屯田物語

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詩集「四季の風」夕愁白嶺<引潮>

2024年08月19日 | 四季の風
「ひき潮」(Ebb Tide)は、マントヴァーニ・オーケストラによる美しい演奏が印象的な曲でした。静かな夕暮れの海辺。波が穏やかに引いていく様子がマントヴァーニの優雅なストリングスと重なり心が安らぎます。

<引潮>

貴女は引潮を愛していた
嬉しい北国の雪解よりも
その悲しさを愛していた

ひきしおは女
つつましい女

貴女の足音のように
静かに黙って去って行く
貴女の残り香のように
くすぐったい潮の香

なすすべもない私を見ながら
ぎこちない微笑を砂地に落して
貴女は引潮になりたいと云った
そして貴女は引潮になった
遠い昔の思い出の中で
黴かに潮鳴りの聞える時


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