ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』#345

2020-05-06 20:20:19 | 刑事ドラマ'70年代










 

いきつけのスナックだかバーだかでボス=石原裕次郎さんとたまたま遭遇し、意気投合して「お前、太陽にほえろに出たいか?」「えっ? そりゃ出たいです!」てな流れで出演が決まったという、秋野暢子さんの初ゲスト作。この業界、やっぱ営業力が何より強い武器です。

冒頭でお腹を下してたボン(宮内 淳)が秋野さんを見た途端に「治った」と言い、ラストシーンでは秋野さんに礼を言われたボスと、あの山さん(露口 茂)までもが大いに照れちゃう!という、当時はまだ(?)美人女優のカテゴリーに属されてた秋野暢子さんの美貌に、要注目。

そして伊豆への出張捜査が山さん&ボン、取調室における攻防戦が山さん&ゴリさん(竜 雷太)と、珍しいコンビの組み合わせもファンにとっては見所となってます。


☆第345話『告発』(1979.3.9.OA/脚本=長野 洋&小川 英/監督=斎藤光正)

ある日、ボンの下痢が一瞬にして治るほどの美女=和子(秋野暢子)が捜査一係を訪れ、爆弾発言を投下します。

半月前、伊豆の下河原で起きた乗用車転落事故で和子の姉=里子が死亡したんだけど、それは事故を装った保険金狙いの計画殺人であり、犯人はその車に同乗していて奇跡的に助かった、夫(和子にとっては義兄)の鳥飼幸夫(中野誠也)に違いないと言うのでした。

その根拠は、夫婦仲の悪さを和子はよく知ってたこと、そして事故から一週間経って和子に届いた、「私は夫に殺される」と記された里子からの手紙。

届いたタイミングがおかしいし、本当に本人が書いた手紙なのかどうか判定も難しく、財産狙いで和子が嘘をついてる可能性もあり、ボンは下痢を治してもらった恩も忘れて「気が強そうな娘だから、やりかねませんよ」なんて言って、山さんに「印象批評はよせ」と叱られます。

もちろん、山さんがそう言うからには和子はシロに決まってますw 手紙は確かに、和子が里子の筆跡を真似して偽造した物なんだけど、それは何とか姉の無念を晴らしてあげたい一心でやったこと。

山さんの執念捜査により鳥飼幸夫への疑惑はますます深まり、共犯者と思われた女性(工藤明子)が遺体で発見されるに至って、いよいよ山さんの怒りが爆発します。

証拠探しをボンに託し、海外出張の出発時間が数時間後に迫ってる鳥飼を強引に連行した山さんは、取調室で「捜査に協力しないなら緊急逮捕もやむを得ん」などと言って手錠をチラつかせ、あからさまに彼を脅迫します。

「暴力だ! まさに暴力警察じゃないか!」

「その通りだ。だがな、貴様のような男に殺された奥さんの為なら、私は鬼にでも何にでもなる。クビになるくらい痛くも痒くもないんだよ」

もちろん証拠が見つからなければ逮捕できるワケがなく、いよいよタイムリミットが迫り、弁護士が取調べの打ち切りを命じようとしたその瞬間、ゴミ収集場で四苦八苦してようやく見つけ出した証拠品を持って、ボンが駆け込んで来るのでした。

そりゃ最後はそうなるに決まってるし、取調室が中心舞台となる謎解きストーリーを私はそもそも好まないんだけど、こうして山さんがムチャをするエピソードだけは格別で、セリフ通りクビになることなど屁とも思わない山さんによる精神的暴力、そしてドスの効きまくった露口茂さんの台詞回しを見聞き出来るだけでもう、大満足です。

究極的ヒーローのボスがいて、番組スピリットを体現するゴリさんがいて、がむしゃらに走る新米刑事がいて、そして日本を代表する鬼刑事の山さんがいるからこそ『太陽にほえろ!』は面白い。

後にゴリさんが抜けた時は番組ファンを辞めようかと思ったし、ついに山さんがいなくなった時は本当に「これで終わったな」と思ったもんです。

前回、番組内容がお上品になり過ぎて「ボンと殿下の女性人気だけで視聴率を保ってる」みたいなこと書きましたけど、こういうエピソードを観るとやっぱり、山さんのとてつもない存在の大きさを痛感させられます。

とはいえ、その魅力が解るようになるのは大人になってからで、まだまだガキンチョだった本放映当時の私は、やっぱり今回も退屈しながら観てただろうと思います。

主役が山さんだから、演じるのが露口茂さんだからこそ見応えあるけど、内容そのものは「いつも通りの太陽にほえろ」と言わざるを得ません。

ゲストの秋野暢子さんは当時22歳。女優デビューは1974年、ブレイクは翌'75年のNHK朝ドラ『おはようさん』ヒロイン役で、以来これまで順風満帆に女優道をひた走る一方、明るくサバけたキャラでバラエティー番組でも大活躍されてるのは皆さんご存じの通り。

刑事ドラマへのゲスト出演は、同じ『太陽にほえろ!』の600回記念作と『華麗なる刑事』『刑事ヨロシク』、そして近年の『特捜9season2』ぐらいしかWikipediaには記載されておらず、意外とレアだったりします。
 


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