☆第20話『受験戦線異状あり』
(1980.6.20.OA/脚本=宮下教雄/監督=澤田幸弘)
浜崎という予備校生が殺され、加納主任(杉 良太郎)率いる第四機動捜査隊が捜査にあたります。
東大を目指していた被害者の浜崎は、名門予備校内でもトップ3に入る優等生。沢木刑事(神田正輝)と水野刑事(赤塚真人)がクラスメイトたちに聞き込みすると「そりゃあ殺意を抱いてたヤツはいっぱいいるよ」「ライバルが1人減って皆ホッとしてるよ」なんて言うもんだから呆れるしかなく、容疑者を絞り込むことも出来ません。
唯一、被害者の身辺を嗅ぎ回っていたらしい磯貝という探偵が怪しいんだけど、そいつもアリバイが立証されてしまいます。が、その磯貝に調査を依頼したのは誰なのか? そこに鍵があると加納主任は睨みます。
一方、四機捜の中じゃ一番の若手である水野刑事は、予備校生たちへの聞き込みを続ける内に友子という女子生徒(斉藤とも子)と親しくなり、「キミ、可愛いね」なんて言われて喜びますw(イケメンだから可愛いんじゃなく、ドジだからなんだけどw)
※斉藤とも子さんの役名が不明なので、ここでは便宜上「友子」と呼んでおきます。
彼女は医者を目指してるんだけど、本当は政治家になりたかったらしく、中国の革命家に習って「私も国家の病を治したかったんだけど、身の程をわきまえて人の病にしたの」と語り、水野を恐縮させるのでした。
そんな友子には、同じ予備校に通う新一というカレシ(佐久間宏則)がいるんだけど、最近怪しげな中年男と会ってから彼の様子がおかしいと言う。その男の特徴をよく聞いてみたら、例の磯貝探偵とそっくりなもんだから驚いた!
そう、磯貝に調査を依頼したのも新一、そして浜崎を殺したのも新一。彼らが通う予備校で成績トップ10に入れば東大に受かるというジンクスを信じ、微妙なラインにいた彼は、自分より確実に成績がいい浜崎を抹殺したのでした。
そんな新一も異常だけど、彼の母親(絵沢萌子)はもっと異常。磯貝探偵に犯行を見破られ、500万円の口止め料を請求された新一は警察に自首する決意をしたのに、母親が全力で阻止します。
「バカおっしゃい! 東大へ行ってエリートになる筈のお前を、どうして警察なんかにやれますか! お母さんが話をつけます!」
そして洋服タンスから拳銃(たぶん軍人だった父親の遺品)を取り出したお母さんはw、磯貝を脅して黙らせるのかと思いきや「クズ! 死んでおしまいっ!!」と迷わず射殺w そして実に手際よく証拠を隠滅するのでしたw
さらに、友子から住所を聞いて駆けつけた水野刑事の肩にも弾丸をお見舞いし、お母さんはマンションの屋上へと新一を引っ張っていきます。
「新一、お母さんと一緒に飛び降りるのよ!」
「そっ、そんな! 死ぬのやだ!」
「今さら何を言うのっ?!」
そこに我らが加納主任も駆けつけ、丸腰で銃口の前に立ちます。
「奥さん、もうやめるんだ。あんたの息子は死にたくなさそうだぞ」
「私と新一は一心同体です! 他人の指図は受けません!」
「息子を自分の所有物とでも思ってるのか?」
「刑事なんかに母親の気持ちが解ってたまるもんですか!」
「母親の気持ち? あんたに母親の気持ちが解るのか? 死んだ浜崎の母親の気持ちが……息子を殺された母親の気持ちがあんたに解るのかっ?!」
「……本当に撃つわよ!」
そして予告通りにお母さんはトリガーを引くんだけど、残念ながらすでに弾切れ。射撃のプロである加納主任はちゃっかり残弾数を計算していたのでした。
「新ちゃん……新ちゃん!」
警察に連行される新一を見て取り乱した友子は、水野刑事の胸を借りてひとしきり涙を流します。
「お前のガールフレンド、なかなかいい子じゃないか」
そう言って冷やかす加納主任に、水野は照れながら言います。
「偉いんですよね、彼女。国家の病を治すって理想を持ってるんですよ。俺、コンプレックス感じちゃうんです」
「どうして? お前だって社会の病を治す仕事をしてるんだぞ。知らなかったのか?」
「社会の病? 社会の病ですか! さすが主任、いい事おっしゃいますね!」
社会の病じゃ済まされない壮絶な事件だったと思うんだけど、なんだかホンワカと終わっちゃいましたw 四機捜のチームワークが描かれるようになり、タッチも明るくなって観易くなったんだけど、替わりに初期エピソードで毎回感じられた重厚さや、ガツン!と胸に響いて来るメッセージ性が失われ、見応えは確実にダウンしちゃってます。
この内容じゃ以前の主題歌『君は人のために死ねるか』のシリアスさと釣り合わず、第18話からはシングルB面曲の『いま愛のために』がラストで流れるようになりました。が、ごく普通の歌謡曲ですこぶる物足りません。『君は人のために~』のインパクトがいくらなんでも強すぎましたw
う~ん、やれ時代劇だの杉サマのワンマンショーだのと文句を言って来ましたけど、それがあってこそ『大捜査線』は面白かったんですよね。やっぱり加納主任がCOLTパイソンを撃ちまくり、必要以上に暴力を振るわないと物足りない。
今回は犯人のお母さんがすこぶる面白いからレビューする気になったけどw、やっぱり以前と比べると書き応えがありません。斉藤とも子さんのゲスト出演がそもそもレビューの理由なんだけど、今回は絵沢萌子さんに持ってかれちゃいましたね。
絵沢さんと、その息子役の佐久間宏則さんは同じ年に『太陽にほえろ!』の第389話『心の重荷』でも共演。そして佐久間さんはこの後、四機捜から七曲署に移籍される神田正輝さんの『太陽~』第1弾=第415話『ドクター刑事登場!』でもボンボン育ちの犯人役を演じておられます。
斉藤とも子さんは『薔薇海峡』『ゆうひが丘の総理大臣』で神田正輝さんとレギュラーで共演されてるし、何かとキャストどうしの繋がりが濃いエピソードでもありました。
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