ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『ザ・刑事』#10

2019-03-06 00:00:10 | 刑事ドラマ'90年代









 
☆第10話『殉職!少女の愛に散った刑事』

(1990.6.17.OA/脚本=小川 英&若月ユウ陽/監督=日高武治)

かつて矢島(水谷 豊)が射殺した犯人の娘で、それ以来ずっと矢島が面倒を見てる幼女・あかね(中野美穂)が何者かに誘拐されます。

折しも矢島は山梨に出張中で、代わりに坂上(江口洋介)が犯人の洗い出しに奔走します。坂上は幼い頃に両親を亡くし、親戚をたらい回しにされた暗い過去を背負っており、同じ孤児の境遇であるあかねに肩入れしてるのでした。

やがて犯人は矢島に恨みを持つ前科者・岸田(南条弘二)と判明。必死の捜索で岸田のアジトを見つけ出した坂上は単身で潜入し、あかねを救出しようとするんだけど、彼女を守る為に2発の銃弾を浴びてしまい、遅れて駆けつけた刑事たちがモタモタしてる間に絶命しちゃうのでした。

この殉職シーン、手も足も出せず、救急車も呼ばず、犯人・岸田の弟が必死に説得する姿を後ろでただボーっと見てるだけという、仲間の刑事たちのあまりの無能ぶりにイライラしてしまい、感傷に浸る気分になれません。

アジトと言ってもマンションの狭い一室で、岸田は弟の方を向いて完全に背後が無防備で、いくらでも飛びかかるチャンスがあるのに、自首を待ってるのか悠長に見物してる刑事たち。

しかも岸田と弟の会話が「お前は矢島のせいで、あんなに好きだったサッカーが出来なくなったんだぞ!」ってw、足下で坂上が死にかけてるのに青春ドラマみたいな会話をしてる。

なんで矢島のせいでサッカーが出来なくなったかと言えば、かつて岸田が強盗をやらかして人質をとった時、説得に駆けつけた弟の足を矢島が撃ったから。矢島がなぜ、岸田を撃たずに弟の足を狙ったのか、その説明は一切なし。それはそれでメチャクチャな話ですw

(しかも弟の足はもう完治してて、ただプロのサッカー選手になる夢を自分の意志で諦めただけ。それで兄がここまで矢島を恨むってのもメチャクチャな話です)

で、諸悪の根源である矢島が最後に颯爽と現れて、余裕の笑みを浮かべながら「撃つなら俺を撃て。ただし1発で殺せよ。しくじったら俺が撃つからな」とか言って格好つけてる。全部あんたのせいやろ! それより死にかけてる坂上を早く何とかしたれよ!

で、弟が「矢島さんは悪くない! 僕の就職先も矢島さんが紹介してくれたんだ!」とか言って、無意味に足を撃たれたことも忘れて矢島をかばい、油断した岸田の足を瀕死の坂上が掴んだところで、やっと刑事たちが飛びかかるという体たらく。

しかも、どさくさに紛れて撃たれた篠丸係長(小林克也)がちゃっかり防弾チョッキを着てるのを見て「さすが係長!」とか言ってひと笑いしてから、ようやく思い出したように「坂上、死ぬなっ!!」ですからねw

で、あかねの安否を気にする坂上の前に、矢島が「安心しろ、無事だ」とか言って彼女を連れて来るんだけど、全身血まみれになって死のうとしてる人の姿を、そんな幼い子供に見せていいのか?とも思うし、そういう余計な事ばっか気になって「殉職」という肝心なイベントがちっとも胸に響いて来ない。

「お兄ちゃん、ありがとう」

「……幸せになれよ……」

本来なら滝の涙を流すべき絶命シーンも、もはや冷めた眼でしか観られません。矢島が感傷に浸りながらハーモニカを演奏するラストシーンにも、何もかもアンタのせいやろ!っていう怒りしか湧いて来ませんw

なんでこんな事になっちゃったんでしょう? 誰も脚本に疑問を抱かなかったんでしょうか? それとも現場で脚本をあれこれ変更するうち整合性を見失ったとか? 時間に追われる撮影現場では皆がテンパって、自分が今なにをしてるのか分からなくなったりするんですよね。

それにしたって、いくらなんでも今回はメチャクチャだったように思います。これじゃ坂上刑事が浮かばれません。たった10話で降板した事実を考えると、創り手が江口洋介さんに意地悪してわざと変な話にしちゃったとか、ゲスな勘繰りまでしたくなっちゃいます。

坂上刑事は『太陽にほえろ!』のジプシー刑事みたいな過去設定があったり、拳銃にはいつも1発しか弾丸をこめないという、ゴリさん的な設定まで(劇中じゃ一度も活かされなかったけど)あって、けっこう若手の中心的ポジションを担ってる感じだったのに、大した活躍もせずに終わっちゃいましたからね。

各エピソードがいちいち矢島=水谷豊さんを立てる構図になってる(それが今回みたいに話をイビツにしちゃう場合もある)ことに、江口さんが不満を言って干されたとか、そんな裏事情まで邪推せずにいられません。

そんなワケで『ザ・刑事』、やっぱいまいちパッとしません。ちっとも話題にならずに終わった理由が何となく分かります。だから江口さんも早く降りたかったんでしょう。

あかねを演じた子役の中野美穂さんは現在、声優「真坂美帆」として活躍中。

セクシー画像は、後に女バトルコップを演じることになる中村あずささん、当時23歳。清楚な雰囲気にエクボがチャーミングで、萌えますw

'87年のデビューから'98年の結婚&引退まで、芸能活動は約10年。その中でTVドラマ初レギュラーは日テレの『あきれた刑事』で、『ザ・刑事』の後には同じテレ朝の『ララバイ刑事'93』でも鶴太郎さんと共演される等、何かと刑事ドラマに縁のある女優さんでした。
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ザ・刑事』1990 | トップ | 『ザ・刑事』最終回 »

コメントを投稿