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ハリソン君の素晴らしいブログZ

新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『私鉄沿線97分署』1984~1986

2018-12-29 00:00:13 | 刑事ドラマ HISTORY






 
1984年の10月から’86年の9月まで全90話が放映された、日曜夜8時テレビ朝日系列、つまり『西部警察 PART III』の後番組です。

だけど製作は石原プロモーションではなく国際放映で、ドンパチ・アクションは一切無しの人情系刑事ドラマという、およそ『西部警察』とは180度も趣が違う番組になってました。

東京都多摩地域西部にあるとされる「多摩川市」のニュータウン「田園プラザ」という架空の町が舞台で、庁舎新設のためプレハブの仮庁舎に勤務する「第97分署」の刑事達の活躍が、地味ぃ~に、そして必要以上にハートフルに描かれました。

「温情に走り過ぎる捜査方針が問題視されてる警察署」という、まるで暴力集団の『西部警察』をおちょくったような設定でw、今となってはヌル過ぎて観てられないんだけど、当時は新鮮に感じたのか、けっこう楽しんで観てた記憶があります。

新任刑事の成長を軸にしたシリーズ構成が非常に『太陽にほえろ!』的だった事も、私にとっては親しみ易い要素でした。

初代が時任三郎、2代目が新沼謙治、3代目が古尾谷雅人というキャスティングで、2代目の新沼さんが異色にも程がありますw 意表を突いてるし面白いキャスティングだとは思うけど、新沼さんの刑事役を進んで観たいとは、少なくとも私は思えませんでした。だからその頃からほとんど観てないです。

シリーズ通してのレギュラーキャストは、温厚な検視官に渡 哲也、ぶっきらぼうな江戸っ子課長に長門裕之、飄々とした警部補の「奈良さん」に鹿賀丈史、肉体派の巡査長「ブル」に小西博之、ほか高橋長英、四方堂 亘、武藤章生といった面々。

また女性刑事枠は坂口良子、斎藤慶子、山口果林と変遷し、渡さんの助手役を早見 優、原口弥生、北原佐和子と代々アイドル女優さんが務めておられました。

各エピソードの内容はほとんど憶えてないんだけど、オープニングのタイトルバックにおける人物紹介の映像が、観ててちょっと背中がむず痒くなる代物だった事だけ、妙にハッキリ憶えてますw

そもそも主題歌が松山千春とかザ・ワイルドワンズとか五木ひろしとか、別に悪くはないんだけど、刑事ドラマの(エンディングならともかく)オープニングにコテコテの歌謡曲ってのは、どうも軟弱に思えて私はイヤでした。

で、人物紹介の映像は従来のフォーマットに沿ったものではあるんだけど、やたらハートフルというか庶民的というか、「僕たち、とっても人間味に溢れてま~す」ってアピールしてる感じが、ちょっと気持ち悪いんですよねw

前週までさんざん暴力と射殺と爆破を謳歌して来た渡哲也さんが、いきなりニコニコしながら平和の象徴である鳩を可愛がってたりw 斎藤慶子さんは男の股間を蹴り上げて「てへペロ!」みたいな顔をするし、長門裕之さんが無線機で指示を送ろうとしたらマイクがあさっての方角に向いちゃったり(ドリフのコントか!)、皆それぞれドジな一面、お茶目な一面をやたらアピールしてる。

それは番組の方向性を分かり易く表現した素晴らしいタイトルバックとも言えるんだけど、どうにも私は苦手でした。人間味なんて、自らアピールするもんと違うやろ!みたいに思っちゃうんですよね。

まぁしかし、格好良く拳銃を構えて、顔もキリッと決めてストップモーション、みたいなのを真面目にやるのは(観てる側が)気恥ずかしいっていう、時代の空気があったのかも知れません。

