上善如水

ホークの観察日記

映画「ケアニン2(仮題)」のクラウドファンディング

2019-07-04 21:26:14 | 映画

思わぬ入院で7万円近い出費がありましたが、先月の食費は2万6千円、なんとか3万円以内に抑えることができました。

まだまだ高い?

切り詰めればもっと抑えられるとは思うのですが、美味しい物も食べたいしね。

節約節約といっても、ゆる〜い節約を目指します(笑)

 

先月は飲みにも行ったし、映画にも行ったし、ユニクロの感謝祭もあったし、無印良品のセールにも行っちゃったしなぁ。

ボーナスも出ましたが、介護職のボーナスはスズメの涙。

入院費払ったら半分以上無くなりました。

 

そんな中、一万円を払ったのが、映画のクラウドファンディング。

クラウドファンディングというのは制作費などを広く一般に呼びかけて集める方法で、応援したい! という人からお金を集める資金調達方法。

個人から企業まで様々なクラウドファンディングの利用の形がありますが、今回私が「応援したい!」と思ったのは、映画「ケアニン〜あなたでよかった〜」の続編「ケアニン2(仮題)」

介護をあつかった映画で、先月観てとっても良かったので続編も作って欲しい、と思ったんです!

「ケアニン〜あなたでよかった〜」の舞台は小規模多機能施設でしたが、「ケアニン2」では舞台はより大きな特養(特別養護老人ホーム)になるとか。

こういう地味なテーマの日本映画って、興行的にとっても厳しいんですよね。

たまに「カメラを止めるな!」(2017年)みたいな予算300万円のインディーズ映画が大ヒットすることもありますが、そんなのはまさに宝くじに当たるようなものですからね。

 

片渕須直監督の「この世界の片隅に」(2016年)も最初の資金はクラウドファンディングで調達し、あれだけの大ヒットになりました。

 

だから今度の「ケアニン2」もぜひ製作して欲しい。

個人での寄付(サポーター)の応募は一口一万円から。

サポーター特典として、公式HPへのクレジット。劇場用鑑賞券1枚贈呈。パンフレット1冊贈呈。限定グッズ1セット贈呈。というのがついて来ます。

 

一口十万円からのゴールドサポーターになると、映画本編のエンドロールへのクレジット。パンフレットへのクレジット。公式HPへのクレジット。上映会の実施権。完成披露試写会2名様ご招待。劇場用鑑賞券2枚贈呈。パンフレット2冊贈呈。限定グッズ2セット贈呈。などの特典あり。

自分の名前が映画のクレジットに載るなんて憧れますが、十万円はさすがに厳しいかな。

いい映画の続編が観られることが、なによりのご褒美なので、今回は一万円のサポーターに。

あぁ、公開が楽しみ。(2020年春を予定)

 

貯金も大切ですが(年金が足りないので老後資金2,000万円必要という金融庁の報告書が話題になりましたね)、私はお金は使ってこそ価値があると思っているので、こういうクラウドファンディングみたいな取り組みは大賛成。

大切なのは何にお金を使うかってこと(でも十万円は払えない。そこが私の器の小さいところです)

何に価値を見出して、何に投資するかってことなんですよね。

私の場合、食べることと書籍にはお金をかけてしまう。

反省すべき買い物も多いので、そこがこれからの課題かな?

 


映画「ケアニン 〜あなたでよかった〜」

2019-06-06 21:19:29 | 映画

どうしても観たい映画があって、名古屋まで出かけてきました!

鈴木浩介監督。「ケアニン 〜あなたでよかった〜」(2017年)

 

 

 

そう、2017年公開の映画なのですが、当時は見逃してしまって。

2019年現在でも、自主上映会などが行われていて、次回作も製作予定だとか。

私は今回、名古屋のミニシアター「シネマコーレ」で上映されるのを知って観に行って来ました。

この「シネマコーレ」はアジア映画、日本映画、インディーズ作品と、普段大きな映画館では観れないような映画が観れる、映画ファンには有名な映画館らしいのですが、私は今回が初めて。スクリーンもひとつだけという小さな映画館です。

 

映画「ケアニン」は「ケアする人」という意味。介護施設を舞台にした介護の映画。

実在する神奈川県の小規模多機能介護施設「おたがいさん(株式会社あおいけあ)」をモデルに、多くの介護施設、専門学校、関連団体に取材し作られました。

現場の介護士である私が見ても、すごく考えさせられたし、すごく共感できたし、すごく感動しました!!

