放映200回記念作品なんだけど、切ないエピソードです。ゲストはゴリさん(竜 雷太)の婚約者=小林道代を演じる武原英子さんと、その叔父=小林政治(まさじ)を演じる小林昭二(あきじ)さん。
『仮面ライダー』の「おやっさん」であり『ウルトラマン』の「キャップ」であり『西部警察 PART III』の「長さん」でもあった、我々世代には忘れることの出来ない俳優さんです。
☆第200話『すべてを賭けて』
(1976.5.14.OA/脚本=長野 洋&小川 英/監督=竹林 進)
ビジネスホテルで他殺死体が発見され、その日の宿泊客リストに「小林政治」の名前を見つけて動揺するゴリさん。
しかも、被害者が殺される直前にホテルのバーで酒を酌み交わし、その勘定を支払った男がレシートに残した指紋と、政治の指紋が一致しちゃいます。
政治は、いよいよ日取りが決まったゴリさんと道代の結婚式に、招待する予定だった道代の叔父なのです。
警察官は、職務規定により犯罪者の肉親とは結婚出来ません。無実を祈りながら、婚約者の目の前で政治を連行するゴリさん。
政治は殺人を否定しながらも、被害者との関係やホテルで会った目的については完全黙秘。疑惑はますます深まります。
ボス(石原裕次郎)はゴリさんを捜査から外そうとしますが、ゴリさんは「やらせて下さい」と懇願。ボスは、静かに問いかけます。
「もし小林政治が真犯人だと決まったら、お前どうするんだ? そいつを聞いておきたい。お前の一生に関わる問題だ」
「……辞めます。刑事を辞めます。彼女は俺にとって全てです。刑事の仕事と、彼女とどっちを取るかって言われたら、今の俺は……」
「ゴリ、それでいいんだ。俺はお前の口から、その言葉をハッキリ聞きたかった」
「ボス……」
もちろんボスだって、そして捜査一係の仲間たちも皆、ゴリさんを失いたくはない。出来れば刑事のままで幸せになって欲しい。
そんな想いによる必死の捜査が実り、殺人の真犯人が逮捕され、刑事たちは歓喜します。ところが……
政治が事件当日に被害者と会っていた理由が判明します。被害者は、政治が勤める建設会社の汚職の証拠を握っていた。政治は、会社の遣いで口止め料を支払う為に、被害者と密会してたワケです。
殺人とは無関係だったけど、これは立派な不正行為であり、政治が犯罪者として摘発されることは免れません。
ゴリさんの決意を知った道代は、彼のアパートに手紙を残し、故郷の広島へと向かう新幹線に乗り込みます。
「刑事というお仕事を、あなたから取り上げることは出来ません。どうしても出来ないんです。お別れします」
タクシーを飛ばして東京駅に駆け込むゴリさんですが、新幹線は待ってくれません。ゴリさんは何も言わずに、遠ざかる道代の姿を追って、ただひたすら走るのでした。
私だったら、泣きじゃくりながら「待ってくれ! 刑事は辞めるって言ったじゃん!」とか「俺も広島へ行く!」とか「せめて最後に1発だけ!」とか言いそうなもんだけど、ゴリさんは一体なんの為に新幹線を追いかけたのか?
独り寂しく安アパートに帰って来たゴリさんを、ボスが一升瓶を片手に待ち構えてました。
「俺は止めねえぞ。広島に追って行きたけりゃ行け。辞表を出したけりゃ、今度こそ黙って受け取ってやる」
「いいえ、俺は追いません。辞表も出しません」
道代は、悩みに悩んだ末に、自分よりもゴリさんの幸せを願って、別離を選択した。ゴリさんは、その気持ちに応えたワケです。
「あの人は……俺の心の、隅から隅まで解ってくれました。だから……だから俺は、あの人に一言ありがとうって、そう言いたかったんです」
このエピソードだけは、何回観ても泣かされます。ブログでは二人の交際スタートの回しかレビューしてませんが、これまでの間にいくつもの障壁を乗り越え婚約に至った、その過程が数話かけて描かれてるワケです。
我々ファンはそれを見て来ましたから、本当は別れたくない二人の本音が痛いほど解るんですね、多くを語らずとも。
恋人を失った部下の為に、わざわざアパートを訪ねて来て、一緒に酒を呑みながら「辞めていいんだぞ」って、言ってくれる上司が嘘っぽく見えないのも、200本に及ぶこれまでのエピソードで、その信頼関係が描かれて来たからこそ。10本前後で終わっちゃう現在のTVドラマじゃ、まず味わえない感動だろうと思います。
『踊る大捜査線』以降、刑事の私生活を一切描かない作劇が定着しちゃいましたけど、そうなるとストーリーは毎回のゲスト(犯人や被害者)を中心に組まれる事になります。
ずっと観続けて親しみを感じてるレギュラーのドラマと、その回しか出てこないゲストのドラマとじゃ、感情移入の度合いが全く違ってくる筈です。
毎回のように刑事の身内が犯罪に関わったりするのは、確かにリアルじゃない。『太陽』より『踊る』の方が、どう見たってリアルです。
だけど、リアルさと引き換えに昨今の刑事ドラマが失ったものは、あまりに大きいんじゃないかと私は思います。どう見たって『踊る』よりも『太陽』の方が、我々の心を揺さぶってくれる作品です。
ものすごくカッコいいです。
お二人のことは、それまでに描かれていたエピソードで応援していました。
照れてるゴリさんが、とても可愛くて(^o^;)
だから、残念だったけど、ものすごく心に残ったし…
ゴリさんに惚れちゃいました。
太陽にほえろの中で、唯一永久保存にしているお話しです。テープが擦りきれるほど繰り返し見ています。
まったく色あせません。
それぞれの刑事さんのキャラクター設定がしっかりしていて、とても素敵でした。
その後、「再会」したときも、とても素敵でした。
「彼女、幸せそうでした。」… 嬉しかったなあ…
カレーライスの大好きなゴリさん、拳銃に玉をこめないゴリさん、たまに爆発するゴリさん、照れ屋のゴリさん、新人教育係のゴリさん…
大好きでした。ありがとうございました。
そんなゴリさんの人間としての魅力が詰まった第200話でしたね。