ハリエット嬢(39)
—————————【39】——————————————
Elle était très maigre, très grande, tellment ser-
rée dans un châle écossais à carreaux rouge, qu'on
l'eût crue privée de bras si on n'avait vu une lon-
gue main paraître à la hauteur des hanches, tenant
une ombrelle blanche de touriste.
——————————(訳)————————————————
彼女はとても痩せていて、背が高く、身に纏っている
赤い格子縞の肩掛けがあまりにも密着し過ぎていて、も
しも彼女の長い手が白い旅行用日傘を持つのに、腰の辺
りに見えていなかったなら、腕が無いんじゃないかと思
えるぐらいだった.
.—————————《語句》———————————————
maigre:[メーグル] (形) やせた、
tellment:(副) とても、非常に;
tellment...que ~ / 非常に…なので~
serré(e):(形) ぎっしり詰まった、密な
dans:(前) ~な状態で、~を着ている状態で;
Je l'aime beaucoup dans cette robe. / 私はこの
ドレスを着ているときの彼女が大好きだ
châle:(m) ショール、肩掛け
écossais(e):(形) スコットランドの、
タータンチェックの、タータンでできた
carreau:(m)(pl_x):①敷石、舗石、床石;②窓ガラス
❸[pl で] チェック、格子縞
mouchoir à carreaux rouges /
赤いチェックのハンカチ
privé(e):(形) privé de ~ ~のない
privée de bras / 腕がない
bras:(m)[単複同形] 腕
単複同形なのでprivée de brasと言われても
その女性は片腕がないのか、両腕がないの
かは不明.
main:(f) 手
日本語の「手」はときどき腕を含みますが、
フランス語のmain は指の付いている部分.
一方、bras は「腕」ですが、主に上腕を指すよ
うです.ただし「肘」coude から先の「手首」
poignet にかけての腕の部分はavant-bras ですが
この部分も「腕」bras.という語がカバーする
ようです.2塁ベースをショートとセカンド
でカバーするように、下腕(かわん)という2塁
ベースは、avant-bras がカバーしたり、bras が
カバーしたりします.
カニの足は何というのか調べてみたがわかり
ませんでした.しかし、イカやタコの足は
tentacule ともbras ともいうようなので、おそら
カニの足もbrasでいいんじゃないかなと思いま
す.そしてその場合も付け根のほうの足がbras
先のほうの足がavant-bras といったりbras と
いったりするんじゃないでしょうか.それとも
さっさと食べたいので、そんなこと気にしない
のかもわかりません.
longue main:「長い手」なのですが、ここでは指を示唆
していて、間接的に「指が長い」と言っている
のではないかと思います.main は先ほど申しま
した通り、「指」を含んだ部分ですから.
à la hauteur de ...:①~と同じ高さ[水準]に、
à la hauteur du parapet 手すりと同じ高さに
à la hauteur d'appui 手すり[ひじ]の高さの所に、
②~と同一線上に、~の所に、
hauteur:(f) 高さ
† hanche:(f) 腰
tenant:(現在分詞) <tenir (他) を手に持っている、
つかんでいる
ombrelle:(f) 日傘、パラソル
blanc, blanche:(形) 白い
touriste:(名) 観光客、ツーリスト
de touriste:無冠詞なので、直前の日傘にかかる「旅行用」.
「旅行者である婦人の」という意味ならば、
de la touruste
しかし前置詞de には「用途」の意味があり、
「~用の」と訳すのが自然で、何をどうしても
une ombrelle de touriste は「旅行用の日傘」と
なります.pour しか知らなかった?そうですか.
une ombrelle pour touriste ですか?冠詞が必要
だと思いますので、その場合はune ombrelle pour
les touristes じゃないでしょうか?
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