時代と言えば、この辺りから刑事ドラマは、より荒唐無稽なアクション路線とリアリティを重んじた人情路線とに、大きく二分化されて行く事になります。

つまりテレビ番組が若者向けと年輩層向けとにハッキリ区別される傾向が出て来たワケで、テレビが家族みんなで観るメディアじゃなくなって来た時代を反映してるんだろうと思います。

『私鉄沿線97分署』はどういうワケか、明らかにターゲットを年輩層に絞ってましたね。だからこその新沼謙治であり、ザ・ワイルドワンズって事なんでしょう。

後に藤田まこと主演『さすらい刑事純情派』がヒットしたり、『踊る大捜査線』以降の刑事ドラマがリアリティ重視に偏って行く事を思えば、この『私鉄沿線97分署』はかなり先見の明があったと言えるかも知れません。

扱う事件が万引きとかイタズラ電話等の軽犯罪ばかりなのは所轄署の仕事をリアルに捉えてるし、許可無しでは拳銃を持ち出せないとか、独身者はみんな警察寮で生活してるとか、そういったリアリズムも当時は新鮮に感じました。

中途半端に『西部警察』の路線を継承せず、180度の方向転換を計ったのは大正解だったと、今となっては思います。実際、2年も続く人気番組になったワケですからね。

だけど、その新鮮さによる効能も2年が限度で、後に製作された同路線の刑事物『ニュータウン仮分署』(’88年、岩城滉一、清水宏次朗、柳沢慎吾、山城新伍らが出演)は低視聴率により1クールで打ち切られ、日曜夜8時のテレ朝ドラマ枠は消滅する結果となりました。

その頃には『太陽にほえろ!』も『特捜最前線』も長い歴史にピリオドを打っており、その一方で刑事ドラマの概念を破壊し尽くした『君の瞳をタイホする!』みたいな「トレンディードラマ」が台頭する等、時はまさにTVドラマ界の大きな変革期だったように思います。

フィルム撮影による刑事ドラマは『あぶない刑事』(’86~)の大ヒットが最後の花火で、この『私鉄沿線97分署』は言わば、終わりの始まり。つまり本当の意味での「刑事ドラマ」が、いよいよ絶滅へと向かって行く助走みたいなイメージが、私の中にはあります。
 
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『ツバキ文具店/鎌倉代書屋物語』#04~#06

2018-12-28 12:00:25 | 多部未華子







 
予告通りw、第6話における高橋克典さんのエピソードに号泣しました。認知症の母とか、父の死とか、今の自分にとって最も感情移入しやすいテーマです。

高橋さんのお母さん(草村礼子)が徘徊を繰り返すのは、海外を飛び回る夫からの手紙を、ずっと待ってるから。その夫はもう他界してるもんで、息子の高橋さんが鳩子(多部未華子)に代書を依頼し、その手紙によって徘徊が収まるっていう展開は、まぁ容易に予想出来るし、それ以外の展開はまず考えられません。

にも関わらず泣いちゃう。観る前から、想像しただけで泣いちゃうんだから、そりゃ実際に観たら号泣するに決まってますw しかし、よもや第6話まで引っ張られるとは!w

これがTBS「日曜劇場」あたりのドラマだと、押しつけがましい泣かせ演出で逆に冷めちゃうんだけど、本作がそうでないことは既に分かってますから、身構えること無く安心して泣けるってもんです。

我々視聴者だってバカじゃないですから、そのストーリーが最初から「泣かせ」ありきで組み立てられたものか、ただ純粋に伝えたいことを真摯に伝えてるだけ(泣くのはあくまで、その結果)なのかぐらい、本能的に嗅ぎ分けます。

これはもう、ドラマの創り手と我々視聴者、送り手と受け手との信頼関係です。例え視聴者を泣かせたい意図が両作品とも同じだったとしても、そこに視聴者との信頼関係が築かれてるか否かで、結果は大きく違って来ます。

