☆第17話『殺し屋』(1978.7.25.OA/脚本=金子成人/監督=西村 潔)
神奈川県警「遊撃班」の水原刑事(藤 竜也)がヤクザの親分(岸田 森)にスカウトされ、三船敏郎よろしく「用心棒」になっちゃう話。
新田班長(加山雄三)の依頼による「潜入捜査」物であると同時に、似た名前の殺し屋に間違われる「なりすまし」物でもあります。
アクション系のドラマじゃよくあるシチュエーションながら、ヤクザの親分が岸田森さんで、その右腕が蟹江敬三さん、そして水原がなりすます殺し屋の恋人が風吹ジュンさんと、名だたる豪華ゲスト陣の快演により、全編見所だらけの傑作エピソードに仕上がってます。
加山雄三、藤竜也、沖雅也、柴田恭兵、長谷直美、風吹ジュン、蟹江敬三、岸田森……こんなメンツは大作映画でもなかなか揃わないでしょう。
藤竜也さんのコミカル演技が爆発してて、いつも以上にハッスルされてるのが画面から伝わって来ます。
惜しむらくは、クライマックスの銃撃戦があっけなかったこと。撮影時間が足りなかったのか、刑事たちが1発ずつ撃つカットを、4回ほどコピペして連射してるように錯覚させる(?)という、斬新と言えば斬新だけど『大追跡』の標準レベルからすると、かなり物足りないアクション描写。
いくらストーリーが面白くても、華麗で激しいアクションあっての『大追跡』ですから、そこは手抜きしないで欲しかったです。
それはさておき、風吹ジュンさんが演じたのは、「ミズケン」と呼ばれる殺し屋の恋人=夏子。
水原刑事がミズケンになりすましてることを知りながら、ヤクザたちが水原の正体を疑うと「彼はホンモノのミズケンよ」と、陰でフォローしてあげる。
恐らくもうこの世にいない、ミズケンの面影を水原に見たのかも知れないし、彼の優しさに惚れたのかも知れない。
明らかに水原も夏子に惚れてるんだけど、正体を隠してるがゆえに結ばれないまま別れちゃう。本当は最初からバレバレなのにw
あるいは、夏子が恋人の帰りを待ってることを、水原は察したのかも知れません。けど、その恋人がミズケンであることを、最後まで水原は知らないまま終わるんですよね。
そんなチグハグなロマンスが、ありがちな潜入捜査物に格別な花を添え、『大追跡』屈指の傑作と云われるエピソードに昇華させたんだと思います。
『大都会 PART II #41 野良犬の恋歌』も『特捜最前線 #215 シャムスンと呼ばれた女!』も風吹ジュンさんのゲスト作で、いずれもシリーズ屈指の傑作なんですよね。
松田優作、藤岡 弘、そして藤 竜也。そんな野獣系の男優さんと組み合わせると、風吹ジュンは抜群に光る女優さん。なぜか『太陽にほえろ!』には未登場だったのが残念です。
更にこのエピソードには、岸田 森&蟹江敬三という、また違ったタイプの野獣が登場しますからねw
岸田さんは自分がスカウトした水原をやたらエコヒイキし、右腕の蟹江さんをコケにするヤクザの親分役を、実に楽しそうに演じておられます。
幻の刑事ドラマ『あいつと俺』でも、将来有望な清水健太郎さんをエコヒイキし、冴えない川谷拓三さんをコケにする課長の役でしたw たぶん岸田さんの趣味ですw
当時の蟹江さんはまだ凶悪犯役ばかりで、コミカルな芝居を披露される機会はあまり無かったかも知れません。それだけに水を得た魚のようにw、ホモっぽい被虐ヤクザを生き生きと演じておられ、微笑ましいです。
PS. 画像にある、うら若き風吹ジュンさんの水着姿。倉本聰さんの昼ドラ『やすらぎの郷』の劇中でも使用されており、かつて親交があった設定の藤竜也さんが、その写真にしばらく見入っちゃうという場面がありました。
松岡茉優ちゃん以外、ベテラン俳優しか登場しない作品なもんで最初は興味無かったけど、観ればさすがに面白いです。たぶんレビューはしないけど、一見の価値はある、とだけお伝えしておきます。
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