは相当つらい仕事になるだろうと思うから。
一番気の毒なのは二階堂ふみさんです。ただでさえ竹内さんと比較されちゃうリスクを、より比べ易くして増幅させたようなもんですから。
いや、しかし二階堂さんはまだ「若すぎる」っていうハンデがあるだけマシかも知れません。脇を固めるキャスト陣はそれが無いだけもっとツラい。
私は今回の新バージョンを観て『ストロベリーナイト』ってこんな薄っぺらい話だったっけ?って思いました。見応えがあった2010年版とそっくり同じ内容なのに薄っぺらく感じちゃう原因は、キャスティングにあると結論づけるしか無いワケです。
2010年版で西島秀俊が演じた菊田刑事を今回は亀梨和也が。小出恵介が演じた葉山刑事を葉山奨之が。宇梶剛士が演じた石倉刑事を宍戸開が。生瀬勝久が演じた井岡刑事を今野浩喜が。桐谷健太が演じた大塚刑事を重岡大毅が。林遣都が演じた北見刑事を板東龍汰が。高嶋政宏が演じた今泉係長を山口馬木也が。渡辺いっけいが演じた橋爪管理官を岡田浩暉が。遠藤憲一が演じた日下主任を神保悟志が。そして武田鉄矢が演じた「ガンテツ」こと勝俣主任を江口洋介がそれぞれ演じてます。
知名度も華も実力も、全体的にスケールダウンしちゃった印象は否めません。同じ役でも江口洋介さんが演じるより武田鉄矢さんが演じた方が明らかに面白いんですよね。元より薄っぺらい話を、2010年版はキャスト陣のアンサンブルだけで見応えあるものに仕上げたワケです。
もう1つキャスティングで気になったのは、両作ともヒロインの高校生時代を他の若手女優さん(今回は八木優希さん)が演じてること。
当時すでに三十路を迎えてた竹内さんの場合、10代の子とチェンジするのはまぁ自然な流れとは思うけど、二階堂さんなら自分で演じても違和感無かった筈で、それをわざわざ全くタイプの違う八木優希さんに演じさせる意味が私には全く解りません。2010年版も竹内さんとは似ても似つかぬ若手女優さんがキャスティングされてて、そんな部分まで忠実に再現してどうすんねん!って思いました。
そんなこんなで、私としては疑問符だらけの『ストロベリーナイト・サーガ』第1話でした。連ドラ初主演の二階堂ふみさんが頑張る姿はもうちょっと観たい気はしたんだけど、いかんせん話が面白くないもんで第2話の途中でリタイアしましたm(__)m