’80年代アイドル特集の第2弾、夏色のナンシーこと早見優さん!
『私鉄沿線97分署』は1984年10月から’86年9月まで、テレビ朝日系列の日曜夜8時枠で全90話が放映されたフィルム撮りの刑事ドラマ。『西部警察』シリーズの後番組で渡哲也さんも出てるけど、制作は石原プロではなく国際放映スタジオ。
コメディータッチのファミリー路線で、人情とリアリティーを前面に押し出した内容も『西部警察』とはほぼ真逆。おまけにオープニング曲とエンディング曲が共に松山千春の(私に言わせれば辛気臭い!)フォークソングと来たもんだw
だから普段「悪党は片っ端からぶっ殺せ!」とか「おっぱい見せろ!」とか言ってる私の好みに合うワケが無いんだけど、これは不思議と楽しめました。1984年当時としては内容が斬新だったからだと思います。
大都市じゃなく郊外の住宅街を舞台にし、それも庁舎移転による仮設のプレハブ庁舎に勤める刑事たちっていう設定がまずユニーク。
それより何より、扱う事件が殺人とか強盗じゃなく、万引きや詐欺など身近な犯罪ばかりで拳銃など使う機会はほぼ皆無っていう、所轄署の現実を描いてる点がとても新鮮でした。
『はぐれ刑事純情派』の登場が4年先の1988年、そして『踊る大捜査線』が10年以上先の1997年ですから、時代をかなり先取りしたテレビ番組と言えましょう。ごく稀に拳銃を使う場合は、必ず上司の許可を得てからロッカーの鍵を開けて……みたいな、現在なら当たり前のリアリズムにも当時はワクワクしたもんです。
あと、レギュラーキャストが芸達者揃いなもんで、ベタなコメディーでもしっかり笑わせてくれる安心感。これも大きかった。ほんと『西部警察』とは大違いw
そんな『私鉄沿線97分署』の最初期メンバーは、捜査課長の滝村警部(長門裕之)と、その右腕的存在の警部補=奈良龍治(鹿賀丈史)。
そして捜査課の紅一点刑事=本多杏子(坂口良子)。
ベテランの「クラさん」こと倉田警部補(高橋長英)と、中堅刑事の「ブル」こと松元良平(小西博之)、そして初代新任刑事で実質的な主人公=片山 大(時任三郎)。
なぜかこのドラマ、キャストどうしの顔と顔の距離がやたら近いw
で、97分署に常駐する検視官=榊 俊作(渡 哲也)の助手を務めるのが、早見優さん扮する相原恵子婦警。
いつも穏やかで歳下にも敬語で接する榊検視官は、質実剛健な大門団長とは対照的なキャラクター。渡さんの芝居はだいたいこの2パターンで分類できますw
☆第15話『スウィングしながらお見合いを!』
(1985.2.10.OA/脚本=渡辺千明/監督=長谷部安春)
滝村課長のお節介により、奈良さんが無理矢理お見合いをさせられる羽目に。ところがお相手の冴子(秋津万里子)にも結婚する意志は無く、バンドマンの恋人が気に食わない父親(睦 五郎)により彼女も無理強いされてのお見合いなのでした。
そんな冴子の恋を応援したくなった奈良さんだけど、こともあろうにそのバンドマンに大麻所持の容疑が掛かってしまった!
無実を主張する冴子とバンドマンを信じた97分署の刑事たちは、彼を罠にはめた大麻の密売人を捕まえるべく、その取引に使われてるホストクラブへと潜入!
で、実家の酒屋を手伝うために退職を決意した助手の恵子に、榊検視官がとある依頼をするのでした。
「ちょっと頼まれてくれないかな? この職場に、最後のオマケ」
「はい! わたし、大サービスしちゃいます!」
↑普通はこんなこと言わないと思うけどw、’80年代のドラマや映画はなぜか、若い女の子にこういう(アニメチックな)言い回しをさせるのが流行ってました。
榊さんが恵子に依頼したのは、捜査課の杏子さんと2人でホストクラブの客を装い、先にホストとして潜入した片山とブルの捜査をサポートする役目。
片山と杏子さんがチークダンスを踊ったりの見せ場もありつつ、恵子の大活躍によって事件は一件落着! 容疑が晴れたバンドマンと冴子の結婚も、奈良さんと榊さんの説得により睦五郎さんが許してくれるのでした。
危なっかしい潜入捜査にあえて恵子を参加させたのは、元は刑事志望だったのに検視官の助手を長らく務めてくれた彼女への、榊さんなりの感謝と親心なのでした。
「これからは、お父さん助けて、頑張って……いい酒屋さんになって、たまには商売物持って遊びに来てよ。それはそれで、僕の方は助かりますから」
というワケでこの第15話は、初回からレギュラー出演されて来た早見優さんの番組卒業エピソード。優さんは当時18歳でした。
パッチリ黒目と太眉毛にやられやすいんです、私(笑
ちなみに、漫画「よろしくメカドック」の早坂婦警は早見さんがモデルなんですよね
てっきり「97分署」の影響かと思ったら、「メカドック」の方が早いので、逆なのか、それとも偶然なのか…?
97分署、確かにプレハブでした。バァちゃんが観ていたのをうっすら覚えています。
警察署の周りはニュータウン建設予定地みたいな場所で、若い署員たちが歌いながらジョギングしていたような…。他の番組と記憶が混ざっているかもしれません
『よろしくメカドック』は読んだこと無いので何とも言えないですが、たぶん偶然だろうと思います。婦警姿を見たくさせる何かが早見優さんにあるんでしょうね。
>1938gooさん
岩城滉一主演の『ニュータウン仮分署』とゴッチャになってるかも知れませんねw 似たような設定だったけど、やはり二番煎じゆえか人気が出ず、短命に終わっちゃいました。
アクション物ではないけれど、今の刑事ドラマには物足りない、笑いと情感溢れるストーリーに満ちていたと思います。
早見優さん、後にさすらい刑事旅情編でレギュラー刑事になりますけど、同じアイドルの河合奈保子さんからのバトンでした。
97分署はあらためて観るとホントに脚本が良く出来てますよね。地味でもストーリーが良ければ人気番組になるっていう、良い例だと思います。