こんなこと、いくら書いたところで、日曜劇場で毎週気持ち良く泣いてらっしゃる方には意味不明ですよねw 別に日曜劇場で泣くのが悪いとは言わないけど……

それはともかく、鳩子が一体どんな手紙を書いて事態を収束させるのか、今回も興味深く観させて頂きました。

「いつも見てる」っていうセンテンスに、お母さんは安心した様子です。たぶん、夫がもうこの世にいないっていう事実を、頭ではちゃんと理解してたんですね。

それでお母さんの徘徊が治まったのか否か、結果をあえて語らないのも良かったと思います。わざわざ言わなくても分かることです。

代書屋の仕事はやっぱり、小説や脚本を書く仕事とよく似てます。言わば他人になりすまして嘘をつくワケだけど、心にも無いことを書くとその嘘はバレてしまう。そう、日曜劇場みたいにw

作者がちゃんと登場人物の気持ちを理解し、自分自身の気持ちとリンクさせて書かないと、読者や視聴者には伝わらない。第1話で鳩子が初めて手紙の代書をした時、全然ハートがこもってないって、クライアントに叱られましたよね? それが(私から見れば)日曜劇場の脚本ですよ!w

ドラマの脚本を書く作業は、視聴者に向けて手紙を書くのと同じなんです。ただ小手先で視聴者やスポンサーの機嫌を取ろうとしたって、我々はまるっとお見通しだ!ってワケです。スポンサーのお偉いさん達は騙せても、視聴者は騙せません。

……って思いたいけど、日曜劇場が高視聴率を稼いでる現実を見ると、やっぱ破滅と言わざるを得ませんね。破滅です。決して日曜劇場だけが悪いワケじゃないんだけど、あれが今一番分かりやすい、小手先「泣かせ」ドラマの典型です。

その対極にあるのが、この『ツバキ文具店/鎌倉代書屋物語』。もちろん、技術も凄い! けど、それ以前に、ちゃんと心がこもってます。嘘だと思うなら観てみるでござる。
 
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『デカワンコ』#08

2018-12-28 00:00:24 | 多部未華子









 
☆FILE.8『コレって最終回!?』

(2011.3.5.OA/脚本=伴 一彦/演出=中島 悟)

第1話で最初に花森一子=ワンコ(多部未華子)の特殊能力を信じてくれた人なのに、暴力団「銀星会」との癒着および殺人容疑で逮捕されちゃった、五十嵐警部補=ガラさん(佐野史郎)。そして前回、ガラさんの供述に「嘘の匂い」を嗅ぎ付けたワンコ。果たしてガラさんは、本当に殺人を犯したのか?

その真相が明かされる本エピソードは、サブタイトル通りまるで最終回みたいな内容でした。ちゃんとした刑事ドラマなら確実に最終回ですw 何しろ実際の『デカワンコ』最終回は、刑事たちの慰安旅行記に1時間を費やしてしまうw

それはともかく、ガラさんが逮捕された事で癒着は無くなった筈なのに、なおも捜査情報が銀星会に流れてる=もう一人スパイが警視庁に潜んでると睨んだガラさんは、仮病で入院していた病院を脱走し、銀星会に乗り込んでスパイの正体を探ります。

より刑が重くなっちゃう事を覚悟の上で、命懸けで正義を貫き、自らの罪を償おうとする姿を見て、13係の刑事たちはガラさんへの敬意を取り戻します。

お陰でもう一人のスパイは逮捕出来たし、ガラさんの殺人も不可抗力だった事が判明するんだけど、罪は罪。再び拘留されていくガラさんを見送る13係刑事たちの眼差しは、第1話の時とは明らかに違ってました。

スパイ特定の決め手になったのは、やっぱりワンコの特殊な嗅覚。第1話の時はガラさんしか信じてなかったのに、今回は刑事たち全員がすんなり信じちゃう。そんな様子を見て、ただでさえ細い眼をいっそう細めて、ガラさんが言うんですよね。

