ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『過激派オペラ』

2021-04-26 08:00:08 | 日本映画










 
※前回の『カケラ』は、ちょっと前にレビューした『スクールガール・コンプレックス/放送部篇』から続いてる「百合映画」の流れに合わせ、かつて閉鎖した旧ブログから引っ張りだして来た過去記事の再掲載であり、今回の『過激派オペラ』もその1本。

文中でコメディ映画『探検隊の栄光』が何度も引き合いに出されてますが、それは旧ブログでその作品の次にレビューしたのが『過激派オペラ』だからであり、悪意は全くありませんw(どちらも同じくらい私は大好きな映画です)

☆☆☆☆☆☆☆

『過激派オペラ』は2016年に公開された、江本純子監督による日本映画。江本監督は劇団「毛皮族」主宰者で、映画はこれが処女作。ご自身の書かれた小説『股間』が原作になってます。

女性ばかりの小劇団「毛布教」の主宰者=ナオコ(早織)が、新作舞台『過激派オペラ』のオーディションで出逢った女優=春(中村有沙)に一目惚れし、彼女を主演に抜擢しつつ口説き倒して恋仲になるも、痴話喧嘩による破局で劇団もガタガタになっちゃう、そりゃそうなるやろ!っていう納得のお話ですw

一見シリアスタッチだけど本質はむしろコメディで、『探検隊の栄光』や『HK/変態仮面』と同じカテゴリーに入るおバカ映画かも知れませんw

とにかくナオコという女がチョー肉食系のレズビアンで、ひたすら「やらせて!」「お願い!」「1回でいいから!」と土下座しながら女の子を押し倒す姿は中学生男子にしか見えませんw

だから、ヌードも濡れ場も頻繁に登場するんだけど、エロいというよりは滑稽でw、我々のオカズには多分なりません。

彼女らが演じる舞台もまた、半裸で踊ったり絡み合ったりする卑猥なものだけど、シュール過ぎて全然意味が解んなくてオカズになりませんw

じゃあどう楽しめばいいのかと言えば、やっぱりこれは笑って楽しむべき映画。大衆ウケを狙ったがゆえにスベっちゃった『変態仮面』のパート2より、よっぽど正しいバカ映画の在り方です。

そして男性観客にとっては、女性という生きものの本質を学ぶ絶好のテキストになるやも知れません。やっぱり女性監督の作品だけあって、我々があまり見たくない女性の姿も容赦なく描いてくれます。

監督ご自身も恐らく内面はかなり男性的で、だけど性別は女だから、周りにいる女性たちは彼女の前で(男にはなかなか見せない)本性をさらけ出しちゃう。それを男性的な目線で見て来られたであろう、江本監督ならではの女性描写が楽しめるって寸法です。

世間の眼から見れば無意味でバカバカしいことに、当人たちはすこぶる真剣に、半ば命懸けで取り組んでる。その愚直で滑稽な姿に感動しちゃう構図は、同じ演劇の世界を描いたももクロの『幕が上がる』よりも、やっぱ『探検隊の栄光』に近いw

ただし、映画としての完成度は『探検隊~』よりこちらの方がずっと高いと思います。主役の早織さんと中村有沙さんも魅力的だし、こちらは安心して皆さんにオススメ出来ますw

共演は趣里、桜井ユキ、森田涼花、範田紗々、増田有華、高田聖子、安藤玉恵etc…と、けっこうメジャーな女優さんも参加されてます。

一見の価値あり。男性でも女性でも楽しめると思います。

ところで『過激派オペラ』に後半から登場し、途端に観客の眼を奪い、役の上でも台風の目となって劇団「毛布教」を引っ掻き回す女優=ユリエを演じたのが、最近よくテレビでお見かけする趣里さん。

設定上でも既に売れてる女優の役で、その圧倒的な存在感と才能で、主役だった筈の春(中村有沙)から居場所を奪ってしまう。それが春とナオコ(早織)の破局に繋がり、劇団がガタガタになっちゃうワケです。

そんな別格の女優を連れて来て、あからさまにチヤホヤするナオコもナオコなんだけど、彼女はたぶん舞台の内容をより良くすることしか考えてない。

なのに主演女優の春を痴話喧嘩で失った挙げ句、ワガママが酷くなって来たユリエをセックスで黙らせようとして彼女にも逃げられちゃうw 劇団の経営も赤字で何百万もの借金を抱えてるのに、演劇も女たらしも一向にやめられない。

バカでしょう?w だけど憎めない。演劇へのほとばしる愛と情熱が、彼女から溢れてるからだろうと思います。

で、趣里さん。一度見たら忘れられないルックスをされてます。私は連ドラの『リバース』『この声をきみに』『トットちゃん!』等で続けてお見かけし、また新しい売れっ子さんが出て来たんやなあって、まぁその程度の認識しか無かったんだけど、今回の趣里さんを見て一気にファンになりました。

ももクロの映画『幕が上がる』では黒木華さんが登場した途端に空気が一変しちゃう女優オーラに驚いたけど、『過激派オペラ』における趣里さんもまさにそう。彼女をキャスティングした江本監督の選択眼は素晴らしい!と思いました。

今回の役ではコメディエンヌとしての才能も発揮されてて、この人はきっと大物になるに違いない!と思ってこの記事を書くことを決め、初めてプロフィールを調べてみたら驚いた!

なんと水谷豊&伊藤蘭 夫妻の娘さんだったのですね! 私は全然知りませんでした。やっぱり、才能も遺伝するんですね。15歳で足に大怪我を負うまではバレリーナを目指しておられたらしく、演技については特に英才教育を受けてないみたいだから、やっぱり持って生まれた才能なんでしょう。

デビューは2011年放映の『3年B組金八先生スペシャル』で、けっこうキャリアはおありだけど、私が好んで観る作品には最近まで出ておられなかった。

この『過激派オペラ』も、なぜかWikipediaのプロフィールからは除外されてますw 趣里さんご自身にはヌードも濡れ場も無いのに、これだけメジャーになると黒歴史扱いされちゃうんでしょうか。素晴らしい仕事をされたと私は思うので、ちょっと残念。

だけどお人柄も評判良くて、これからますますメジャーになられるのは間違いないでしょう。

そしてセクシーショットは主役の中村有沙さん。井口昇監督による究極のお下劣ホラー『ゾンビアス』('12) でうんちゾンビたちと屁をこきながら激闘した、あのハツラツ美少女もすっかりオトナ。現在はフッくんの息子こと俳優の布川隼汰さんと結婚され、人妻になられてます。


 


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