さすらいの青春(380)
𝓛𝓮 𝓖𝓻𝓪𝓷𝓭 𝓜𝓮𝓪𝓾𝓵𝓷𝓮𝓼
———————【380】—————————————
Mais il était aisé de voir que ceux-ci
n'avaient jamais navigué plus loin que
le bout du canton; et s'ils avaient
tangué, roulé plus de mille fois sous
les averses et dans le vent, c'était pour
ce dur voyage sans péril qui consiste à
creuser le sillon jusqu'au bout de son
champ et à retourner ensuite la charrue...
On voyait peu de femmes; quelques
vieilles paysannes avec de rondes figures
ridées comme des pommes, sous des
bonnets tuyautés.
.
—————————(訳)——————————————
この人たちが航海で郡境より先へ出たことがない
ことはすぐに見て取れた.なるほど彼らは風雨の
中を千回以上も船の中で縦にも横にも波に揺れた
のだろうが、それは危険のない安全な辛い航海で、
いわば手押し耕運器具で畑の端まで行ったり来た
りして溝を掘ることと変らない...ご婦人方の
姿はほとんど見当たらなかった.だが何人か百姓
風のばあさんがいた.玉縁飾りの帽子の下に、し
わだらけで、りんごのように丸い顔が見えていた.
.————————《語句》—————————————
il:このil は「彼は」ではなく仮主語.あとの不定詞
を受けています.voir ですね.
aisé(e):(形、p.passé) ❶容易な、やさしい、❷裕福な、
安楽な、❸[態度などが]自然な、くつろいだ、
il est aisé de + 不定詞:~することは容易だ.
il est aisé de voir que ~ / ~を見て取るのは容易だ
~なのはすぐわかる.
canton:(m) [フランス] 小郡、
郡(arrondissement)と市町村(connune)の間の規模
行政区分
dur(e):(形) つらい、苦しい
avaient tangué:(直、大過去)
tangué:(p.passé) < tanguer [tãge, タンゲ]
tanguer:(自) (船などが)縦揺れ[ピチング]する
tanguer et rouler / ピッチングとローリングをする
roulé:これも先のavaient と共に直説法大過去を作る.
plus de mille fois:1000 回以上
s'il avaient roulé plus de mille fois / 1000 回以上揺ら
れたとしても
averse:(f) にわか雨
vent:[vã, ヴァン](m) 風; Il fait du vent. / 風がある.
sans péril:危険もなく
consister à + 不定詞:~することにある
creuser:[クルゼ](他) ~に穴をあける、を掘る
sillon:[スィヨン](m) (畑の)畝溝、溝、すじ、しわ
jusqu'au bout de son champ:自分とこの畑の隅まで
retourner:(自/他) (~を)行ったり来たりする
charrue:[シャリュー](f) 犂(スキ)、(車輪のついた手押しのもの)
voyait peu de femmes:ご婦人方の姿はほとんどなかった.
quelques vieilles paysannes:百姓風のばあさんたち数名
avec de rondes figures:丸い指をしている
ridé(e):(形) 皴が寄った
pomme:(f) りんご
sous des bonnets:帽子の下で
bonnet:[ボネ](m) 縁なし帽、ボンネット;
注意点としてはボンネットにつられてbonnette と綴
ると、堡塁とか補助帆という別の意味になります.
tuyauté:❶(m) 丸襞飾り;❷(形)玉縁を付けた
tuyauter:(他)⦅服飾⦆服に玉縁飾りをつける
——————————— ≪文法≫ ————————————————
s'ils avaient tangué, roulé plus de mille fois sous
les averses et dans le vent, c'était pour ce dur voyage
sans péril.
もし彼らが風雨のなかで千回以上も波に揺らされたと
したら、それは危険のない航海だったのだ.
s'ils でびびった方、落ち着いて下さいませ.ここは直
説法です.前半は直説法大過去、帰結部が半過去.
「もし~していたというなら、~だったということだ」
pour はここでは【資格・相当】「~として」の意味.
「それは危険のない航海としてのことだった」となり
ます.