屯田物語

フォレスターとα6000が
旅の仲間
さあ、カメラを持って
出かけよう!

詩集「琴しぐれ」夕愁白嶺<雪の故郷>

2021年11月13日 | 琴しぐれ

↑ 昭和35年頃冬 旭川市一条八丁目のバス停<「琴しぐれ」写真:尾崎弘司>
↓ 令和元年10月 旭川駅 石川啄木歌碑
 
<雪の故郷>

吾が故郷は北の海
雪の奥路になつかしき
心に思う真白地の
見渡す限りの美しきを

灰色空のかなたの
白銀の綿着も厚く
遙かなる大雪山は
ゆったりと眠りけり

夏は早瀬の石狩川も
重き衾に隠れ入り
細々と一筋を残しつつ
ゆるゆると流れけり

夜寒き雪降りの日
汽車は旭川駅に息づきぬ
鈴蘭燈の凍えつく光も
北国に哀愁のありき

雪に埋まる旭川を
馬車の通る鈴の音の
寒き夜空にシャンシャンと
橋の向うに鳴いて消ゆ

旭橋の欄干の上を
北風の吹き過ぎる
粉雪のまい落ちて
川面を辷り行けり

降り積る雪の街路に
長靴の跡の点々と
人のと絶えし旭川の
白き夜に残るなり

寒々と身に沁む夜は
熱酒雫を酌交し
雪国の旅路の果を
故郷と暫し慰さむ

詩集「琴しぐれ」夕愁白嶺 <晚秋>

2021年11月06日 | 琴しぐれ
<晚秋>

晩秋の遠き紅葉山は
山火事のように 赤々と
薄白露霜の影を
いよよもえ渡りけり

暖かき雑木紅葉の
そこかしこさ迷えば
小さき紅葉子が踊りけり
小さき紅葉子が踊りけり

草紅葉の細き小径を
吹き落ちる山おろしに
路傍の千草百草は
みるみるもえ広がりき

照葉もかなし末枯れて
消え入りぬ秋の中を
かさかさと枯葉の走りけり
かさかさと枯葉の走りけり

詩集「琴しぐれ」夕愁白嶺 <小雨降る都会の夜>

2021年11月05日 | 琴しぐれ
<小雨降る都会の夜>

小雨降る都会の夜は
いい知れぬ哀しきものぞ
侘しき思いに悩む時
孤独な吾を嘆くなり

雨の音の淋しさは
都会の夜なればなり
忍び泣きする悲しみの
頬を伝わる小糖雨

ヘッドライトも騒音も
咽び泣きする雨の夜は
濡れた街路を当もなく
雨に打たれ消え行かむ

冷たく光る街燈の
その青白き流し目は
心の悩み知らずでか
都会に今日も小雨降る


隅田川最上流!対岸は足立区です。ハナミズキが紅く!るりまつりにチョウチョが飛んできて・・
(追)11月4日暖かい日で北区志茂界隈を散策!朝顔も咲いてました。
<写真・コメント 片脇>

詩集「琴しぐれ」夕愁白嶺 <朝顔>

2021年10月23日 | 琴しぐれ
<朝顔>

夕露の光りて
竹垣に咲く朝顔は
薄紫に淋しかりけり
薄紅に悲しかりけり

秋風の来て
この道を行くなり
そろそろ落葉して
この道を行くなり

竹垣に残る
朝顔の二つ三つ
過ぎ行く秋に
色あせにけり

朝顔の散りて
吾のみか 歌う
この道を秋は行きけり
そろそろ秋は行きけり

詩集「琴しぐれ」夕愁白嶺 <アイヌ哀歌>

2021年10月19日 | 琴しぐれ
<アイヌ哀歌>

アイヌ彫りの小さき木熊に
雪国の流離い民族の嘆きを
優しきは故郷のみか
その願い その声に

熊祭の篝火も
昔アイヌの祭ごと
花簪の鈴蘭も
悲しメノコの恋物語

綱打つ声の石狩川
神の御山の大雪山
滅びゆく民族の
暗い連命を嘆くなり


はまなすの丘公園に建つ石狩灯台
映画「喜びも悲しみも幾歳月」の撮影のため赤と白に塗りなおされた。
ネーチャーセンターには主演女優・高峰秀子さんと撮影に協力した地元のご婦人方の写真が展示されている。




詩集「琴しぐれ」夕愁白嶺 <里の秋>

2021年10月18日 | 琴しぐれ
<里の秋>

早稲の穂のかたぶく秋は
さらさらと風もゆるけき
家路をたどる農夫の背に
夕焼け雲は赤き影を投げり

かやぶき屋根は秋めきて
古き水車はゆるゆると
静かなる夕べの田園に
照り映う水を落しおりけり

黄昏のもやの彼方の
野火のともるを見つつ
秋草の色なす野路へ
草の香を慕いさ迷えり


旭川市神楽岡公園の秋




詩集「琴しぐれ」夕愁白嶺 <田園の黄昏>

2021年10月16日 | 琴しぐれ
<田園の黄昏>

黄昏のささやきに
滲み出づる薄紫のもや
広がり広がりて
遙か田園は眠り行きけり

黄昏のほほえみに
日焼け農夫の
力強き今日の喜びが
白い歯をのぞかせり

黄昏の小守唄
遠くにもゆる赤き灯
そして安らかな寝息に
夜は深々と静み垂れけり


百合が原公園:カメラをセットしてスマホで操作。自撮りに挑戦したがモデルの影が薄かったね。

詩集「琴しぐれ」夕愁白嶺 <田植>

2021年10月10日 | 琴しぐれ
<田植>

若き五月女 田植唄
玉苗顔ゆる苗籠に
日焼け笑顔の早乙女の
菅笠並び黒き土は
植田色なす幾緑

夕映えかかり水田に
早苗波打つ八重潮と
泥に塗れし五月女等
三々五々と田植路を
帰途につき行く長閑なり


金星と月が大接近!サソリ座のアンタレスは見えなかった。
あの山影は手稲山