湯本香樹実さんの小説『春のオルガン』(新潮文庫)の解説で、作家の角田光代さんが書いていた内容にすごく共感できました。
―わからないこと、理解できないこと、どうしようもないこと、大人になるということは、紛れもなくそれらに出会うこと―
―なぜ列の順番を守らない人がいるのかわからない。なぜこんなちっぽけなことに声を荒げる人がいるのかわからない。こうすればいいものを、なぜべつの方法を選ぶ人がいるのかわからない。人は本当に、それぞれの論理で生きている―
他人というのは本当に不思議な存在です。
『春のオルガン』では小学校を卒業した主人公の女の子が、両親を含めた大人という存在と、いままで自分の属していた子供という存在の間でゆれ動きます。
大人。
他人。
社会。
家族。
死…
そんな、わからないもの、理解できないもの、どうしようもないものにぶつかりながら、それでもその中で生きていく”すべ”を学んでいく。
「どうしようもないかもしれないことのために戦うのが、勇気ってもんでしょ」
~『春のオルガン』本文より~
傍観するのでも、耳をふさぐのでもなく、がむしゃらにそうしたものに対して刃向かって行く。
目をそらさず。
逃げずに。
世界を真直ぐに見る。
どうしようもない人間と同じように、空が青く、草や木の緑が鮮やかで、太陽の光がまぶしいこともまた、真実なのだから。
フゥ~
古本屋さんで100円で手に入れた本にしてはいい読書ができました。
明日からまた頑張ろう!