そりゃあ映画です。役者さんはスタイルいいですし、高齢者は粉ふいてないですよ(苦笑)

でも「スイッチが入る」とか現場でもよく使うフレーズが出てきたり、「介護」という言葉に代表されるさまざまな問題が、こちらはしっかりと「リアル」に描かれていました。

 

もうね、うちの施設の職員全員に見せてやりたい。

特にリーダーや管理職、理事の連中には強制的にでも観せるべき! と強く思いました。

 

自分の親が認知症だと思いたくない息子が、母親の変わりように絶望したり落ち込んだり、母親の中の幼い自分と出会ったり。

そのシーンがせつなくてせつなくて、涙、涙でしたよ〜

 

職業柄印象に残ったのは施設での食事風景。

うちは毎回戦場のような慌ただしさで、食事介助、服薬介助、歯磨き、トイレ誘導、後片付けと、とても利用者さんと向き合える時間なんてないのに、映画の中でのゆったりとした食事風景を見て、あぁ、家では食事ってこれが普通だよな、と衝撃を受けました。

なんで自分たちはあんなに毎日時間に追われて利用者さんを追い立てるように食事をしているんだろう、と。

 

人は誰でも年をとる

 

新人介護士の主人公を中心に、徘徊、妄想、拒否、失禁、同じことを繰り返す、家に帰ろうとする、家族の顔を忘れる、介護現場での事故、看取り、と認知症の様々な周辺症状、介護現場なら誰でも直面する問題が出てきます。

 

「こんな仕事やってられるか、

 どこにやりがいがあるんだ

 どこが楽しいんだ・・・ってか?」

 

「人間だから当然だよ。

 こっちも人間なら、むこうも人間。

 感情もあればプライドもあるんだ」

 

人間と向き合う。

認知症と向き合う。

それってとっても大変で、それって命と向き合うってことなんですよね〜

 

観て良かった。

これで明日からも頑張れそう!

 

この映画のモデルとなった「あおいけあ」に一年間密着したドキュメンタリー映画。

「僕とケアニンとおばあちゃんたちと。」も2019年5月18日に公開されました。

こちらもミニシアターを中心に上映されています。

機会があったら観に行きたいなぁ〜

「僕とケアニンとおばあちゃんたちと。」予告編

 

 

 

 

 

 


映画「毎日がアルツハイマー」

2019-04-22 14:31:34 | 映画

認知症の人の脳は5%くらいしか壊れていなくて、95%はまともなんだよね

 

関口祐加監督によるドキュメンタリー映画「毎日がアルツハイマー」(2012年)を観ました。

認知症になった自分の母親と共に暮らしながらその日々の生活にカメラを向けたドキュメンタリー。

シリーズ物で、2014年には続編「毎日がアルツハイマー2 関口監督、イギリスヘ行く編」と、2018年、シリーズ最終章となる「毎日がアルツハイマー ザ・ファイナル」が作られています。


大学卒業後、オーストラリアで30年近く暮らしていた関口監督。

映像の力に魅了されて、何本かのドキュメンタリー映画を手がけ、シングルマザーとして一人息子を育て活躍していた監督の元に、横浜で母親と暮らす妹さんから電話がかかってきます。

「母親が部屋に鍵をかけて出てこない」

それをきっかけに、認知症の症状が現れ始めた母親の介護をしようと決意し日本に帰国。

母親との日々の様子を映像に収め、YouTubeに投稿を始めたところ、100万再生を記録し注目を集めます。

それらをまとめたものが、この「毎日がアルツハイマー」です。

 

母と娘ですから、感情的なやりとりもあります。

何ヶ月も風呂に入らなかったり、言ったことをすぐ忘れたり、トイレットペーパーをパッド代わりにしたり、妄想、暴言、不安や焦り。

母親も自分がおかしくなっている自覚があって、「頭が狂っている」と書き記したり。

認知症になるとすべてがダメになると考えている方がみえるかもしれませんが、特に初期の段階では関口監督の母親のように、自分の変化に気がつき自覚症状のある方の方が多いです。

作品に登場する医師は言います。

 

認知症の人の脳は5%くらいしか壊れていなくて、95%はまともなんだよね。

その瞬間瞬間はまとも、ただ時間の連続性が途切れているからちぐはぐなことをしているように見えてしまう。

失敗してできなくて恥ずかしくて怒るのは当たり前のこと。それは認知症の症状ではない。

 

関口監督は自分の母親の行動をこう例えます。

ドラえもんの「どこでもドア」や「タイムマシーン」のようなもの。そこにいながら、彼女の頭の中ではどこにでも行けるし、いつの時代にも戻れる・・・

 

そうなんですよね、認知症の人の行動には、彼らなりの理由があって、それが認知症、特にアルツハイマーの場合、連続した時間の中の出来事として捉えられないだけ。

施設で働いていると、ついつい、徘徊や失禁、帰宅願望や不穏もすべて認知症のせいにしてしまいがちですが、それらはあくまで認知症の周辺症状。

認知症によって阻害されてしまったことへの、当たり前の、まともな反応なんですよね。

関口監督は「毎日がアルツハイマー2」で、母親が今どの時代のどの場所にいてしゃべっているのか、彼女がどういう景色を見ているのか、介護者は探偵のように観察し推理しなくちゃいけない、といっています(個人的解釈ですが)。そしてそれが楽しいのだと。

 

介護をなぜするのか?

