ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『はぐれ刑事純情派』1―#20

2019-02-17 00:00:36 | 刑事ドラマ'80年代









 
この第1シリーズをあらためて観直すと、同じ人情系でも『私鉄沿線97分署』等よりよっぽど派手な気がして来ましたw 扱う事件は殺人や強盗だし、ゆえに拳銃も頻繁に登場します。『太陽にほえろ!』の地味な回より派手ですよw

人情を重んじた作風であることは間違いないんだけど、決してジメっとはしてないから、お涙頂戴が嫌いな私でも楽しめます。

それは多分、主役が藤田まことさんだから。やっぱり『必殺』シリーズの人ですから、どこか乾いてる。ハードボイルドなんですよね。だからこそ本作も人気長寿番組になったんだと思います。


☆第20話『父親の愛に飢える娘たち』

(1988.8.17.OA/脚本=石松愛弘&遠藤彩見/監督=村川 透)

発端はコンビニ強盗。犯人は改造拳銃を所持した若いカップル(豊原功補&川津 花)で、逃走用のバイクを奪う為に殺人まで犯しちゃう。

安浦刑事(藤田まこと)らの追跡により、女の方だけ逮捕されるも、男は逃走。女を奪還する為に男は、山手中央署に父の着替えを届けに来た、安浦の娘=ユカ(小川範子)を拉致し、女の釈放を要求するのでした。

思春期真っ只中のユカは反抗期でもあり、仕事人間でゆっくり会話する機会も無い父=安浦に対して、無視するわ悪態つくわで、最近はギクシャクした父娘関係。

だけど安浦は、ユカを救う為にクビを覚悟で(上司の命令に逆らい)女を釈放しようとする。安浦を慕う同僚の田崎婦警(岡本 麗)は、女に警告します。

「もしユカちゃんに何かあったら承知しないからね! 安浦さんは血の繋がりも無いのに、実の娘みたいに可愛がってるのよ!」

そう、ユカは安浦がかつて逮捕した男から引き取った娘で、その姉=エリ(松岡由美)も亡くなった妻の連れ子なんですね。安浦が仕事人間なのは、男手1つで義理の娘2人を育てる為でもあるワケです。

「そんな安浦さんの弱みにつけ込むなんて、絶対に許せないわ。もしユカちゃんに何かあったら、私が倍以上にして返してやるからね!」

岡本麗さんの剣幕にビビったワケでもないでしょうがw、女が土壇場で安浦に味方したお陰で、ユカは無事に救出され、犯人も逮捕されるのでした。

「バッカみたい。自分の子でもないのに」

女はそう言いながらも、安浦に理想の父親像を見ていた。彼女も父親の愛に飢えてたワケです。

で、ユカはどうかと言えば、生命とクビを賭けて自分を助けてくれた父に対して、この態度。

「嫌い……お父さんなんて大っ嫌い! いっつも仕事ばっかりで、ユカの事なんかどうだっていいんだ」

どうやら、あくまで職務として、拉致された時の状況を尋ねて来る、刑事ヅラした安浦が気に食わなかったみたいですw

「仕事から帰って来るの、いっつも遅いし……帰って来たらお風呂入ってすぐ寝ちゃうし……帰って来ない時だって多いし……ユカの事なんてちっとも考えてないんだもん」

「……そんな事はないさ」

「私だって、いっぱい色々あるのに……ホントにいっぱい色々あるんだから! お父さん嫌い。勝手ばっかりして……お母さんの方がいい。お父さんなんて嫌い!」

「…………」

泣きながら「嫌い」を連呼する娘に、グーの音も出ない安浦さんw

また、署まで迎えに来た姉のエリに、ユカはこんな事も言いました。

「酷いこと言っちゃった……嫌いって言っちゃった……大っ嫌いって」

「いいじゃない、嫌いなんだもん。私も大っ嫌い」

「でもお父さん、怒ればいいのに……もっと怒ればいいのに……」

安浦さんは、みんなの嫌われ者なんでしょうか?w あんなに一生懸命なお父さんなのに、これじゃあまりに報われません。

元々しょんぼりした顔を更にしょんぼりさせる安浦に、行きつけの高級バー「さくら」のママ=由美(眞野あずさ)が優しくフォローを入れます。

「嫌いは好き、好きは嫌い……逆の表現をするのよね、女の子って。感情が高ぶった時なんか、特にそう」

「嫌いは好きか……」

「お母さんの方がいいは、お母さんなんか要らない、お父さんだけで充分……きっとそう」

で、由美はふと寂しそうな顔をして、こう呟くんですね。

「お母さんは要らない、か……」

これはつまり、ユカたちの母親になる自分を、由美が日頃から夢想してるって事でしょう。

安浦さん、モテモテじゃないスか!w このエピソードに登場する女性キャラ全員が安浦のこと大好きなんだからイヤんなっちゃいますw

でもホント、藤田まことさんが演じると説得力があるんですよね。観てる我々も、自然と安浦刑事のことが好きになりますから。

ユカを演じた小川範子さんは、当時15歳。6歳の時に谷本重美の名前で子役デビューし、テレビ、映画、舞台、グラビア等でも活躍された、若きベテラン女優。改名した翌年にスタートし、約7年間も演じる事になる『はぐれ刑事純情派』の安浦ユカ役は、代表作と言って良いだろうと思います。

本エピソードも、彼女の確かな演技力が素晴らしい効果を上げてます。こんな子に「大っ嫌い!」とか言って泣かれたら、萌えますw

彼女とは対照的に、能面みたいに表情が動かないのが、イケメン新人刑事役の木村一八くん。あの横山やっさんの息子です。クールなキャラって設定なんでしょうけど、あの無表情は演技じゃない。そうとう表情筋が硬いんだろうと思います。(乳首)
 

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