近年の警察ドラマとしては私が「まったくの例外」と言うほかないハマり方をした、あの『警視庁・捜査一課長』シリーズが(もう終わったと思ってたのに)シレッと単発2時間スペシャルで復活してくれました。
なぜそんなに好きかと言えば、ミステリーだのリアリティーだのはどうでもよく、とにかくコメディーとしてハイセンスだから(と私は思ってるから)。やってること自体はベタかも知れないけど、そこに説明的なツッコミがいっさい入らない。
昨今の主流である舞台演劇的な、あるいはネタ番組的な(要するに子供でも解る)コメディードラマとは根本的に違う。
例えば、大岩捜査一課長(内藤剛志)が難事件の解決に向けてクビを覚悟し、これまでの支援に対する謝意を笹川刑事部長(本田博太郎)に伝えるシリアスな場面。
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ほかの番組なら「近いやろ!」ってツッコミを入れる第三者を脇に置くだろうし、もはや古すぎる喩えだけど『踊る大捜査線』ならそこでピタッとBGMを止めて「はい、ここ!」と笑いを強制してくるはず。
対して『警視庁・捜査一課長』はあくまで大真面目にやり通す。実は大岩さんがクビを覚悟するのは毎回のお約束で、もはやそれ自体が天丼ギャグなんだけど「はい、ここ!」っていうサインはいっさい出さない。
バラエティー番組で笑い声(効果音)を後付けしたり裏方スタッフが無理して笑ったり、あるいはテロップで笑いどころを強調したりするのはまぁ、嫌いだけどさすがに慣れました。
しかしそんな手法がテレビドラマや劇場映画にまで浸透し、今や主流になってるのは「ながら見」と「早送り鑑賞」に対応してきた結果なんでしょう。
なのに『警視庁・捜査一課長』だけはその波に乗る気配が全然なく、シュールとも言える笑いは「ながら見」や「早送り鑑賞」が習慣化してる多くの視聴者に見過ごされちゃう。
なにせこの番組のキャストたちは、いっさいコメディー風の演技をしない。笹川刑事部長だけは一時期バカげたコスプレを繰り返してたけど、ご当人も、それを見せられる部下たちもいたって大真面目。
で、そのコスプレにせよ、ゲストキャラの変人ぶりにせよ、1つ1つの小ネタにせよ、ナンセンスに見えて実はストーリー上の意味がちゃんとある。ドラマとしての骨子がしっかり組まれてるからこそ笑いも活きてくる。
とはいえ、好みは(特に笑いに関しては)十人十色。若い頃の私なら「なぜこの面白さを語り合えない!?」ってしつこく力説するだろうけど、もうこれくらいにしときます。
キャストはお馴染みのメンバー(内藤剛志、斉藤由貴、金田明夫、塙 宣之、陽月 華etc)に加えて……
昭和ファッションに身を包んだ昭和カフェの店長で、事件の最有力容疑者となるメインゲストに、朝倉あき。
朝倉さんは2012年に『土曜ワイド劇場』枠で放映された本シリーズ第1作にも事件の鍵を握る少女役で出演されており、約12年ぶりの凱旋出演。
今回、画質が従来のストレートなビデオ調からフィルム調に変更されており、同じテレ朝&東映の老舗仲間である『科捜研の女』シリーズに続いて“仕切り直し”を図った感があり、朝倉さんの再登場もきっと偶然じゃないんでしょう。
そしてフードプロデュース会社社長(橋本さとし)の秘書役で登場したゲストがなんと、インフルエンサーでファッションモデルでタレントの、なえなの。
『セクシー田中さん』にもベリーダンス教室の生徒役でレギュラー出演されてたけど、社長秘書役とは驚きました。
そんな意表を突いたキャスティングも本作の特徴で、ほかにも椿鬼奴、咲妃みゆ、三河悠冴、杉田かおるetcと、個性豊かなゲストの顔ぶれもまた毎回の楽しみです。
セクシーショットはもちろん椿鬼奴さんではなく、朝倉あきさんと、なえなのさん。鬼奴さんもお綺麗なんだけど、このブログの方向性として。