'19年春シーズンの連ドラで私が全話欠かさず観たのは(随分と日にちが掛かっちゃいましたが)やっぱり本作だけでした。
刑事物はどれもこれも謎解きばっかですぐ飽きちゃうし、他はそもそも興味を引かれる企画が皆無でした。
朝ドラ『なつぞら』はもう、次から次と現れる可愛いイケメンたちに吐き気がしw、苦痛でとても観てられません。
戦後間もない日本の若い男どもが、どいつもこいつもあんなシュッとした顔して、1時間以上も鏡に向かってセットしたような髪型してるかよボケッ!って、久々にそういう些末な部分で腹が立ちました。(ヒロイン兄のもっこりリーゼントはまぁ職業柄だから目をつむるけど、素朴な農家の息子がいくら何でもあれは無かろう)
で、どいつもこいつもヒロインが好きで、さて彼女は一体どのイケメンと結ばれるんでしょう?っていう興味と、ヒロインの日替わりファッションで女性視聴者を引っ張る魂胆があまりに見え見えで、ホントに吐き気がします。元より朝ドラってそういうもんだったとしても、今回のはちょっと度が過ぎてるように思います。
大河ドラマ『いだてん』も以前書いた通り、クドカンさんの「俺のギャグで笑ってくれ」「そのギャグを考えた俺を褒めてくれ」っていうエゴばかりが眼につき、もうほとんど観てません。
ああいう小劇団独特のノリって、朝ドラには合ってたかも知れないけど大河のスケールには絶対そぐわない。それを承知の上で冒険したのなら大したもんだけど、もし『あまちゃん』の夢よ再びって思ってクドカンさんを雇ったとしたら、民放のみならずNHKさんも、もう駄目かも知んねえな。
そんな惨状において唯一の光が、日本テレビ系列の『向かいのバズる家族』でした。イケメンだのファッションだのといった話題性に頼ることなく、ストーリーの面白さだけで見事に最終10話まで引っ張ってくれました。
インターネットで「バズった」お陰でバラバラになっちゃった家族が、最終的に一丸となって自ら「バズり」を引き起こすことにより、絆を取り戻す。ネット社会は確かに怖いけど、その闇に取り込まれず距離をとって上手に付き合えば、決して悪いもんじゃないっていう、創り手の明確なメッセージが伝わって来ました。
現代社会ならではの問題を、深刻になり過ぎずゲーム的な作劇(ミスリードやどんでん返し)をふんだんに盛り込み、エンターテイメントに仕立てて魅せた手腕は前クールの『3年A組/今から、皆さんは人質です』にも通ずるものがありました。
それは下手にやると「あざとさ」が鼻につきかねないんだけど、かつて多部未華子さんの『山田太郎ものがたり』も手掛けられたマギーさんによる脚本は、バカリズムさんの作品と同じくサービスのさじ加減が絶妙で、エゴ丸出しのクドカンさんとは大違いw ひねくれ者の私でも素直に楽しめます。
イケメン男子とヒロインとの恋愛話だけはやっぱつまんないんだけどw、それも作品のテーマと密接に繋がっててダレることはありませんでした。
ヒロインの裏の顔である「なまはげチョップ」に関しては、卒業するんじゃなくて「受け入れる」という決着のつけ方でした。何もかも、こちらの予想の斜め上を突いてくるのがまた見事です。
中でも特に意表を突かれ、笑わせられたのが、数話に渡ってヒロインを苦しめてきた「封印ビデオ」の正体が、てっきり陰湿な元カレとの情事の記録かと思いきや、二人でお笑い芸人を目指してた頃の「ネタ合わせ」ビデオだった!っていう驚愕のオチw それが「なまはげチョップ」におけるラップトークの、あの素人離れしたクオリティーを裏付ける理由にもなっている!w
そうしたミスリードやどんでん返しを多用する「展開」に凝った作品を、ふだん私は否定しがちだけど、別に嫌ってるワケでもないんです。ただ、そこに何のテーマもメッセージも無い、単なるゲームには付き合いたくない。そんなのは時間のムダとしか思えないんですね。もちろん、凄いアクションとか美女のハダカを見せてくれるなら話は別だけど。
そんなワケで『向かいのバズる家族』は、メッセージ性とゲーム性を両立させた見事なエンターテイメントでした。マギー作品には今後も注目していきたいです。
そして充実のキャスト陣。内田理央さん、小川紗良さん、桜田ひよりさんなど若手女優たちも素晴らしかったけど、本作では木下隆行さん、小野武彦さん、遠藤久美子さん、そして高岡早紀さんと、ベテラン勢がまた光ってました。
特にヒロインの飄々とした母親を演じられた早紀さんが可愛くて、理央さん以上に私は萌えましたw というワケで今回のセクシーショットは、若き日の高岡早紀さんです。
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