「花森。お前、みんなからワンコって呼ばれてるんだな」

13係で浮いた存在だったワンコが、しばらく見ない間にすっかり受け入れられ、信頼されてる。その嬉しさと、自分だけ蚊帳の外にいる寂しさが同時に伝わって来る、さりげなくも味わい深いセリフです。

ところでスパイの正体は、マルボーこと組織犯罪対策部のベテラン刑事でした。演じたのは、日本一ヤクザ役が似合う小沢仁志さんw マルボーの刑事がヤクザより強面なのはリアルかも知れないけど、ファッションまでヤクザの幹部そのものなのは笑いましたw

また、ガラさんを追って独りで銀星会に乗り込んだワンコの窮地を救ったのが、下宿先のお爺ちゃん(上田耕一)。その正体が、ヤクザもひれ伏す大人物「山田彦左衛門」である事も今回明かされましたw

明かされたと言っても、なぜヤクザたちが山田彦左衛門に頭が上がらないのか、その理由の説明は一切無しw 彼がそんな大人物だとは、演じる上田耕一さんも今回の台本を貰うまで知らなかった事でしょうw

ワンコが銀星会に乗り込む際のセリフ「すみません、そのスジの方ですか?」も爆笑もんだしw、ほんと何をやってもスベらない、これは奇跡のドラマです。

PS. 第8話が第1話と対になってるのはガラさんの件だけじゃありません。ワンコはじめ13係の刑事たちが拳銃を握ったのって、この2回だけなんですよね。

「デコるなよ」

常時携帯を命じられ、ほくそ笑むワンコに先輩たちが釘を刺しましたw

それでもちゃっかり、拳銃のシリンダーにピーポくんステッカーを貼り、ランヤード替わりに派手なストラップを繋げてデコりまくるワンコw

で、いざ拳銃所持の犯人と対峙したら、そのストラップがホルスターに引っ掛かって銃が抜けないというポンコツぶりw

ワンコ刑事、ほんと最高ですw
 
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『探偵!ナイトスクープ』2018.5.25

2018-12-27 12:27:44 | 多部未華子









 
三代目秘書の松尾依里佳さんが産休で『探偵!ナイトスクープ』を降板された時、次回予告で「新秘書登場!?」のテロップと共に、依頼文を読み上げる若い女性の姿がモザイク越しに映し出されました。

その映像で人物を特定することは不可能だったけど、私はその声を聴いて「えっ、これ、多部ちゃんと違うの?」って思ったんですよね。彼女の特徴ある声と、文章の読み方に凄く似てるように感じたんです。

多部未華子さんは関西出身のご両親の影響で『探偵!ナイトスクープ』の大ファンだっていう話をどこかで聞いた覚えがあり、また私も大好きな番組なもんで、これがホントに多部ちゃんならこんなに嬉しいことはない!って、すっかり舞い上がってしまいました。

単純に、これから数年は(ドラマに出なくても)毎週テレビで多部ちゃんを観られるって意味でも、ファンとしてメチャクチャ嬉しいことです。

なので、興奮しながらタベリスト仲間のyamarine師匠とgonbeさんのブログに「ナイトスクープの新秘書、多部ちゃんかも!?」ってコメントを書き込んだんだけど、程なくしてあの声の主は本田望結ちゃんであることが判明し、典型的な「ぬか喜び」に終わってしまいました。

実際に本田望結ちゃんの映像付きで観ると、声も読み方もそんなには似てないんだけど、モザイク越しで声を聴くと似てる気がしたんですよねぇ……

それはともかく、どうやら正式に四代目秘書が決まるまでは「秘書見習い」として毎週違うタレントさんが秘書役を務めるらしく、二階堂ふみさんや本仮屋ユイカさん、松岡茉優さんといった若手女優たちが続々登場するのを観て、やっぱり多部ちゃんが(番組のファンだっていう情報がデマでなければ)登場する可能性は充分にあるぞ、って思ってたら……