その先には私たちの知らない幸せがあるかも知れない、認知症の人たちのまだ知らない幸せがあるのかも知れない。だからあきらめない。ネバーギブアップ。

 

親が認知症になったらどうしたらいいのか?

関口監督は地域包括支援センターにおもむき、ケアマネージャーに相談し、介護認定を受けます。

そうした流れを知ることができるものすっごく参考になりました。

家族だからできること(監督の姪っ子にあたる、よって母親にとっての孫が、とってもいい存在感を発揮しています!)、家族だからできないこと。

介護は60点でいい。あとは周りの人やプロに任せなさい・・・という認知症の専門家の意見に納得。

あれだけ外出を嫌がっていた母親が、イケメン介護士が登場すると急に素直になったり(笑)

認知症、介護、家族というテーマをあつかっていますが、全体に流れるユーモアは関口監督の個性なんでしょうね。

映画ファンとしてとても面白かったですし、介護従事者として、とても考えさせられる映画でした。

 

 

 

*「認知症」は病名ではなく、認識したり、記憶したり、判断したりする力が障害を受け、社会生活に支障をきたす「状態」のこと。現在日本では認知症を引き起こす原因のうち、もっとも割合の多い疾患で、6割以上がアルツハイマー病だと言われています。他の原因疾患には、血管性認知症やレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがあり、これらの複合型もみられます。

アルツハイマー病では、脳の神経細胞が減少する、脳の中で記憶を司る「海馬」を中心に脳全体が萎縮する、脳に「老人斑」というシミが広がる、脳の神経細胞に糸くず状の「神経原線維変化」が見つかるといった変化が現れることがわかっています。
脳の中にβアミロイドと呼ばれるタンパク質がたまり出すことが原因の一つとされていて、βアミロイドが脳全体に蓄積することで健全な神経細胞を変化・脱落させて、脳の働きを低下させ、脳萎縮を進行させると言われています。

アルツハイマー病を発症すると、記憶障害の症状が見られ、進行にともなって場所や時間、人物などの認識ができなくなる「見当識障害」の症状が現れます。身体的機能も低下して動きが不自由になったりします。進行の度合いには個人差があり、わずか数年で寝たきりになってしまう人もいますが、10年経っても自立して穏やかに暮らしている人もいます。


映画「この世界の片隅に」

2016-11-12 17:26:24 | 映画

こうの史代原作、片渕須直監督のアニメ映画、「この世界の片隅に」(2016年)を公開初日に観て来ました。

これから観る方はハンカチ必須ですのでお忘れなく。

映画館でたまたま隣に座った若い男性も何度も目頭押さえてましたから。

 

双葉社
発売日 : 2016-10-26

 

舞台は太平洋戦争に突入しつつある日本。

主人公「すず」は18歳で広島から呉(くれ)に嫁ぎます。

こうの史代さんの柔らかい画風そのままに、人物が動き、雲が流れ、風景が描写されます。

パンフレットを読むと、当時の広島の街並を描くために、そこに暮らしていた人々に取材し、原爆の落ちる前の街を忠実に再現したとか。

映画の中ではほんの少ししか映らないのに!

でも、戦争映画ではありません。

 

戦争が向こうからやって来ますが、その「理不尽さ」は形を変え、時代を超えて現代に生きる私たちにも共感できる「かなしさ」

大人の映画です。

水を汲んで、ご飯を食べて、洗濯をして、畑で泥だらけになって、布団に入って寝る。

ただみんなが笑顔ならそれでいい・・・

こうの史代さんの漫画は、その柔らかな画風の中に凛とした人間の矜持があって、人間のいい面だけでなく、ちゃんと弱さや怖さ、生きることの厳しさを描き切っている所がとても好きなのですが、この映画でもそれは描かれています。

厳しいです。

本当に厳しい。

なのに人間ってどんな時にもお腹は空くし、笑うことだって・・・

 

 かなしくて かなしくて とてもやりきれない

 この限りない むなしさの 救いはないだろうか

      「悲しくてやりきれない」作詞:サトウハチロー 作曲:加藤和彦

 

