<宿の女>
宿の女は
山形の生れだと云う
私の生れが
北海道だと云うと
宿の女 リエさんは にこっと笑った
北国の三月はまだ一面が雪だ
リエさんは京都の方が幾か寒いと云う
雪のある方がまだしも暖かだと云う
私にもそんな記憶がある
牡丹雪の降った時など
割方暖かなものである
リエさんは故里の話を聞かせくれた
リエさんのはちきれそうな躰が
東北の子供達の
リンゴ色した頬を思わせる
遠く離れた旅空で
お国自慢は楽しいものだ
宿の女は
山形の生れだと云う
私の生れが
北海道だと云うと
宿の女 リエさんは にこっと笑った
北国の三月はまだ一面が雪だ
リエさんは京都の方が幾か寒いと云う
雪のある方がまだしも暖かだと云う
私にもそんな記憶がある
牡丹雪の降った時など
割方暖かなものである
リエさんは故里の話を聞かせくれた
リエさんのはちきれそうな躰が
東北の子供達の
リンゴ色した頬を思わせる
遠く離れた旅空で
お国自慢は楽しいものだ