2018.5.25、ついに降臨してくれました! しかも、その回の顧問が萩原健一さん! ワンコ刑事とマカロニ刑事、夢の共演です。多部ちゃんは『デカワンコ』で『太陽にほえろ!』にオマージュを捧げながら、七曲署OBとの共演は朝ドラ『つばさ』における山下真司さん(スニーカー)、石橋蓮司さん(復活版のデカチョウ)以来、ずっと無かったんですよね。奇しくも、多部ちゃんの髪型がしばらく見ない間にストレートのロング(『つばさ』の頃のスタイル)に戻ってました。

それより何より、想像してた以上に多部ちゃんが『ナイトスクープ』好きであることが分かって嬉しかったです。これまで秘書見習いで登場してきた方々も番組ファンを公言されてたけど、多部ちゃんみたいに感極まって涙ぐむような人はいませんでした。

これまでずっと事務所の意向に従って仕事をしてきた多部ちゃんが、今回の秘書役だけは「初めて自ら志願」されたんだそうで、ハンパない思い入れの強さが伺えます。

とは言え、この番組の主役はあくまで一般の「依頼者」ですから、秘書にはそれほどスポットは当たりません。顧問も最後に一言二言コメントを言うだけ。どんな大物が来ようとそのスタンスを変えないのも『ナイトスクープ』の魅力です。

それどころか、どの番組に出ても共演者をガチガチに緊張させちゃうショーケンさんに向かって、探偵の間寛平さんは平気で「健ちゃん」呼ばわりですからねw 寛平さんのキャラだから許されるんでしょうけど、あんな光景は初めて観ました。

まぁ、顧問は自分の出演映画とかLIVEイベント等の告知が出来る旨味がありますから、大物が出てくる必然性はあります。それに対して秘書は完全なアシスト役で、依頼文や告知文を読むだけの仕事。それを名だたる人気女優たちが嬉々として引き受け、多部ちゃんみたいに自ら志願しちゃう人までいるんだから、あらためて凄い番組だと思います。

今回の番組内容自体は、まぁ3本とも他愛ないもんでしたw 1本目、日本語学校の恩師に会いたい外人さんの依頼にはホロッと来たけど、割りとアッサリ再会出来ちゃったし、2本目の縮んだセーターを元に戻す依頼はそんなの無理に決まってるし、3本目の夫のチーズ嫌いを克服したい主婦の依頼は正直どーでもいいと思いました。

ただ、いかにも『ナイトスクープ』らしい内容の3本ですから、多部秘書はきっとご満悦だったことでしょう。特に2本目は『ナイトスクープ』ならではのナンセンスさで笑えましたw 基本はやっぱお笑い番組なんですよね。

とにかく多部ちゃんの本当に幸せそうな様子が見られて、タベリストにとっても至福の時間でした。今後も、どんな人が秘書を務められるか楽しみです。
 
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『探偵!ナイトスクープWalker』

2018-12-27 00:00:06 | エンタメ全般
 
本屋さんでこんなムックを見つけて、即購入しました。『探偵!ナイトスクープ』から派生した本はいくつかあるけど、番組自体を1冊まるごと特集した本は意外にこれまで無かったと思います。

関西在住の方、あるいは住んだ事がある方で、この番組を全くご存知ないって方はおられないんじゃないでしょうか?

