2006年秋に公開された、川野浩司 監督・金杉弘子 脚本による日本映画。「やまじえびね」さんの連載漫画を実写化した作品です。
翻訳家を目指して語学学校に通う18歳の女の子=いちこ(吉井 怜)には、弁護士を目指す大学生=エリー(今宿麻美)というカッコいい同性の恋人がいて、ある日、有名な翻訳家である父親(石田衣良)にそのことを打ち明けたら「実はパパもママもゲイなんだよ」と逆カミングアウトして来るもんだから驚いた!
しかも「死んだママには女性の恋人がいたし、パパには今も付き合ってる男性がいるんだ」とか「子供が欲しいから仕方なく結婚したけど、いちこが生まれてくれて嬉しかったよ」とか言うもんだからどうリアクションして良いやら分からない!
……と、そんな序盤の展開が一番面白くて、あとはカップルがすれ違いや衝突を乗り越えて絆を深めていく、これが男女の話だったら平凡極まりない筋立て、と言うほかありません。
だからストーリーはどうでもいいんですよね。現在まさにトレンドと言えるLGBTの問題を、いかにして重くならずオシャレに描けるか、その工夫に全神経を集中させて創ったような印象を私は受けました。
オシャレ系(?)の作家である石田衣良さんが父親役だったり、人気ガールズポップバンドの音楽が随所に流れたりするし、セリフもやたら気取った文学調だし、ヌードや濡れ場はあっても全然エロチックじゃないし。原作はいわゆるレディース・コミックですから、明らかにこれは女性向けの百合映画。なのに下世話なオッサンがうっかり観てしまいましたw
いちこの親友=タケちゃん(高橋一生)もゲイで、周囲にカミングアウトするかしないかで悩んでたり、いちこがバイト先で知り合ったモヒカン女子(川合千春)と浮気しちゃったり、ママ(小泉今日子、写真のみ)の元カノ(秋本奈緒美)と偶然再会したら新しい恋人(浅田美代子)を連れてたり等して、どんだけぇ~!ってくらい世の中が同性愛で溢れてるw 身近にこれだけゲイがいるなら、もはやマイノリティじゃないですよね。
実際はどうなんでしょう? 私はこれまで50年以上生きて来て、1人だけニューハーフの人がいたぐらいで、ゲイらしき人はほとんど身近にいなかったけど、実は隠してるだけで結構いたりしたのかなあ……?
とにかく、日本じゃ珍しい女性が観て楽しめる百合映画として、そういうのをお探しの方にはオススメ出来そうです。ブレイク前の高橋一生くんや平岩紙さんも大学生役で出てたりするし、キャスティングも総じてオシャレ。
そんなワケでセクシーショットは、ファッションモデル出身の今宿麻美さんと川合千春さん、そしてグラビアアイドル出身の吉井怜さん。吉井さんと今宿さんはこの映画がヌード初披露作となりました。
石田衣良さん出てきた時はびっくりしましたw でも、なんか違和感のない世界観ではしたね。
漫画原作としては、かなりの傑作なのではないかと。
日本の同性愛作品としても、自然かつ先進的な作品でしたね。
私は「百合を女性向けに描いたらこうなるのか」って思いながら観てましたが、作者はもっと深いメッセージを込めてたのかも知れません。