作中に流れる歌。

コトリンゴさんの唄う「悲しくてやりきれない」がとても作品の雰囲気に合っています。

私はこの映画を戦争映画としては見たくない。

この作品は映画だけれど、現実の世界の延長線上にある物語なんですよね。

「すず」さんは今も生きているかも知れない(実際に生きていたら90歳くらいですね)

この作品で起きたことは、形を変え、時代を超えて今もどこかで起きているかもしれない。

映画はファンタジーだけれど、そこに描かれている人間は本物なんですよね。

大人の映画です。

私はこの映画を見て勇気をもらいました。

 

この映画はインターネット上で広く制作資金を募集する「クラウドファインディング」という手法で、実に3374人、3912万1920円の支援を受け、スポンサーを集めるためのパイロットフィルムの制作を行いました。

映画のエンディングに流れるクレジットでは、その募金してくれた支援者の名前も流れました。

自分の名前が映画に出るなら、私も出資したのに、知ったのが募集が終了してからだったのが残念。

でもこういう手法は面白いですね。

 

コトリンゴ -「 悲しくてやりきれない 」


映画「オデッセイ」

2016-06-19 18:08:22 | 映画

レンタルDVDなどのお店「ゲオ」を展開する、株式会社ゲオホールディングスさんの株主優待、レンタル料金が50%割引になる手続きをして来ました。

ついでにレンタルして来たのが、SFファンとして興味のあった映画、ドリー・スコット監督の『オデッセイ』(2015年)

原作はアンディ・ウィアーの小説『火星の人』です。


著者 :
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
発売日 : 2016-06-03


火星有人飛行の成功で火星に降り立った人類。

しかし突如起こった砂嵐によって火星からの緊急退避を強いられます。

任務途中だが地球に帰ることとなるクルー。

たった一人、退避する際の事故で死んだと思われた男を残して・・・

火星に取り残される宇宙飛行士でエンジニア兼植物学者マーク・ワトニー役をマット・デイモンが演じています。

 

宇宙人も出ないしエイリアンも謎の組織もスパイもゴキブリも登場しません。

食料や水はもちろん、呼吸する空気すら限られた過酷な状況で、次に人類が火星にやって来るのは火星有人飛行計画が計画通りなら4年後。

それまで地球から遠く離れた火星で生き延びることができるのか?

地球では自分の葬儀が盛大に行われていることすら知る術の無い、火星一人ぼっち。

 

もう全編目が離せない、次から次にマークに襲いかかる危機的状況。

気圧、爆発、寒さ、十六進法、電池、ジャガイモ。

様々な科学的知識、エンジニアとしての技術、植物学者としての工夫を駆使して当面の空気、水、食料を何とか確保し、もちろんそれだけでは到底4年も保たないので何とか地球と連絡を取ろうとするマーク(通信設備は壊れてしまっています)

火星には到達していますが技術的には現代(2016年)と大差ないので、通信を送るだけでも何分もタイムラグが生じます。

どうやって通信を送るのか、これは宇宙好きならオォッ! と思える発想。

パイオニアやボイジャー、バイキングとかの名前がピンと来る人にはわかってもらえると思います。

マークが生きているとわかってからのNASAの対応、彼を置き去りにしてしまった形のクルーの葛藤。

人類の英知を集めて、火星に取り残された男の救出劇が始まります!

 

補給船を作り火星に食料や物資を送るのか?

それまでマークの酸素や食料は保つのか?

打ち上げ時の地球と火星の位置は?

タイムスケジュールは?

 

科学的に怪しい所は映画なのでけっこうあるし(重力の描写とか)、ご都合主義のところもありますが、火星版ロビンソン・クルーソー、けっこう面白かったです。

マット・デイモン演じるマーク・ワトニーがとにかくポジティブで、音楽を流し、ユーモアを忘れず、とにかく諦めない!

宇宙で生き残るには、こういう人間としての強さも必要なのかも知れませんね。

それが例えやせ我慢のカラ元気だったとしても、笑う門には福来たる、カラ元気も元気のうち。

最後に登場するアイアンマンのアイディアは(映画を見ればわかります!)、むちゃくちゃなんだけれどマークらしくて納得してしまいました!

 

人類が実際に火星に到達するのはいつのことになるんでしょうね?

資本主義なんて導入するからなかなか進みませんが、地球の資源を総動員して宇宙開発しないと、間に合わないかも知れません。

星にも寿命があるからいつまでも地球に住めるわけじゃない、といってもそれは何億年も先の話。

宇宙に進出する前に人類が滅んでしまわなきゃいいんですけど(苦笑)