深夜番組では異例の高視聴率を稼ぎ、関西ローカル(ABCテレビ)から全国ネットに拡大されたものの、放映時刻があまりに遅かったりするもんで、関西人以外の方には馴染みが薄いかも知れません。観たことが無いと仰る方は、予約録画して是非とも一度、ご覧頂ければと思います。傑作選DVDもリリースされてます。

関西を中心に活躍する芸人さん達が探偵を務め、視聴者から寄せられる依頼に応えて、人探しや謎の解明を行うバラエティー番組で、司会(探偵局長)が上岡龍太郎さんから西田敏行さんに代わって、早いもので約17年が経ちました。

似たような番組はいくらでもあるかと思いますが、この『探偵!ナイトスクープ』は別格ですね。他の番組とは一線を画してます。

これ以外の民放バラエティーはほとんど観なくなっちゃったんで一概には言えないんだけど、少なくともゴールデンタイムの番組にナイトスクープの真似は、到底出来ないんじゃないかと私は思います。

なぜかと言うと、ナイトスクープって番組は、視聴者からの依頼内容を選ばないんですよね。いや、実際は無数に届く依頼の数々から厳選はするにせよ、そこに保険をかけるような選び方をしないと言いましょうか……

普通の番組なら、採用して面白くなる(笑えたり泣けたりする)見込みの無いネタは、まず排除しちゃうと思います。あるいは、面白くなるようスタッフ側でネタを膨らませたり、仕込み(ヤラセ)を入れたりなんかして、無理にでも面白くしようとする。

それがナイトスクープの場合、面白くなる見込みが無くても「とにかくやってみよう」っていう姿勢を、ずっと貫いてる。たぶんナイトスクープの採用基準は、依頼者がどれくらい本気で、心底からその依頼を求めてるか?って事だけじゃないかと思います。

だから、依頼者の本気さ、真剣さが伝わって来る依頼ならば、たとえ面白くなる見込みが無くても、どんなにバカバカしいネタでも、とにかくやってみる。

その結果、ホントにスカスカな結果に終わっちゃう事もあるんだけど、構わずそのまま放送しちゃう。毎週3つの依頼を引き受けるんだけど、3つともスカスカで「何だったんだ今週は!?」ってなっちゃう事も、決して珍しくないw

なのに、それで視聴者が離れていく事にはならないんです。なぜなら、100%予定調和を排した番組ゆえに、全く想定外の奇跡、思いもよらない感動が、不意打ちで起こったりする事もしょっちゅうあるから。それを目撃した時の快感がクセになっちゃうワケです。

何しろ不意を突かれますから、爆笑させられるし号泣させられるし、この番組でなければ味わえない感動があるんです。最初から着地点を想定してる番組だと、味わえる感動も想定内に収まっちゃう。

ナイトスクープって番組の凄さは、着地点が見えないまま離陸しちゃう無謀さ、懐の深さにあるんじゃないかと私は思います。これを真似出来る創り手はなかなかいないでしょう。

近年で特に印象に残った回を挙げれば、女性と交際した経験が全くない30代の男性Aさん(もちろん童貞)が、一生に一度でいいからデートがしたい!ってな依頼を寄せた回。

そこまでなら想定内だけど、話には続きがあるんです。ここからが凄い。とにかく女性に対して自信が持てないAさんは、デートしてもらえるなら相手が男性でも構わない!と仰るワケですw(ナイトスクープ探偵局には、男性の探偵しかいません)

私自身、女性と初めて交際したのは平均よりかなり遅かったですから、女性との縁を諦めてた時期もありました。だから、この依頼の途中までは大いに共感出来ます。

だけど、一生に一度のデートの相手が、男でも構わないって? そこから唐突に理解の範疇を超えちゃってます。Aさんは別に、ゲイってワケでもないんです。

これは一体、どういう事なのか? 女性との交際を諦めた男が男とデートする事に、果たして何の意味があるのか?

