屯田物語

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凶 電

2020年01月10日 | 春を呼ぶ朝


大村正次著「春を呼ぶ朝」―神様に召される前
―逝ける妹ふさ子の霊に捧ぐ―

  凶 電

 やはり死んだ、 ふさ子は。
 どうせいけないとわかってゐても
 若しかしたらと心の隅のどこかに
 誰しもがつなぐあはれな希望のぞみの糸、
 細いけれど妙に断ちがたいその糸が
 急に ふつつり切れた時のさびしさ、
 再び返らぬものへの涙ぐましい思慕が
 しんしんとそこからうづいて來る。
 俺の仕事がなんであろ。
 なぜもう一度顔を見ておかなかつたろ。
 ふさ子はもう死んだのだ。


人見東明
(↑クリックで人物紹介)
御高著ただ今拝受直ちに拝讀致し、ふかい感激を感じてゐます。かゝる詩境に生き得る大兄に心からの敬意を表したいと思ひます。


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