☆第252話『鮫島結婚相談所』
(1977.5.20.OA/脚本=長野 洋/監督=澤田幸弘)
かつてボス(石原裕次郎)と同僚だった元刑事「鮫やん」こと鮫島勘五郎(藤岡琢也)が第205話『ジョーズ探偵の悲しい事件簿』以来、6度目の登場。市川森一さんが生み出した名物キャラだけど、今回からは他のライターさん達に引き継がれてます。
生まれつきの破天荒さと、弱者を助けずにいられない人情の厚さが数々の暴走を生み、警察をクビになって私立探偵に転身するも、結局は同じことを繰り返してうまく行かず、今度は目先を変えてマリッジ・コンサルタントを始めた鮫やん。
ところが、最初に手掛けたカップルの彼氏=健治(大和田 獏)が運悪く強盗事件に巻き込まれちゃう。健治は襲われた現金輸送車の運転手で被害者なんだけど、なぜか事件以降ふさぎこみ、恋人=信子(鈴鹿景子)との婚約を解消するに至り、鮫やんのお節介癖に火が点いちゃいます。
実は襲われた時に健治は犯人の顔を目撃しており、それがかつて不良だった頃に命を助けてくれた恩人だったもんだから、警察にも誰にも言えず悩んでるのでした。
放っておけない鮫やんは藤堂チームの目を盗んで独自捜査を進め、健治を連行しようとするゴリさん(竜 雷太)にタックルをかまして負傷させる等、まさに水を得たサメのように暴走を始めますw
そんな鮫やんにさんざん苦労させられて来た妻の玉枝(北あけみ)はいよいよ堪忍袋の緒を切らせ、離婚を決意してボン(宮内 淳)をハラハラさせるんだけど、長年の付き合いである山さん(露口 茂)に鮫やんの悪口を山ほど聞かされるや「山さんはウチの人の良さが全然解ってない!」と逆説教w そういう夫婦なんだってことを山さんはよく心得てるワケですw
で、なんだかんだで玉枝も騒動に巻き込まれ、犯人の人質にされるも鮫やんが命懸けで救い、事件も離婚危機も一件落着。
その際、鮫やんは犯人と格闘しながら間違えてゴリさんにパンチを浴びせ、重ねて負傷させてますw 今回のゴリさんはそういう役どころで、かくも硬軟自在なオールマイティーさがゴリさんの素晴らしさ。
偽証、犯人隠匿などの罪を犯した健治も逮捕されちゃうんだけど、鮫やんはあえて留置所で健治と信子の結婚式を挙げ、藤堂チームも祝福します。
かつて不良だった健治は、自分を捕まえ更正させてくれた老巡査への感謝の気持ちから、新郎新婦を金の手錠で繋ぐ「手錠結婚式」という鮫島結婚相談所の企画に賛同し、信子との挙式を鮫やんに託した経緯があり、その舞台には留置所こそが相応しいってなワケです。
ボンがあわや辞職しそうになった前週の暗いエピソードから一転、今回は元ハチャメチャ刑事の人情喜劇。ゴリさんのキャラクター同様、このオールマイティーさが『太陽にほえろ!』の魅力。
そしてこの鮫やんの破天荒さ、私はもう好きで好きでたまりません。『太陽』ファンにはなぜか鮫やんを毛嫌いする人がいるみたいだけど、あのキャラの一体どこに嫌悪する要素があるのやら、私には全く理解出来ません。つくづく、世の中には色んな人がいるもんです。
例えば今回なら、もう辞めたとは言え大先輩格の刑事にさんざんコケにされ文句も言えないゴリさんや、「藤堂ちゃん」呼ばわりされちゃうボス、久々に関西弁で喋るボン、鮫やんのセクハラをやたら警戒するアッコ(木村理恵)など、レギュラーメンバーたちの普段は見られない姿まで堪能できるワケで、番組ファンとして鮫やんに感謝こそすれ、毛嫌いする理由はどこにも見当たりません。
あまりに自然な藤岡琢也さんの名演技、軽快なアドリブ、北あけみさんとの絶妙な夫婦漫才など、何もかもが素晴らしい!の一言です。
そして今回のヒロイン=信子に扮した鈴鹿景子さんは、当時21歳。文学座出身、'76年にNHKの朝ドラ『火の国に』でいきなり主役デビュー、一躍注目された直後のゲスト出演でした。
以降、『太陽~』に通算4回ゲスト出演されたほか、『Gメン'75』『Gメン'82』『新幹線公安官』『明日の刑事』『特捜最前線』『はぐれ刑事純情派』『さすらい刑事旅情編』『NEWジャングル』等の刑事ドラマや時代劇に数多く出演されてます。
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