☆第185話『虹』(1976.1.30.OA/脚本=小川 英&加賀美しげ子/監督=竹林 進)
後にゴリさん(竜 雷太)の婚約者=麻生晴子を演じることになる、水沢アキさんの初ゲスト回。
交通事故により死亡した男が、手配中の強盗犯らしいことが判明。その車の同乗者で入院中の女性と面会した殿下(小野寺 昭)は、どこかで彼女と会ってた気がするんだけど思い出せない。
その女性も、事故のショックで記憶喪失状態にあり、死んだ男が本当に強盗犯なのか確かめるすべがない。
そんな時、新聞の報道を見た彼女の幼なじみ=ヒロシ(大和田 獏)が登場し、彼女は山形県から歌手を目指して上京した加代(水沢アキ)であることが判明します。
ヒロシは、強盗を犯すような男と加代が関わり、酷い目に遭ったのは「あんたのせいだ」と殿下を責めます。彼女からの手紙で、ヒロシは殿下のことを知っていた。
殿下はやはり、3年前に加代と出逢ってた。鉄橋で雨に打たれながら東北行きの電車を見つめる加代を、たまたま見かけて放っておけなかった殿下は、声を掛け、最寄り駅まで送ってあげたのでした。
色んな事がうまく行かず落ち込んでた加代は、故郷の山形に帰ろうと考えてたけど、イケメン殿下に励まされ、もうちょっと頑張ってみようと思い直した。
そんな彼女が殿下との別れ際に見たのが、雨上がりの東京に架かった、美しい虹。
「東京の空にだって虹は架かるんだ。辛いこともあるだろうけど、一生懸命頑張るんだ」
行きずりに出逢ったイケメン刑事の無責任な言葉で、無理して東京に残った挙げ句、加代はこんな目に遭ったワケです。
ほんと、イケメンって奴はろくな事をしませんw 何もかも殿下のせいです。理由は、イケメンだからです。
しかし、加代は本当に記憶を失っているのか? '70年代のドラマ世界じゃ日常茶飯事だった記憶喪失。自身も過去にやらかしており(#143『霧の旅』)、その経験から不自然さを覚えた殿下は、彼女を問い詰めます。
「君は本当に忘れてしまったのか? 歌も、あの時の虹も、みんな忘れてしまったのか!?」
「違うわ! 忘れてなんかいない。島さんの顔、ただの一度も忘れた事はなかった!」
やはり偽装だった記憶喪失。交通事故は、一緒にいた強盗犯がさらに殺人を犯そうとするのを、加代が止めようとして揉み合ったのが原因だった。殿下のせいです。
加代はその罪を隠したかったというより、自分がそんな人生を歩んでしまった事実を、殿下に知られたくなかったんでしょう。殿下のせいです。
とりあえず強盗事件は片付き、例によってボス(石原裕次郎)の尽力で加代は不起訴となり、ヒロシと一緒に帰郷して出直すって事で、一応のハッピーエンド。
だけど、殿下の優しさ、頑張れという励ましが、1人の少女を追い詰めた事実は変わりません。殿下のせいです。
こうしてお節介が仇になっちゃうパターンは『太陽にほえろ!』の十八番の1つで、特に殿下と長さん(下川辰平)の主役回に多かった気がします。長さんの場合も、たぶん殿下のせいです。
それでも我々は、他者のことを想い、失敗を恐れず他者と関わって行くべきなんだ。情けは人の為ならず。
そういうメッセージだろうとは思うけど、今回のエピソードではイマイチ伝わって来なかったです。ボスの根回しでアッサリ解決っていうのも、まぁいつものパターンとは言えw、ご都合主義と言われても仕方ありません。
水沢アキさん(当時21歳)も泣いたり喚いたりの芝居ばっかで、魅力が発揮されたとは言い難い。それも殿下のせい、でなければマイコンの責任です。理由はダサいからです。
大和田獏さんは当時25歳。『太陽』は第117話『父と子の再会』以来2度目のゲスト出演で、後の第252話『鮫島結婚相談所』にも登場されます。
獏さんもアキさんもNHK『連想ゲーム』のレギュラー解答者(アキさんは紅組キャプテンも歴任)だったけど出演時期は入れ違いで、獏さんは紅組解答者の岡江久美子さんと結婚。
ちなみにアキさんの次に紅組キャプテンを務めたのが、殿下の妹=京子役の中田喜子さん。そして獏さんの前任解答者がスコッチ=沖 雅也さんだったり等、何かと『太陽』に縁のあるクイズ番組でした。
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