☆第14話『大逆転』(1978.7.4.OA/脚本=峯尾基三/監督=村川 透)
神奈川県警・遊撃捜査班は、現金輸送車を襲撃した2人組の片割れを逮捕し、奪った現金を隠し持つもう1人の犯人=草野を逮捕に向かうんだけど、既に彼は殺され、現金も消えてるもんだから驚いた!
調べを進めると、草野の母親が彼の素行調査を探偵社に依頼してたことが判明。ちょうど草野が輸送車襲撃の準備をしてる時期だった筈なのに、探偵の調査報告書には何も怪しい点が記されてない。
不自然さを覚えた遊撃班が、その探偵社を徹底的に調べてみたら、所長の高木(待田京介)が事件直後に数百万円の借金を全額サラ金に返済していたことが判明!
更に高木の過去を調べると、彼はかつて犯罪者への強請行為が発覚して懲戒免職になった、元麻薬Gメンだったもんで驚いた!
素行調査の過程で草野らの強盗計画を知った高木が、その金を狙って草野を殺したと睨んだ水原刑事(藤 竜也)は、任意で高木を引っ張って追及するんだけど、彼にはアリバイがありました。
事件当日、草野が殺されたと見られる時間に、高木は横浜スタジアムでプロ野球=大洋vs巨人の試合を観戦しており、隣の席には人気女優の清水美和(テレサ野田)がいたと言う。
それで矢吹刑事(沖 雅也)が美和の自宅を訪ねてみたら、彼女が出演した映画やドラマの脚本がズラリと並ぶ中に、人気ドラマ『太陽にほえろ!』のシナリオがあるもんだから驚いた!
「『太陽にほえろ!』、これ好きなんですよ!」
「私も!」
「スコッチ刑事ってサイコーでしたね!」
「ジーパンの方が好き!」
本筋には全く関係ない楽屋オチですがw、『太陽~』マニアの私にとっては重要なシーンです。因みに使用されたのは第285話『母の香り』の台本でした。
んなことはどーでも良くて、美和は試合観戦の折り、隣席には確かに高木がいたと証言。アクション主体の『大追跡』としては珍しく、ここからは遊撃班による執念の「アリバイ崩し」捜査が展開していきます。
結果、美和が麻薬の密輸に絡んでることが判明。元麻薬Gメンの高木がそれをネタに彼女を脅し、口裏合わせを強要したに違いないんだけど、美和は自ら毒を飲んで死んじゃった!
こうなれば、高木を罠に嵌めるしかない。遊撃班は美和の死亡を公表せず、彼女がこれまで出演した刑事ドラマからそれらしい台詞を抜き取り、電話で録音テープを聞かせて高木を誘き出すのでした。
これは、残酷大将こと鎌田敏夫さんが初めて『太陽にほえろ!』で脚本を書かれた第32話『ボスを殺しに来た女』と同じトリックで、『俺たちの勲章』『刑事貴族』など他の刑事ドラマにもよく流用されてます。
もちろん、あの日の試合で巨人にサヨナラ勝ちした大洋ホエールズ(現・横浜ベイスターズ)と同様、遊撃班も見事な「大逆転」勝利を収めるのでした。
アクションは控えめながら、二転三転する事件の行方がスリリングで、見応えがありました。
シリーズも1クールを越え、前述の通り矢吹刑事=沖雅也さんがスコッチ刑事を絶賛したりする楽屋ネタや、「オットー!」の掛け声など独自のノリも確立しつつあり、アクションが無くても充分に楽しめます。
ゲストのテレサ野田さんは、当時21歳。沖縄出身、'71年の映画『八月の濡れた砂』で注目され、歌手、タレント、そしてヌードモデルとしても活躍。
『刑事くん』『非情のライセンス』『七人の刑事』『特捜最前線』『あぶない刑事』『ハロー!グッバイ』『女ふたり捜査官』『俺たちルーキーコップ』等の刑事ドラマや、特撮ヒーロー物、時代劇など幅広く出演されてます。
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