全く着地点が不明な依頼で、とんでもなく寒いVTRに仕上がる危険性も孕んでおりw、普通の番組ならまず取り上げないでしょう。だけどナイトスクープはやっちゃうワケです。

派遣された探偵はカンニング竹山さん。まずAさんの気持ちが本物なのかどうか探り、具体的にどうしたいのかを尋ねていく。Aさんは、デート出来るなら相手が男でも構わない、むしろ男がいい!竹山さんがいい!ってw、熱く語っておられました。

頭髪が薄いだけでルックスは普通(むしろ整ってる位)なんだけど、その語り口調で女性が引いちゃうのは、まぁ何となく解りますw

なんで相手が男でもOKなのかは、いくら話を聞いてもやっぱ解んないけど、Aさんがウケ狙いとかじゃなく真剣である事だけは伝わって来ました。

竹山さんもそう感じたのでしょう、Aさんの望む通りにデートし、手を繋ぎたいと言われれば手を繋ぎ、芸人としてのウケ狙いは一切なしで彼と向き合ってました。

そしてクライマックス。Aさんはキスがしたいと言い出しました。竹山さんは意味が解りませんw 解らないんだけど、Aさんのあまりの真剣さにほだされ、酒の力を借りながらだけど、熱く長い接吻を交わすのでした。

こうして文字で説明しても、読んでる皆さんには全く伝わってないかと思いますがw、私は感動しました。西田局長もスタジオの観客も、みんな感動してました。さすがに泣きはしなかったけど、理屈を超えた感動が、そのVTRにはありました。

竹山さんとキスして、感激のあまり泣きじゃくるAさんもワケ分かんないしw、断る事だって出来たのに、Aさんの願いに泣く泣く応えてあげてる竹山さんも、実にワケ分かんない。

だけど、とにかく2人とも真剣である事だけは伝わって来る。笑わせようとも泣かせようとも一切してない。Aさんは本気でキスがしたいし、竹山さんは彼の切実な願いを叶えてあげたい。純粋に、その想いだけで動いてる。

着地点、なし!w オチなんか要らないんです。どんな内容であれ、人の「想い」がダイレクトに伝わって来ると感動しちゃう。例えそれが理解し難い想いであっても。

……伝わってないですよねw 文章じゃとても表現出来ませんm(_ _)m とにかく、人間という生きものの奥深さたるや! まぁ、Aさんは自覚してないだけで、実は単なるゲイなのかも知れないけどw

とにかく、予定調和なし! 着地点なし! 『探偵!ナイトスクープ』の魅力は幾多あれど、私がこの番組に惹かれる最大の理由はそこにあります。

それと、マイノリティな一般人を決してバカにせず、たとえ理解出来なくとも同じ目線で向き合い、その望みを叶えるために全力を尽くす姿勢。主役はあくまで依頼者なんだっていう徹底したポリシー。

その点は、私が最近新たにハマったバラエティー番組『激レアさんを連れてきた。』(同じテレビ朝日系列の月曜深夜枠で放映中)も同じです。

激レアな体験をした人、激レアな人生を送ってる人を徹底分析する番組で、主役はあくまで「激レアさん」つまりは一般人。ゲストの有名人は感想を述べるだけの脇役に徹し、主役に対して(ツッコミは入れても)上から目線で意見や指図をするようなことは絶対しない。そこが心地好いんですね。

そんな『激レアさん~』にも多大な影響を与えたであろう『ナイトスクープ』の魅力、その面白さは、こうして文字にしたところで到底伝わるもんじゃありません。

でも、この番組がなぜこんなに面白いのか、なぜ他の番組では味わえない感動を与えてくれるのか、そのヒントが『探偵!ナイトスクープWalker』というムックに記されてるのは確かです。ファンなら必須のアイテムかと思います。

☆追記(訂正)
この本を読むと「面白くなる見込みが無い依頼でも採用する」だとか「着地点が見えなくてもやってみる」なんてことは、テレビ番組として有り得ないみたいですねw

どうすれば面白くなるか徹底的にシミュレーションし、幾通りもの着地点を想定し、入念に準備する。行き当たりばったりでロケしてるように見えて、実は他の番組よりもずっと緻密な計算により成り立ってるのが『探偵!ナイトスクープ』という番組。

だからこそですよね。それでも想定通りにいかないから面白いし、感動が生まれるんだろうと思います。
 
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